普通が一番
ある日、ランチの途中でマリアは白いドレスに赤ワインをこぼしてしまった。そのシミがあまりに目立っていた。
「家近くだから家においでよ。」
僕は家に誘った。
「これじゃ恰好わるいわね。行っても大丈夫?」
マリアは了承したので、僕たちはお城に向かうことにした。
マリアはお城に入っていく僕を見て、びっくりした顔をしていた。それもそのはずで、マリアは僕が王子だとまだ知らない。
僕はメイドに声を掛け、マリアの服を洗って、着替えを用意するように命じた。
「王子、かしこまりました。」
とメイドが言った瞬間にマリアは悟ったようだった。
「ついでだから僕の父と母を紹介するよ。」
僕はこの機会にマリアを両親に紹介することにした。
「お父様、この前話していたマリアです。」
「お初にお目に掛かります。マリアと申します。」
マリアはかしこまって父に挨拶した。マリアが緊張している姿がとてもかわいい。
「この場で言うのはずるいかもしれないけど、マリア、結婚を前提に付き合ってくれないか?」
僕はどさくさに紛れて交際を申し込んだ。案の定、マリアは混乱していた。でも、小さくうなずいた。
よし、これでマリアと正式に付き合うことができる。
そしてそこからはトントン拍子に結婚の話になった。
僕は第2王子であることをマリアに伝えた。最初はマリアもきつねにつままれたような顔をしていたが、だんだん事態が呑み込めてきたようだった。
マリアは王子様と結婚できることより、僕と一緒にいられることを喜んでくれた。
僕は次男でマリアは王妃にはなれないことを伝えた。
「次男の方が楽だし、同居もしなくていいから気が楽だわ。」
「そうだね、2人でのんびり暮らそう。」
やっぱり普通が一番だな~と王子はつくづく思った。