表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血鬼が憩える保健室  作者: 坂持


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/18

一日の終わりは保健室

 それから転校生らしい一日を過ごし(囲まれる)あれよあれよと本日の授業が終わる。


 終礼をなんとか乗り越えると、前の席の佳が振り向いていた。


「だいじょーぶ⁉」


 今日一日、佳にはかなり助けられた気がする。一番大きな功績は昼休みだ。


 お弁当を食べようとして、やはり一緒に食べようと誘われる私。でも相手は佳だ。休み時間の度に私に話しかけてくれたおかげで、なんか多分一番仲良くなっていて、自然な流れで昼食を共にした。佳がいなければ、私は色んな人に誘われ、ご飯を食べてもその味がしなかっただろう。まあ、佳と二人きりじゃなくて、他の人とも食べたからキツイのはキツかったんだけどね。


 でも佳のおかげで、クラスの人には話しかけられてもあんまりしんどくない。


 私は、驚いて目を見開く佳に返す。


「え、なにが……?」

「いや、顔が‼ すっごいゲッソリしてるよ⁉」

「え? あー……うん、疲れたからかな……」


 佳だけでなく、他の人も驚いている。


 そんな酷い顔してるの……?


 結構お互いに慣れてきたから、マシになってると思ったんだけど……。


「やっぱりてんこーって疲れるんだ⁉ どーしよ、とりあえず保健室だよね?」

「うーん……」


 いや、身体は動くから大丈夫だと思うんだけど……いや、なんか身体が重たい……あれ……? 私の身体、どうした?


「なっちゃんヤバいって! 行こ! 保健室! うちが連れてくから‼」


 抵抗しても無駄だろうし、そもそも抵抗する力も無い。私は大人しく佳に支えられ、保健室へと連れて行かれるのだった。


                 △


「せんせー! 友達がしんどそう!」


 ガラッとドアを開くや否やそう言う佳。保健室は静かにしないと……でもそれを咎める元気が無い。


 あと、慣れてるなあ。もしかすると結構保健室に来るのに慣れているのかもしれない。


「ん〜? 誰ぇ? 保健室は静かにしないとダメだよぉ」


 保健室は全体的に白く、独特な匂いが充満している。個人的にこの匂いは嫌いじゃない


 入り口は教室と同じで二つあって、私達は左側のドアから入った。その正面、左端には養護教諭用の机(書類が多い)と椅子があって、その奥には薬品棚があり、反対には簡素なベッドが三つ並んでいる。ベッドが多いな。


 そしてその一番奥のベッドに、人が寝転んでいた。利用者かな?


「あれ? せんせーいないの?」


 私と同じことを疑問に思ったのだろう佳が言う。するとベッドに寝転んでいる人が、ゆらりと手を挙げる。


「わたしがせんせーだよぉ」

「そーなんだ! 気づかなかった」


 どうやらベッドで寝転んでいたのが養護教諭だったようだ。


「んもぅ、どうしたのぉ?」


 身体を起こした先生は、どこかふわふわしていて、結構若かった。そしてスリッパを履いて私達の方へやって来た。


「わぁ、これは大変、とりあえず横になろっかぁ」


 私の顔を見た途端目を丸くして、ぱたぱたと先程まで自分が寝転んでいたベッドに戻り、シーツを伸ばす。いや、他のベッドでもいいんじゃないかな……?


 でも、抵抗と抗議する力の無い私は、なにもできず佳に運ばれる。


「はい、ゆっくり寝かすねぇ」


 そして佳と先生二人の手によって、私の身体はベッドに寝かされた。


 あっ、いい匂い……。これは間違いなく先生の匂いだ。だって私の顔を覗き込む先生から同じ匂いするもん。


 でも、その核心と共に、私の意識はゆっくりと沈んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