#7 お出かけ 後編
俺らはこれから食事をしようと、店を探していたが、比較的店は混んでいたので、フードコートにいくことになった。向かう途中に、俺は猛烈な尿意が体を襲ってきたので、トイレに向かった。
そして今終えて、戻ってきたところだったが……。
「おい、お嬢ちゃん。今一人?」
「俺たちと遊ばない?」
「すみません、友達と来てるので……」
「とか言って一人じゃねーかよ」
「なあいいだろ?」
面倒くさそうな二人組に大田さんが絡まれていた。どうやって助け出すのが正解か。それから俺は最適解を見つけ出し、近づいた。
「すみません。僕の友人に何か用ですか?」
「あ? なんだお前はよ」
「こちとら遊ぼうとしてるんだから邪魔すんなよ」
言葉が通じない。これはダメだな。
「先程から用があるかと聞いているんですけど」
「うるせえ。殴るぞ」
この瞬間を待っていた。
俺の胸ぐらを掴んだ瞬間、けたたましいサイレンが鳴り響いた。これは俺が鳴らした音源だけどな。
「は? おい、早く止めろって」
「お前らが話を聞かないからだろ。速やかに彼女から離れて立ち去れ。さもないと警察に突き出すぞ」
「すみませんでしたー」
二人は警察を恐れて、一目散に店から出ていった。殴り返したかったけど、流石に筋トレ始めて数日じゃ意味ない。
「神里君、怖かった……。ありがとう」
大田さんは涙目になりながら俺の手を握ってきた。俺は助けることが出来た嬉しさと、道具に頼ることしかできなかった無力さに対する惨めさが交わって変な気持ちになった。
「神里君、やっぱり優しいね」
「助けられてよかった。ああ言うやつには気をつけてね。大田さん、可愛いから、狙われるよ」
「可愛い?」
ヤバい。口が滑った。
「忘れて」
「そういうところ、ずるい」
何がずるいのか……。まあ気づかれなかったからよしとしよう。
それから俺たちは食事を済ませて、柚に頼まれたものを買って、帰ることにした。帰りの電車は、先程の出来事のせいで、ずっと変な空気で静かだった。隣の駅だったので、長い間無言だった。
「じゃあ、また明日」
「バイバイ。怜遠君」
今? 名前で呼んだ? それを聞こうとしたがもう既に扉は閉まっており、聞けなかった。
俺は一日中、顔が真っ赤に染まっていた
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