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第一話.プロローグ ーー魔王と呼ばれし者ーー

初めまして、九条アスカです。これから一週間毎の投稿・更新ですが頑張って投稿していきたいと思います。

よろしくお願い致します。




「さて、帰るか」


 黒い髪に黒い眼をした青年、界滅の魔王と呼ばれた男。

 黒いコートに身を包み、腰には鈍色の魔剣を吊り下げている。


 彼の名は、アムル・アヴィオレイア。


 その時、アムルは最後となる世界を視ていた。やはり世界は美しい。そんな思いを抱いていた。


 アムルの本来の名は神谷(かみや)夜月(よづき)。齢十八歳にして異世界レイアシアへと漂流した。そこは、数多の種族が、互いの種族を滅亡させようとする争いに包まれた戦乱の時代だった。アムルは自らが力を手に入れないと生き残れないと確信し、力を手に入れる為に動いた。元々、素質はあったのだろう。剣も魔法も常軌を逸する程の強さを手に入れた。


「もう行く?」


 アムルに問いかけた青年。彼は、エルティカイン。アムルと共に、世界の争いを終わらせる戦いに身を投じた仲間である。アムルに問い掛けるその顔は、どこかワクワクとしたような、新しい物に興奮する少年のような顔をしていた。


「あぁ、向こうには、母さんと恋人も待っているからな」


 アムルは、どこか懐かしげな表情をして頷いた。向こうの世界、地球には、自分の母親と付き合っている恋人がいる。アムルは、やっと愛している人達と会えると喜んでいた。

 この世界でアムルができることは終わった。彼女の創り出したこの美しい世界を救うことができた。彼女達を、呪縛から解き放ち、助けることもできた。後の問題は、この世界の人達だけで解決することだ。


「君はこれでよかったの?」


「この時代に、強大な力を持った俺達がこれ以上干渉するわけにはいかないだろ。それにな、俺は、異世界人だ。どこまで行っても、この世界の住人ではなく、異世界人でしかない」


 アムル達は、この十数年で世界を変革し過ぎた。それは正しいことだったのかもしれない。だが、変革のスピードが早過ぎた。この世界の人達は平和に包まれた世界についていけなかったのだ。

 数々の国は、変革の筆頭となった界滅の魔王アムル・アヴィオレイアを世界の敵と断定し、世界は団結し、その矛先は一人の人間に向けられた。


「俺達は戦争を止めたのにね」


「はは、戦争……か。なぁ、エルティカイン。戦争とは何だ? 戦争は、突き詰めれば正しさも間違いも無い。ただそこにあるのは、人の思いだけだ。未来、愚かさもあれば、殺された憎しみや恨みもあるだろう。人は弱い。故に、自らの精神を安定させる為に敵を作るんだ」


「まぁ、……そうだね」


 エルティカインも、それを理解し、受け入れているので頷いた。

 そう、人は弱い。故に、敵を作る。そうしなければ、安心できないからだ。その敵が、今回はアムルだっただけだ。それは、必然と言えるだろう。この世界の変革の中心の人物はアムル・アヴィオレイア。そして、平和をなす為に、数多種族を滅ぼした。平和になったとして、それで争いが完全に収まるというわけではない。


 これを機に、アムル達はこの世界を去り、アムルの生まれ故郷である地球に行くことにしたのだ。


「ねぇ、早く行きましょうよ、アムル」


 彼女は、エレナ。元破界神ナディアリア。

 この世界を混沌に陥れていた原因の一つ。破界神の神器”破傲(はごう)剣レヴァイシズ”。十年に一度、世界を呑み込み大量の命を奪う。だが、ナディアリアは、そのことを見ることしかできず、心を痛め、泣いていた。


「そうね。早く行きましょう?」


 彼女は、セレナ。元創世神アレイティア。この世界を創り出した創世神。

 彼女は、自らが創り出したこの世界が愛おしかった。だが、そんな彼女の思いとは裏腹に、この世界は争いに包まれ、人族、魔族、神族、その他数多の種族が滅び、憎しみが生まれ、新たな争いが生まれる。彼女はそんな世界を見続け、いつしかこの世界を創り出した自らを呪うようになった。


