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〜僕は洞窟警備員〜

「アンタさ、さっきの魔法はどうやったの?」


マリーはご機嫌斜めだ。


不思議な棒で無双するのは仕方無い。


だが魔法はマリーの専門分野なのだ。


自ずとキツく当たりたくもなるだろう。


《やっぱり、こんな感じ〜は駄目だよな・・・》


諦めたように隼人は空を見た。


「俺にも良く分からない。頭に浮かんだ呪文を唱えただけだ。」


幾らかの罪悪感と共に吐き出した言葉だ。


嘘は無い。ただ、説明の大半を削っているだけだ。


「あのね!魔法って言うのはそんなに簡単じゃ無いのよ。さっき迄はアンタの身体から膨大な魔力を感じた。私何か足元にも及ばないくらいのね。」


マリーは、怒った様な困った様な顔だ。


「俺も記憶がはっきりしてないからな。正直、自分でも困惑してる所だ。」


隼人は警棒に視線を落とす。


「マリーその位にしとけ。誰にも秘密の1つや2つあるもんだろ。記憶が戻れば、追々分かる事さ。」


ラングの言葉にマリーは口籠る。


「ビックリしたが、心強かったぜ。」


隼人の背中をポンッと叩いて


「行くぞ。」


一同は歩き出すのだった。




森がポッカリと口を開けていた。


カグマーズ洞窟の入り口である。


この辺りは急な断崖になっており、一見すると回り込む道も見当たらない。


森が深すぎる為だ。


「さて、ここが目的地だな。何が出てくるか分からん。気を引き締めていくぞ。」


ラングが歩き始めるが


「ちょ・・・ちょっと待ってよ!本当にうち達だけで入るの?他のパーティは?」


マリーがホウキから落ちそうになりながら言う。


「他のシルバー級以上の冒険者を待たなくて良いの?」


「マリー、冒険者ルールは知ってるだろ?」


ラングが背中で言う。


「早い者勝ちさ。」


メイガンとセレスはマリーを見ながらクスッと笑い、後に続いた。


「わ・・・私は魔法使いなんだから、洞窟内では使える魔法が限られるの!だから先に行きなさいよ。」


マリーと目があった途端にこれだ。


《やれやれ・・・》


『この魔法使いの子、我儘ね。』


《突然出てくるなよ。》


隼人は突っ込みを入れつつ洞窟に足を踏み入れた。





メイガンの使うライトの魔法が、洞窟内を明るく照らし出していた。


時間としてはお昼頃だろうが、暗くジメジメした洞窟では感覚が無くなる。


数種のゴブリンや爬虫類型モンスターと戦いはしたが


おおよそ順調に進んでいる。


人が2人並んで歩ける位の広さはあるが、狭い事に変わりは無い。


ラングはふと道に伏せた。


「人が通ったな。靴の足跡がついてる。」


洞窟内のそれに気付くのは、流石の経験である。


「情報ではこの先にある筈だ。」


ラングは足音を立てずに歩いている。


前に続く筈の道が無くなり、左右に別れていた。


左右の道はこれまでと違い、象でも歩ける位の広さだ。


マリーが小声で


「ラング?分かれ道じゃない?どうすんの?」


隼人はマリーを見ながら、こう言う気は使える事に驚いていた。


普段のマリーなら大声でまくし立てそうな所だ。


右奥を凝視しているラングが


「何かが居る・・・」


冷気が顔に当たり、鳥肌が立っていた。


明らかに身体が危険信号を出している。


ラングの悪い予感は良く当たるのだ。


遠く─────────


かなり奥の闇に、複数の小さな光が輝いていた。




パイロヒュドラ───────


ヒュドラの亜種である。


8つの頭からは瘴気を吐き出し、攻撃的な気性である。


自分の縄張りに入った者を片っ端から喰らう。


そんな凶暴な魔物と戦う羽目になる理由は1つ


マリーの


「右奥光ってる〜!メイガン、照らして!」


・・・・が、不味かったのだ。


パイロヒュドラの眼光を宝石か何かと勘違いしたのだろう。


「ぎゃ〜!蛇蛇蛇蛇蛇〜!」


と言う叫び声と共に、ホウキがフルスピードで加速した。


ラングは大剣を構えて走り出し


セレスはナイフを立て続けに放った。


しかし大剣は弾かれ、ナイフは宙を舞う。


隼人は光る警棒を何発もお見舞いしたが


爬虫類最強クラスの鱗は、簡単に通してくれない。


《クソッ!》


滅多打ちだ。技術も何も無い。ただの力任せだ。


《とんでもない奴だ。こいつと戦うって事だったのか!》


力任せの攻撃は、反撃こそされないものの


体力を根こそぎ奪っていく。


その時だった


『違うわよ。何勘違いしてんの?』


また頭の中に声が聞こえてきた。


《早く出てこいよ!こっちはジリ貧なんだぞ!》


一撃打つたびに、違う頭が次々に襲ってくる。


8つの攻撃なのだ。凌いでいるだけでもきつい。


『こんな弱いのが問題な訳無いでしょ!』


《ならどうすんだよ!!》


隼人の攻撃が躱された。8つの攻撃が隼人を襲う。


『突け!!我が技は身体が覚えている。』


女の子の抜けた声は、威厳のある響きに変わっていた。







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