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体育の授業が終わると、優斗と話しながら、階段を上っていった。
六時間目の授業は、英語だった。僕は適当に先生の話を聞いていた。
放課後になると、文芸部の部室に行った。体験入部がやっていた。
「こんにちは」
僕が扉を開けると、中にいた女子生徒がそう挨拶した。
「こんにちは」と僕は言った。
「私は部長の早井咲。今日は体験入部の日だから、他の生徒はいないの」
早井先輩はそう言って、本棚を眺めていた。本棚にはたくさんの文庫本がある。なんだか新鮮な光景だった。
その時、文芸部の部室の扉が開いた。
「こんにちは」
そこにはとても綺麗な女子生徒が立っていた。髪が長くて目が大きい。僕は一目見ただけで惹かれた。
「白川玲奈です」
彼女はそう言って、僕の隣に座った。
「君も文芸部に?」と僕は聞いた。
「そうだけど」
少しぶっきらぼうに彼女はそう言った。
窓の外は晴れ渡っているのが見えた。白い雲が風に乗って移動している。野球部の掛け声や、吹奏楽部の演奏も聞こえる。
「さっそくだけど、あなたたち小説は書ける?」
早井先輩はそう言って、僕らのことを見た。
「書いたことはあります」と僕は言った。
「私、プロを目指しているんです」
玲奈はそう言った。
「そうなんだ。じゃあ二人ともこれに小説を書いてみて」
彼女はそう言って僕らに原稿用紙を三枚ずつ渡した。