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第十四話.魔王の所以 ーー温泉ーー




 みんなと合流した夜月達は、男性陣と女性陣に分かれ、大浴場に入っていく。



 夜月とエルティカインは、脱衣所で服を脱ぎ始める。


「改めて見ると、ヨヅキの体って、惚れ惚れするよね」


 夜月が、丁度上半身の服を脱いだ時に、エルティカインはそう溢した。夜月の体は、鍛え抜かれており、その筋肉は圧倒的な力を持ちつつ、しなやかだ。そのバランスがまた、絶妙に保たれている。どうすれば、ここまで完璧な肉体を持つことができるのだろうか。


「そうか? お前も結構体鍛えてんだろ」


「まぁ、そうなんだけどね。ヨヅキの体を見ると自信無くすよ……」


 そういうエルティカインも、結構鍛えられている。だが、戦いに通ずる者が見れば、二人の体の差は歴然だ。


 だが、どちらも、日本、いや地球では見られないほどの鍛えられ、そして美しい体だ。それに外見も整っている。周りの男性から、羨ましそうな、奇異の視線を向けられている。


 衣服を全て脱いだ夜月とエルティカインは、浴場に入っていく。


 最初にかけ湯で体を濡らし、これは完全に夜月のルーティーンだが、体と頭を洗う。そして、その後、夜月とエルティカインは、最初にスタンダードな普通の温泉に、極楽極楽とおっさんみたいなことを言いながら入る。まぁ、外見は青年にしか見えないが、実際年齢は三十を超えているからおっさんで間違い無いのだが、その外見のせいで違和感しか無い。


「やっぱり温泉はいいもんだね」


「ふぅ……そうだな」


 二人は、のんびりとしながら温泉につかる。気心の知れた仲なので、言葉はあまり交わさない。二人の空気は、終始穏やかだ。


「ここが公共の場じゃなかったら、ここで酒盛りもできたんだがな」


「あー、いいね酒盛り。温泉で飲むお酒は美味しいよね」


 そんな談笑をしていると、エルティカインは不意に、端にある扉の存在に気が付く。


「あの部屋って何かあるの?」


 エルティカインは、扉の存在が気になり、夜月に問い掛ける。


「ん? ……あぁ、あれはサウナだ」


 夜月は、エルティカインの視線を辿り、何を聞こうとしているのかを悟り、答える。それを聞いたエルティカインは、サウナ? と聞き返し、夜月は、サウナのことを説明する。


「サウナはな、体を温め発汗させるんだ。その後に、水風呂に入って体を整えるんだ。まぁ、気持ちいい人は気持ちいいんじゃないか? 俺は、好きじゃないが」


 夜月は、最初こそ普通に説明していたが、だんだんと嫌そうな顔をしてきた。それだけ、サウナが嫌いなのだ。サウナがというよりは、汗をかくこと自体が嫌いなのだ。


 エルティカインも汗をかくのは嫌らしく、夜月と同様、嫌そうな顔をしていた。


「そっか、それは俺も嫌だなぁ。汗かくの気持ち悪いしね」


「同感だ」


 少しして、二人は外の露天風呂に入る。


「これは、いいね。景色もいいし」


「だろ? だから、温泉に露天風呂は外せねぇんだよな」


 二人は、そんな談笑をしながら、露天風呂に十数分つかり、上がった。




   ◇◆◇◆




 一方、女性陣は……。


 優凛達が脱衣所に入ると、周りから視線を集める。五人とも、顔も整っており、その容姿は、女優も裸足で逃げ出すほどだ。朱里と蒼花も、四十代とは思ぬ、二十代の若さを保っている。


 そして、優凛達は衣服を脱ぎ始める。


「優ちゃんには負けるけど……エレナちゃんもいい体よね~」


「そうね、胸も大きくて羨ましいわ」


 朱里は、自分の胸に手を当て、その後にエレナと優凛の胸を見る。朱里も決して胸がない訳ではないが、優凛とエレナと比べると小さく感じるのだ。エレナの胸を羨ましそうにじーっと見ている。


「あ、ありがとう……ございます……」


 エレナは、余程恥ずかしかったのか、顔を赤らめている。胸を手で隠しながら、か細い声で言葉を返す。


 体にタオルを巻いた姿でも、優凛とエレナだと絵になる。切れ長の赤い眼に、普段のポニーテールとは違い、温泉に入る為に下ろされた、スッと流れる白銀の髪、きめ細やかな白い肌に、バランスの整った綺麗な体。優凛も、夜月同様、体が完璧なまでに整っている。二人とも、人間とは思えない程に。


 エレナは猫目の少し取っ付きにくい金色の眼に、輝くような金色の髪をし、優凛よりは劣るが、それでも世界最高峰の女優に勝てる程の魅力と美貌を誇っている。


 女性が三人寄れば姦しいと言うが、そんなことはなく、逆に、優凛とエレナだけで、女性が見ても艶めかしいと感じる程だ。


「朱里は、それでいいのに……。まぁ、さっさと入っちゃおうか!」


 蒼花は、朱里の胸はそれ以上大きくなくていいのに……と少しふてくされながらも、浴場に入っていく。


 こちらも、男性陣同様、かけ湯をし、体を洗い、最初は普通の温泉に入る。


「んっ……ふぅ~。やっぱり温泉は気持ちいいな!」


「そうね~」


「そうですね。こんなに落ち着く温泉は初めてです」


 優凛と蒼花、セレナは、温泉につかり、温泉を堪能し始めた。


「そうなの。でも、露天風呂はすごいわよ~。夜に、エル君と入ったらいいわよ~」


「そうなのですか? では、入ってみますね。ふふっ、楽しみです」


 セレナの笑みは、周りの女性達を虜にした。優凛と蒼花は夜月・朱里命なので他人の魅力はあまり伝わらないので、虜にはなっていない。


 その隣で、朱里は穏やかな笑みを浮かべながら、エレナと話していた。


「それで、エレナちゃん。さっき、部屋から出て来た時、顔真っ赤だったけど、夜月と何かあった?」


 エレナと息子の女事情に期待をした目で聞く。この数日エレナと一緒に過ごし、エレナが本気で夜月のことを好きなのだと分かっていた。エレナの雰囲気から、もう体の関係があることは分かっていた。朱里は、優凛がハーレム思考なのを知っている。


「そ、そうですね。今日の夜、露天風呂に一緒に入ることになりました……」


 エレナは、顔を真っ赤に染めて、消え入りそうな声で答えた。


 朱里は、エレナの答えと反応に、まあまあ! と言いながら、嬉しそうな顔をしている。


「いいわね、エレナちゃん」


「はい!」


 まだ、顔を赤らめているが、エレナはとびっきりの嬉しそうな笑顔を浮かべた。


 数分後、みんなで露天風呂に移動した。


「わぁ、すごいわね。露天風呂って」


「だろ?」


「ですね。まさか、室内の温泉とここまで違うんですね」


 エレナとセレナは、露天風呂の光景に見惚れていた。風情のある風景に上空に見える満天の夜空。ここまで綺麗な星空を見たことのなかった二人は、その夜空に言葉もでない程に見惚れた。


「さ、入ろうか」


 朱里がそう言い、呆けていたエレナとセレナも帰ってくる。そして、露天風呂につかり、優凛と朱里、蒼花は日頃の疲れと先日まで通っていた仕事や学校の疲れをとるように、エレナとセレナは初めての露天風呂を味わうように伸びをしながら、一息つく。


 そうして、穏やかな時間が流れていった。







お読み頂きありがとうございます。

また、誤字や文がおかしいということなどがあれば報告してもらえるとありがたいです。

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