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僕と玲奈は原稿用紙に小説を書き続けた。早井先輩はそんな僕らのことをじっと見つめている。
僕は小説を書いていた。隣では玲奈が真剣に小説を書いていた。僕の第一印象はとてもよかったが、なんだか怖い感じだなと思った。
「できました」
僕が二枚目を書いている時、玲奈はそう言った。
「じゃあ、せっかくだから読ませて」
早井先輩はそう言って玲奈の書いた小説を読み始めた。
僕は頭の中でストーリーを考えたが、無難なことが思い浮かばず、適当に最後まで持っていった。
「できました」
早井先輩と玲奈が話をしている間に僕はそう言った。
「読んでいい?」
「大丈夫です」
早井先輩は僕の小説を読み始めた。
「名前は?」
隣に座る玲奈が僕に聞いた。
「佐々木圭介」
「私は白川玲奈。よろしくね」
その日が僕と玲奈が知り合った最初の日だった。
早井先輩は二人分の小説を読み終えた。
「二人とも結構才能あるって思った」
それを聞いて僕は少し嬉しくなった。でも玲奈はどこか不機嫌そうだった。
「私は文学賞の一次選考に通ったことあるんですよ」
「でも圭介君の小説もよかったよ。玲奈さんも読んでみたら」
早井先輩はそう言って、玲奈に原稿用紙を渡した。
玲奈は黙って、僕の書いた小説を読み始めた。