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〜僕は光の警備員〜


《しかし、暑いな・・・》


カーゼム王国の東に位置する大森林である。


通称、〈異界の森〉


入口付近は初心冒険者の良い経験値稼ぎの場になっているが


奥へ奥へと続く獣道を進めば、手練の冒険者もあまり近付かないほど強力なモンスターがうようよしている。


「隼人・・・だったか?何をしけた面してんだよ。」


バンバンと背中を叩くのは、パーティのリーダーでもあるラングだ。


背中には牛でも両断出来そうな大剣が光っている。


「まぁ、いきなり連れて来られたんだし無理も無いでしょう。」


笑顔いっぱいの男はメイガン。パーティの回復役の療法師だ。


太陽をモチーフにした杖を持っている。


いかにも回復しそうな見た目だ。


「隼人、あまり無理しないで下さいね。もう少ししたら目的地ですから。」


「うん、大丈夫。」


眩しいほどの笑顔に答えて、こちらも笑顔になる。


「うちは反対だよ?いくら人手不足と言っても素人を連れてくるかなあ。」


不機嫌そうな女の子はマリー。


魔法使いの彼女は輝く赤い宝石を散りばめた、豪華な杖に乗って飛んでいる。


《色々な奴等が居たもんだ。》


そんな時、後ろから声をかけてきた者がいた。


「まあまあ、良いじゃないの。」


隼人の背中に柔らかい物が当たる。


「隼人はあたしがスカウトしたの。謎多き青年でしょ?」


セレスの声が耳元で響く。


《デケえし、柔けえし・・・》


思わず顔が赤くなる。


「ん〜まあなんだ、マックスが居なくなって前衛が欲しい所だからな。」


マックスは前衛職の冒険者だったが、先の戦いで回復出来ないほどの怪我により去っていった。


《前衛って何?俺はただの警備員だぞ!?》


不安げな隼人などお構い無しに


「でもさ〜、自分の素性も分からない様な素人が前衛って。どうなのよ?」


マリーが口を尖らせる。


「大体さ、前衛はラングとセレスだけで足りる・・・」


マリーがラングに言った言葉は遮られた。


「来ましたよ!前!!」


メイガンが叫ぶように言った。


緑色の集団がワラワラと近付いてくる。


ゴブリンであった。


斧を持つ者、槍を持つ者、規則性は無いが数の理論を地で行く奴等だ。


セレスの柔らかい感触が遠のく。


〈シュッ!〉


風切音はセレスの放ったナイフだ。


ナイフは3つの軌道をえがきゴブリンの喉に突き立った。


「ガッ!」「グブッ!」「ゴボッ!」


骨まで砕いた一閃は切っ先が喉を貫通していた。


倒れたゴブリンを踏みつけ、尚もゴブリン達が来る。


「隼人!!どいてろ!」


ラングの大剣が横薙ぎに奔る。


胴を真っ二つにされた集団が肉の塊になっていく。


《何だ?何だよ。》


目の前では殺し合いが繰り広げられている。


隼人は何も出来ずにいた。


目からは涙が溢れ、どんな感情かも理解出来ないほど動揺している。


《来たくて来たんじゃ無い。何でこんな事に。》


尚も殺戮は続いていく。


「あんた何してんの!?死にたいの!?」


マリーは隼人の襟首を掴み後方に引きずっていた。


「ここにはね!戦える奴だけが来れるの!覚悟が無いならとっとと帰りな!」


「マリー!!危ない!」


ゴブリンに背を向ける形になったマリーの背後から、ゴブリンの矢が放たれていた。


ラングの大剣がその矢を弾く。


「隼人、悪ぃが戦えねえならここに居てくれ。お前まで守りながらは戦えねえ。」


ラングは言葉と共に走り出す。


「大丈夫ですか?隼人。」


メイガンの労いも隼人には届いていないようだ。


ガクガクと震える手がそれを物語っている。


「この数はおかしいですよ。一体どうして─────」




《・・・・隼人・・・・隼人・・・・》


遠くから聞こえる。微かだが通る声。


《貴方なら大丈夫・・・この声が聞こえたのなら・・・》


目の前の光に目を細めて、隼人は夢の中にいた。


《駄目だよ。俺は駄目だ。体が動かないんだ。》


涙がまた溢れてくる。


《大丈夫・・・貴方には、それだけの力を授けたのですから。自信を持ちなさい。》


顔を押さえた手の間から、眩しい輝きがほとばしる。


《腰の辺りが────暖かいな─────》


「隼人!!!」


ラングの叫びにハッと我にかえると槍を持ったゴブリンが突進してくる所だった。


思わず手に当たった物を握り締め、ゴブリンの槍を横に薙いだ。


その刹那、ゴブリンは首と胴が離れ倒れてしまった。




 三段警棒─────────


警備員は伸縮しないタイプの警棒を使用する場合があるが、極まれである。


警察等が使用するのが一般的で、威力も低いと言う評価である。


「何だあの武器は!? いや・・・武器なのか?」


ラング達には、光る棒を持っているようにしか見えないのだ。


それが武器だと辛うじて分かるのは、隼人の前で肉の塊になったゴブリンがいたからだ。







毎日投稿したいな〜

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