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また夢の中で  作者: 利根川渡
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おかっぱ頭の少女とは誰か?

 少し前の夢に、かつておかっぱ頭が特徴だった女優が出てきた。僕の心の中にはおかっぱ頭の少女が住みついている。この少女は一体誰なのか?実は僕はその正体を知っている。彼女は遙か昔からこの地球上に存在している。この地球上に住む、たくさんの人間の心の中に住んでいる。

 彼女はとても淋しいと感じている、そしてとても人を恨んでいる。心の中に彼女が住みつくと、その人間もとても淋しくなり、そして人を恨むようになる。

 でももう彼女はうんざりしている。人を恨むのにも飽きてきているし、淋しいのも、もううんざりだと思っている。もう終わりにしたいと思っている。でもどうやったら終わりにできるのかがわからない。

 僕ももう終わりにしてあげたいと思っている。でもどうやったら終わりになるのかがわからない。ただひとつわかっているのは、僕が死んだからといって、終わりになるわけではないということだ。

 心の中に彼女が住みついている多くの人間たちは、自分が死ねば彼女の淋しさや恨みが解決するのではないかと勘違いしている。だからたくさんの人が、事故で死ぬ、病気で死ぬ、そして自殺する。彼女の淋しさと恨みだけが生き続け、またほかの人間の心の中に移り住む。

 淋しいからといって、恨んでいるからといって、殺しても殺しても、人間は次々に産まれて来る。彼女はもう、その無限のエネルギーにうんざりしている。怖れさえ感じている。でももう後戻りはできない。彼女も人間たちも、あまりにも遠くまで来過ぎているのだ。もう前に進むしかない。

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