漆黒の目覚め
第二章:漆黒の目覚め 眼前に広がるのは、星々に埋め尽くされた宇宙の海だった。レナードとエミリアは、窮屈な大気圏を抜け、ついに宇宙空間に到達していた。昼夜の概念が消失する中で、時間がゆっくりと流れる感覚に包まれる。 「セクター7Gのコーディネートを設定しました。この軌道を進めば、安全圏に入れます。」エミリアの声が、船内に響く。 レナードは操縦桿を握りながら回答した。「ありがとう。今は、とにかく安全圏に集合しよう。そこから次の手を考えよう。」 星屑の行者となった二人が目指すのは、星図に記されている「セイフハーバー」だった。そこは、かつて星間航路の中継地点として栄え、今もなお多くの放浪者たちが寄る拠点である。安全な場所で情報を集め、星屑の謎に迫る手がかりをつかむつもりだ。 しかし、宇宙海賊の脅威は思ったよりも差し迫っていた。レナードが定期的に後方のレーダーを確認していると、ピピッと異常を知らせる警告音が響き渡った。 「どうやら、気がつかれたみたいだね。しつこい奴らだ。」ライザの声は、いつになく冷静だった。 エミリアが機器を操作しながら答える。「こちらの機体は、そんなに早くはありません。互角に戦うためには…」 「星屑の力を使うんだろ?」レナードが割って入った。彼は心の中で、星屑が彼に与えた力に問いかけた。「この力で、どうにか彼らを引き離せないか?」 すると、普段は静かな星屑が、今回は力強く輝きを増す。レナードの意識が星屑と一体となり、船内のパネルに表示されるルートが一つの光へと集約された。 「あそこだ!」レナードが叫んだ。エミリアがコースを調整し、船は新たな軌道に乗った。目指すは、歪んだ空間の中に浮かぶ謎の星門だ。 「あれが、フェート・ジャンクション。宇宙海賊たちも、あそこの乱流には手を出せない。」エミリアが解説した。 宇宙船は、エミリアの計算とレナードの勘を頼りに、星門に向かって加速した。海賊船はそれに続こうとしたが、星間の乱流に飲まれていく。 「やったな!これで、少しは呼吸できる。セイフハーバーにたどり着くまで、まだ道は長いが……」 「とにかく、一息つこう、レナード。あなたと星屑が私たちをここまで導いてくれた。これからも、私たちはその導きに従うだけ。」 かくして、陰謀渦巻く宇宙を舞台に、星屑をめぐる大いなる探求は続いていく。未知の力を操り、未踏の世界へ挑むレナードとエミリア。彼らの旅は、果てしない宇宙の中で、新たな章へと進展していった。