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〜僕は無双警備員〜


「しかし、何だその武器は。」


ラングはビックリ顔で聞いた。


異界の森──────大森林である。


全く戦闘では役立たずな隼人を後方に下がらせてからのビックリ行動だ。


光る棒を手に持ち、自分でも信じられない風の隼人。


《あの声・・・聞き覚えがあり過ぎる。》


自分の手を見つめたままの隼人に


「今更なんだがな。お前のジョブは何なんだ?」


不思議な出来事にラングの言葉は納得である。


涙を流して震えていた。


だから、後方に下がらせて身を潜めるように指示した。


結果はゴブリンを真っ二つである。


記憶が無いにせよ、動きや癖等は自然に出てしまうものなのだ。


《ジョブ・・・仕事か?》


「俺は警備員だよ。」


「・・・・・は!? 警備員だと?」


慌てた様なラングの様子に


《あ、警備員は不味かったか?》


と思い俯いた隼人だったが


「そんなジョブ聞いた事無えぞ?どこの国のジョブだよ。」


体が大きく、体力に自信のある者は戦士等のジョブ。


ある程度の体力と素早さがあれば剣士。


魔法に特化している者は魔法使い。


信仰心が厚い者は療法師等と


大体なれるジョブは決まっているもの。


それ以外の上級職となれば、どんな素人から見ても一目瞭然という物だ。


ましてや、ラングほどの手練が分からないはずも無い。


《あ〜何だかな〜、誰でもなれたんだけどな〜。》


──────上手く誤魔化せているとは思えない。


「ラング、ゴブリンはあらかた片付いたわよ。数匹は逃げちゃったけどね。」


セレスが二人の間に割り込む。


「おい、セレス。お前は隼人のジョブの事とか知らんのか?」


ラングは隼人の事は何も知らない。


セレスには昨日の夜、少し話はしたが、本当の事を話すだろうか。


隼人はセレスをジッと見つめた。


その視線に気付いたのか


「ま・・・まあ、記憶が曖昧だからね。戦力になれば良いんじゃないの?」


隼人にしたウインクはラングには見えていない。


その時、隼人が握る光の棒が輝きを増した。


《何か来る!》


隼人は誰よりも早く森の奥へ視線を向けた。




ひときわデカイ緑の木があった。


ゴブリン達の塊を踏みつけて、その森が移動してくるのである。


しかし、それは木では無かった。


「あ・・・あれは、ゴブリンキングか!?」


ゴブリンの上位種である。


体のデカさもさる事ながら、強力な魔法も使える。


本当に厄介な相手だ。


「こいつが群れを率いていたのか。」


メイガンはサッと後方に下がり、詠唱を始める。


「愛の御手、我が子等を守らん!」


パーティの身体が燐光を帯び、戦闘力が飛躍的に上がっていく。


その頃には、ラングの大剣が、ゴブリンキングの肩口に迫っていた。


ギィィィィン!!!──────────


まるで金属を殴りつけたような音と共に、ラングの大剣は弾かれた。


「クッ!」


続けざまに大剣が喉元を狙う。


ギィィィィン!─────────


「やはり、剣は通じねえか!」


後方に下がりながらラングは憎々しそうな表情を浮かべた。


「それじゃあ、マリーちゃんの出番よ!!」


マリーの前に紅蓮の火球が燃え上がる。


「爆ぜるは我が魂、暗黒を掻き消す陽の炎神!喰らえ!!ファイヤーボール!!」


火球が更なる業火となり唸りを上げてゴブリンキングに襲いかかった。


ドボォォォォォォッ───────


炎が激しく相手を包み込む。


「やった〜!どんなもんよ!」


マリーは得意げに笑っている。


「いや、まだだぞ!」


ラングの叫びと共に激しく燃え上がる火球がマリーを襲う。


相手も唱えていたのだ。


しかも、強い魔法耐性があるのかゴブリンキングは笑っていた。


暗い緑の肌が特に濃く浮かんでいた。


「マリー!」


セレスはマリーに体当たりをする形で庇う。


二人共スライディングの様に火球をかわしていた。


《お・・・俺は、どうすれば・・・》


隼人は悩んでいた。


逃げるでも無く、立ち塞がるでもなく


ただ、目の前の事に怯えるしかない。


《所詮、俺なんか役立たずなんだ。》


マリーの様な若い女の子すら命懸けで戦っているのだ。


自分を情けないと思うのは、至極当たり前である。


隼人は目を伏せた。


手には光る棒────────


《こんな物がなんの役に立つ?》


その時だ。


「メイガン!!皆を連れて引き上げろ!隼人!お前もだ!」


ラングの言葉にメイガンが動く。


「マリー、セレス!こちらに!」


ギィィィィン! ガンッ! スドンッ!


ラングの大剣は弾かれ続けている。


《良いのか俺は、このままで。》


────貴方の心に壁を作ってはいけない───────


《また、あの声が?》


──────光ある所に希望は生まれます───────────


《希望・・・》


──────心の声を信じなさい─────────────


隼人の中で、何かが弾けた。


音も無く、前触れさえ無い。


ただ、輝く自分の心のままに。


《うぉぉぉぉぉぉ〜〜〜!!》


弾ける様な輝きが尾を引きながら一直線にゴブリンキングを襲う。


ラングもゴブリンキングすらも輝きに目を細め、戦いを止めていた。


《うおりゃゃゃぁぁぁぁっ!!!》


光の筋が幾重にも重なり、ゴブリンキングを叩いていく。


ゴツゴツと鈍い音をたて、身体が色々な角度に曲がっている。


隼人が叩いているのだ。


何百と言う連撃を、ゴブリンキングに。


「カッ!ゴッ!ハッ!」


叩かれるたびに、声にならない声が出ている。


あれだけの強度を誇っていた身体は


粘土のような塊となっていた。











そうだ!玉ねぎを切ろう!


・・・・宜しくお願いします〜!

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