決断力はあったんだけど
優しくて気遣いの出来る姫だったが、優柔不断すぎると人を疲れさせる。僕にそんな忍耐力はない。あまりに待たされすぎて疲れた僕は少し投げやりになっていた。すぐに物事を決めることができる人なら誰でもいいとさえ思っていた。
そこでゴージャス王国のラグジュアリ姫のうわさを耳にした。ラグジュアリ姫はとても美人で決断力があるとのことだった。
ゴージャス王国の姫に会う約束を取り付け、お城に出向いた。お城は無駄に豪華だった。いたる所に金の装飾が施されて眩しいくらいだ。
ラグジュアリ姫は、噂通り、とても綺麗な女性だった。僕は姫を一目見て心を奪われた。ただ、ドレスがとても豪華で装飾品もこてこてしていて、いかにも高級品ですという感じだった。お付き合いするにはお金が掛かりそうだなと思ったが、美人だし、僕も一応王子だからお金は何とかなるだろうと高をくくっていた。
姫も僕を気に入ってくれたようで、デートを申し込んだら、すぐにオッケーの返事をもらった。
デート当日、姫は前回会ったときと同様にとてもゴージャスな装いで現れた。すべてをブランド品で固めている。
夕食は姫が指定した高級フレンチのフルコースだった。ワインも値がはったが、姫の気を引くためには仕方ない出費だ。
「姫はいつも素晴らしいドレスを着てますね。」
「見た目って大切でしょ。このドレスいくらしたと思う?高かったのよ。でも私、1度来たドレスは2度と着ないの。なんか貧乏くさいでしょ。」
「はーそんなものですか。もったいないような気が・・」
「いいえ、これは私のポリシーよ。高級品しか身に着けないけど、2度と同じものは着ないわ。」
その後、この服はいくらしたとか、この靴は超一流デザイナーに作らせたとか自慢話が永遠に続いた。
僕は美人で華やかな雰囲気に惹かれ、姫と付き合うことにした。
でもデートはいつも高級レストランで食事をし、高級デパートでショッピングなど、どれもお金が掛かるだけで全然楽しくなかった。服の買い方も豪快だった。
「ここから、ここまで頂くわ。」
「お店のドレスを全て私のお城に送っておいて。」
決断力は一流だったが、お金遣いの荒さは超一流だ。
この金遣いの荒いブランド志向の姫と結婚したら、僕の国は破産しかねない。さすがに結婚はないなと考え、別れを告げてこの国を後にした。