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ドラゴン襲来

「さて、お話願いますでしょうか」

私は教祖に話を促すことにした。

目の前に仁王立ちをしてまじまじと教祖に視線を向けた。


「……いや、そう言われましても……」

「今、何故……勇者を転移させただけでこんなに命を狙われるハメになるのでしょうか」

「いや、女神様が良くないんですよ」

「はて?」

首を傾げ、私は頬に指をあてる。

いったい私は何をしてしまったのでしょうか、まったく。


「はて、じゃありませんよ!」

「だって、私は勇者の願いを叶えただけですわよ」

「だからって勇者をこの世界から連れ去ったらよくないですよ、なんだって思ってるんですか」

「そ、それは……」

何も考えてませんでしたわ。

だ、だってぇ……頼まれたから叶えただけですのに。


「おかげで計画が大狂いですよ」

「計画……?」

「いえ、なんでもありません。こちらの話ですから」

教祖はゴホンっと咳払いした。

いったいなんだと言いますの、いったい。


「ともかく!私は殺される筋合いなんてありませんわよ、それに……」

「なんでしょうか」

私は眉間にシワを寄せた。

そういえば先ほど、何かごまかしてたわよね……。


ゴクリと生唾を飲み込む。

「いえ、なんでもありませんわ」

なんでもかんでも話すのは危険ですわね。


うんうんと頷き、私は自分の中で考えを納得させる。

この教祖どこか胡散臭さを感じますわ……。

「ほっ……」

「怪しさ抜群ですわね、何か隠しているんではないでしょうか」


私はジトっと視線を教祖に向けた。

「い、いえ……そんなことありません」

教祖は勢いよく頭をぶるぶると振っている。


「……っ、ならいいですわ」

さっさとここから立ち去るしかないでしょうか。

何が起きるのかわかりませんわ。

「では失礼いたしますわ」

そそくさと扉の外まで出ていく。隠れた場所を探し、草むらの中へ隠れた。


ふぅ……ここならきっと誰も襲いに来ないでしょう。

指をパチンと弾いて姿を消していく。

「ふふふ、これで隠密活動をすることもできますわ」

こっそりと中へと再び入っていく。


「なんだよ、あの女!!」

教祖の罵倒する声が耳に響く。

「お、落ち着いてください……教祖様」

荒れている教祖をなんとか宥める信者たち。

「落ち着いてなんか居られるか!!」

近場にある椅子を蹴り上げた。


「せっかく勇者を浄化といって殺した後には俺が英雄になろうと思っていたのに」

あら、なんということですの。

薄々勘づいてはいたものの、勇者の命を狙おうとしていたなんて。


「しかし、女神は何も知らないはずです。私たちが自作自演で魔王を操っていたとは」

「あぁ、だが勇者から何かを聞いているかもしれない」

さて、聞いてはいけないことを聞いてしまったような気がしますわね。

ため息をついて、私はその場から立ち去ろうとする。


ドゴンッ。

先程教祖が蹴った椅子を思わず蹴り飛ばしてしまったようだ。


「ひゃあっ……!!」

「誰かいるのか!?」

シュッと教祖は一気に結界を張り巡らさせた。


「先ほどの女神かもしれないッ!!」

教祖は何本もの矢を宙へあげた。

そして私の元へと雨のように降り注いでいく。


っ!!

な、なんですの……、この槍は!!

私は迷わず力を入れて魔力により槍を弾き飛ばした。


「危ないじゃありませんか!!」

私は高らかに声をあげた。

姿をひょんっと出して、元に戻った。


「女神!やはり見ていたのですか!!」

「えぇ……、ですが……」

私はトンっと一歩、足を踏み入れて魔力を放つ。


「いったいどういうことなのか、口を割ってもらうしかありませんわね」

「そ、そんな……簡単に言えるはずないじゃありませんか」

教祖は私の攻撃を易々とかわしていく。

そして、懐へと潜り込んできた。


「あ、危ないですわ!!」

教祖は隠していたナイフを掴み私の元へと振り下ろした。


「殺す!!」

「おやめなさって」

私はお嬢様ビンタとして教祖の頬を勢いよくひっぱたく。


「っっ!!」

教祖はビンタのダメージを受けて勢いよく倒れ込んだ。


「ふふん、私にとってこれくらいなんともありませんでしてよ」

「ならば……こうするまで」

教祖は何やら魔力を床に注ぎ込んでいる。

床に描かれていた魔法陣が青白く光り出す。


ゴゴゴゴゴゴゴと音が響き、地面が揺れる。

「な、なんですの……?」

私はあまりの揺れに我慢できずに地べたに這いつくばる。


「ははは、はは!!ばれてしまってはもうおしまいだ!」

地面が割れ、大きな体がニョキっと出てくる。

紅く綺麗な鱗のついているドラゴンの姿だ。


「な、なんですの……この生物は……」

ドラゴンが足をあげて、私を踏み続ける。

体重をかけて私の元へのしかかってくる。


「くぅ、行きなさい!!」

私は次々にサメを召喚するがまったく歯が立たない。

バシンっと大きな音が聞こえた。ドラゴンはまるでハエたたきで潰すかのようにサメを押しつぶした。

「へっ!!?」

目をパチパチと瞬かせる。

わ、私の力ではこのドラゴンを倒すことはできませんの……?


頭を抱え、私は蹲った。

「く、くぅ……ど、どうすればいいですの……」

落ち込む私にドラゴンは容赦をしない。


スゥゥゥゥゥとドラゴンが息を吸い込む音が響き渡る。

「ま、まずいですわ!!」

私は魔方陣を展開するも間に合わない。

ドラゴンは勢いよく炎を吐き出すとその場をごうっと一気に焼け野原にしたのだった。


いろいろあって少しお休みするかもです

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