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〜僕は平凡警備員〜


────カーゼム・アンバーラ王国────


この世界を統べる全てがここにある・・・ 


を、掲げているだけの弱小国家である。


南にはカバークの大河があり交易が盛んな国だ。


ただ、交易と言っても小舟で入る交易品だけに規模は大したことは無い。


陸路はアンガラの村からの一本道が東西に伸びている。


この日、早朝からの勤務で大きなアクビをした守衛カーリスが


ふらふら歩いてくる奇妙な男に声をかけた。


「おいおい、ふらふらじゃないか。どこから来た?」


「・・・・・・」


声を出す気力も無いのか、その男はふらふらと歩を進める。


《こいつの格好は・・・何だ?》


制服・・・と言う概念で見れば、確かに何処かの制服に見える。


カーリスも小さいとは言え、一国の守衛である。


主なる国の制服は一通り分かるつもりだ。


《何処の制服だ?》


カーリスが思案していると、男は待ちきれないと言わんばかりに


前のめりで倒れた。


「おい!大丈夫か!?」


交代に来た守衛が声をかける。


「何処の誰だ?カーリス」


「いや、分からん。ふらふら来て倒れたからな。」


ふうっとため息を吐き空を見上げる。


《今日は暑くなりそうだ。》


そんな事を考えていた。



守衛所の一室に寝かされているのは、ふらふらして倒れた男だった。


倒れてからかれこれ1時間以上経っている。


「う・・・ここは?」


寝ていた男が周りを見回しながら言う。


「おー、起きたか?気分はどうだ?立てるか?」


頭はズキズキするが、体は問題無さそうだ。


「倒れる時に頭を打ったみたいだから無理するな。」


「俺は倒れたのか・・・ここは何処なんだ?」


部屋の中を見渡しながら男が言う。


「俺はカーリス。カーゼム・アンバーラ王国の守衛をしてる。あんたは何者なんだ?」


カーリスが水を差し出しながら聞いてきた。


「カーゼム・アンバーラ?東京じゃ無いのか?」


「ん?トウキョウ?そんな村聞いた事無えな。」


不思議そうに男を覗き込む。


「あっ・・・いや、覚えてないんだ。何処から来たのか。」


咄嗟に嘘をついた。


ぼーっとした頭がフル回転して、言い逃れを選んだのだ。


「名前も覚えてないのか?」


品定めをするように聞く。


「あ、ああ・・・加乃森・・・隼人。」


「加乃森!?何だその舌噛みそうな名前は?」


怪しさ大爆発と言った顔である。


「まあ良い。とりあえず通行証も無いようだしな。大方、野党にでも襲われたんだろう。気の毒にな。」




──────東京で警備員をしていた。


仕事が終わり、帰る支度をしていたはずだ。


男─────加乃森隼人は1日の仕事が終わり、元請けに最後の挨拶をした。


その後だ。その後、目眩するほどの閃光が体を包んだ。


激しい痛みと優しい声。


《貴方はきっと─────そこは─────お願いします。》


綺麗に通る女性の声。


だが所々切れて聞き取れない。


辺りを何気なく見回した直後


隼人は知らない森に居る事に気がついた。


体がだるい。目眩がして頭が痛む。何処もかしこも痛んで仕方が無い。


森には獣臭が満ちていて、素人でも危険な事が理解できる。


体が痛い。でも、今離れないといけない気がする。


隼人は本能のままに歩き出すのだった。



「と、言うのが俺が覚えてる最後の記憶なんだよ。」


守衛所から少し離れた、石造りの家であった。


造りはしっかりしているが、小さな家である。


「これは出会いだわ!私にもとうとう来たわね!」


目を爛々と輝かせるのはカーリスの妹セレスである。


身元が分からない男をうろうろさせる訳にもいかず、カーリスが連れてきたのだ。


妹のセレスは冒険者である事と、妙な気をおこしたら守衛一同、世界の果てまで追いかける事を言われ今に至る。


「まあ、俺としても今言った事を信じてもらおうとは思わないがね。」


首をすくめながら隼人が言う。


「いえ、信じるわよ。これはかなり楽し・・・過酷な道になりそうね。」


爛々と輝く瞳を更に輝かせ、セレスが嬉しそうに言うのだった。


「とりあえず隼人、あんた明日は暇なんでしょ?何も用事が無いならあたしに付き合ってよ。」


《いきなり呼び捨てか。》


上目遣いにセレスを見ながら


「それは構わないけど、外を動き回って良いのか?」


「私が責任持つし、お兄ちゃんには明日言うわ。」


鼻歌交じりに上機嫌なセレスが部屋を出ていく。


《何でこうなったんだ・・・と言うか、制服脱ぎ忘れてるじゃん・・・》


セレスの肢体が脳裏をかすめた。


《デカイな。》


窓の向こうに目をやりながら暗闇を見据えていた。














こう言うのはどう書いたらいいかなって、


迷いながら悩みながら書いてます。


宜しくね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定・背景・言葉が読みやすかった [一言] これからのアンバーラでのみんなとの関係性や出来事、隼人が東京で何があったのか、など、楽しみにしたいと思います
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