ーーナディアリアは、アレイティアは。

ーー優しく、愛に満ち溢れた世界を目指す為に。


ーー二人は、その身で世界を敵に回し、戦い抜くと誓った。


 そこに、アムルが現れ、神器とその神眼を鮮やかに奪っていった。

 その魂は、アムル達の最高傑作であるホムンクルスに移植された。そうして、ナディアリアは、アレイティアは、長年の夢だった、普通の女の子として、幸せな笑みを浮かべて暮らすことができるようになったのだ。


「あぁ、そうだな」


 そして、エルティカイン、エレナ、セレナはとある理由から、アムルと共に地球に渡ることになったのだ。

 そして、アムルは地球へと帰る準備を始めた。


「〈世界間星(ゼノヴェルジ)界門顕現(ア・レイシア)〉」


 アムルが魔法を唱えると、四人の前に城門のような大きい門が顕現した。夥しい量の光り輝く魔法文字と魔法数字が犇めき、門の周りを円形に回る鎖となっている。見る人が見れば、神々しくも、また恐ろしくも見えるだろう。

 アムルが右手を門に向けるようにして上げ、人差し指を突き出す。そして、眼を赫く染め、その魔を覗く。


「魔法文字、魔法数字、解析完了。〈破陣解錠(カジェイス)〉」


 その指から赤黒い魔力が放たれる。その魔力は、真っ直ぐ門へと向かい、鎖に激突する。そして、アムルの放った赤黒い魔力は門を守護する存在、大量に犇めく魔法文字と魔法数字をそんなもん知らん! とばかりに、鎖は一瞬で侵食され、砕け散っていった。


 アムルは、一つの魔剣を取り出す。”血盟の魔剣”。

 この魔剣は、他の魔剣と違い、攻撃力は一切持たない。その真価は、血の、魂の魔力を覗き、其の者の世界の魔力を模倣する。この特性を使い地球の魔力を模倣し、星界門を開くのだ。


 アムルが星界の門を開く。そこは、異様な魔力に包まれた広大な空間だった。終わりが見えない、無限の空間。この空間に漂っている魔力は、そこにいる存在から魔力を吸収する。また、あらゆる状態異常を及ぼす魔力も漂っている。常人なら、この空間を認識することも無く即死するだろう。

 だが、アムル達には効かない。アムルは、その何者をも寄せ付けない膨大な魔力で魔力吸収と状態異常は効かない。エレナ、セレナは神の魂により他の魔力を受け付けず効くことはない。エルティカインは、他の三人には劣るが、その膨大な魔力に物を言わせ、〈魔力遮断結界(イナヴェレジア)〉と〈聖天(フィアナ)〉により魔力吸収と状態異常を回避する。


 この門は、開く前にその先の世界の情報を持っていなければ、永劫にこの無限の空間に囚われてしまう。無限の空間は見えるが、扉を潜るだけで一瞬で異世界へと辿り着く。


 アムルは、ニヤリと笑い、口を開く。


「準備はいいか? お前ら」


 アムルが不敵な笑みを浮かべ、みんなに問う。

 他の三人は思い思いに返事を返した。


「えぇ、いいですよ」


「いいわよ!」


「いいよ」


「行くぞ」


 そして、四人は星界門を潜り抜けた。







ーー異世界で最強と謳われた界滅の魔王アムル・アヴィオレイアは地球へと帰還した。







お読み頂きありがとうございます。

誤字や文がおかしいということなどがあれば報告してもらえるとありがたいです。


○追記

2021年11月3日

・帰還後の話を、第二話.最強の帰還 ーー魔王の愛する家族ーーに移行しました。

・※アムル(夜月)の口調を少し修正致しました。


2021年11月4日

・セレナがエレナの姉といった設定を無くさせていただきました。


2021年11月6日

・破界神ナディアリアの神器”終焉の黒禍”だったところを、神器”破傲剣レヴァイシズ”に変更させていただきました。

・エルティカインの口調を修正致しました。

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