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また夢の中で  作者: 利根川渡
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空室の黒猫

つげ義春さんの作品に影響を受け、

時々、印象深い夢を見た時にそれを書きとめていた。

もちろん楽しい夢を見ることもあるのだが、

そういう夢はあんまり覚えておらず、

恐怖のあまり、夜中に目が覚めてしまうような夢は、

細部までハッキリと覚えていることが多い。

その時々で文体は変わっているが、そのまま掲載する。

 この夢は、3年ほどの間に数回に渡って見ているのだが、そのおおまかなストーリーは以下のようなものになる。


 その夢の中で僕はある部屋を借りている。借りているというか、その部屋には住んでいないのだが、そこの部屋の名義は僕になっているようなのだ。最初の夢は不動産情報誌のようなものでその部屋を見つけて、そのマンションの外観を見に行くという夢だった。

 部屋は海の近くにあって、福岡市の石城町のような感じの場所、そこそこ都会の町中にある。部屋はメゾネットタイプで、5階と6階くらいにまたがっている。あまり大きなマンションではなく、その部屋が最上階のような感じである。そんなに悪くはないけど、家賃が高そうで、立地環境はあまり良くないなと思う。

 数ヶ月後、その夢の続きのような夢を見た。どうもその部屋を借りたようだ。そのマンションの近くには、造船所の下請けのような、モーターボートを修理する工場のようなものがある。しかし福岡市の石城町のような場所のはずなのに、なぜか夢の中では、石城町から数キロ離れている、清川のあたりにあるという設定で、清川から住吉を抜けて、自転車でちょっと行ったらそのマンションに着く、というイメージなのである。そして僕は福岡に住んでいるわけではないようで、時々福岡に来て、その部屋の様子を見に来ているようなのだ。しかし自分で住んでいるわけでもなく、人に貸しているわけでもなさそうだ。つまり部屋は空室として空いているのだ。

 僕は部屋が空室のうちに内装のリフォームをしようとして、壁紙の張り替えなどを業者の人に発注しているのだが、ということは借りているのではなく、その部屋のオーナーになったのかもしれない。

 そして更に夢の中では一ヶ月ほど時間が経ち、久し振りにその部屋を訪れた僕が、内装の仕上がりをチェックしていたら、ある場所のクロスが湿気ではがれて、そのあたりには黒カビが生えている。ああ、欠陥住宅なんだなと暗い気持ちになる。

 更に一緒に部屋を見て回っている女の子が部屋に何かがいると言い出す。この女の子が誰なのかはわからないが、年齢は20代くらいのイメージだ。マンションはメゾネットタイプでいくつか部屋があるので、その女の子はどこかの部屋を探しに行ってしまう。

 結局別の部屋に黒猫が閉じ込められていて、その猫はかなり衰弱している。内装工事の時に紛れ込んだのなら、もう一ヶ月くらい経っているから、よく生きていたなと思う。猫はもう猫ではない何かに変わっているようで、鳴き声もニャーニャーではなく、フシュー、グルルルルルーというような声だ。

 僕は近くのコンビニで猫缶でも買ってきてやろうと思うのだが、いきなり固形物的なものをやってもかえって悪いような気がして、牛乳とかがいいだろうかと思う。しかし冷たい牛乳というのも身体には良くなさそうなので、温めたほうがいいだろうか、でも猫は猫舌だし、常温が一番いいのだが、と思う。

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