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また夢の中で  作者: 利根川渡
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稲佐山登山

僕はおそらく仕事の帰りにある女性を車で送っている。

そんなに親しい女性ではなく、特に好意を持っている相手でもない。


その人の名前は「イヤマさん」というのだが、

僕は実際に「イヤマさん」という名前の人を2人知っている。

しかし、夢の中の人はそのどちらでもない。


時間は結構夜中で、その「イヤマさん」の家の近くの広場のような所に着く。

それは、長崎の「稲佐山」という設定なのだが、

僕は実際には「稲佐山」には行ったことがないし、

それがどんなところであるのかも知らない。


広場の先の草むらの向こうに、

黒々と「稲佐山」がそびえているのが見える。


もう「イヤマさん」とは別れてしまい、

彼女は暗闇の中に消えて姿は見えなくなっている。

僕はすぐにでも車のシートを倒して寝てしまいたいくらいに疲れているのだが、

せっかくここまで来たのだし、「稲佐山」に登っていこうかと思う。


僕は「イヤマさん」に連絡して「稲佐山」に登る道を聞こうかとも思うのだが、

こんな夜中に連絡するのは迷惑ではないかと思う。

変に彼女に気があるように思われるのも嫌だった。

それで僕は車を降り、あてずっぽうに山の方へ歩いて行った。


「稲佐山」は霊山になっているらしく、登り始めてすぐに鳥居のようなものが見える。

鳥居は、見た目ではかなり遠く見えるのだが、

僕はすぐに山頂近くの神社の境内のような場所に着く。

そんなに高くはないとはいえ、100メートルくらいの高さはある山だ。


それなのに僕はちっとも疲れていないし、息も切れていない。

まるで霊体が体験しているような出来事だった。


山頂付近には初詣のように人が並んでいる。

初詣ならば寒い季節のはずだが、まったく寒いという感覚もない。

やはり霊体が体験しているようだった。


お参りの順番を待つ人々の中に見覚えのある人がいた。

それはスマップのメンバーだった中居正広だった。

中居は普段着のジャージのような服装だったが、

メイクだけが異常に派手で、黄色のアイラインが入っていた。


僕と中居とは旧知の仲らしく、

「お前、頭が薄いのが目立つようになったな」などと中居に向かって言っている。

中居は「うるせーよ」などと言っているが、田舎のヤンキーのようだなと思う。


中居を含む何人かと山を降りていると、

少し開けた場所に大きな歩道橋のようなものがあり、

そこからは少し下にある広場のような場所が見渡せる。

広場にはたくさんの人が行き来しているが、

そこから何かの鳴き声が聞こえてくる。


それはインド人が散歩させている、ジャイアントパンダの鳴き声で、

聞いたこともないような不思議な鳴き声だ。

携帯で動画を撮っておこうと思うのだが、

僕の携帯は旧式のガラケーで、

カメラが立ち上がるのに時間がかかる。


やっと撮影の準備ができた頃には、

インド人は広場を横切って見えなくなりそうである。

なんとか鳴き声は収録できたと思うが、

パンダがノシノシと歩いている様子を

いいアングルで撮れていないことがちょっと心残りだと思う。


山に登り始めた時は夜中だったのに、

パンダを散歩させるインド人を見たのは夕暮れ時だった。

そしてインド人は裸足で歩いていた。

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