パラポワネット
(* ̄∇ ̄)ノ 本編で名前だけ出てきてた深都の住人。パラポことパラポワネット。
パラポワネット。愛称パラポ。下半身は巨大アリの半人半獣の業の者。パラポは条件付きで虫系の魔獣を操る力を持つ。
かつては深都で穴蔵に引き込もっていた。
穴蔵とは深都の住人の精神医療施設でもあり、また棄人化の恐れのある者を隔離する為の施設でもある。
パラポはハイアディと共にこの穴蔵で暮らしていた。人に対する絶望が深く、穴蔵で泣き暮らしていた。
それが、カダールとゼラの二人を見続けていることで、人に疑いを持ちつつも精神が安定していく。パラポ自身、カダールとゼラの二人を見て、自身が落ち着いていくことを不思議に感じていた。
ハイアディもまた同じく、穴蔵の住人達はアシェの手により送られてくる、カダールとゼラの暮らしを熱心に見続けていた。
母神の瞳で送られるカダールとゼラの暮らしを見て、精神が安定していく者が増えることを、深都ではおっぱいいっぱい男効果と呼んだ。
「……こんな男もいるのね」
「ゼラに怯えるどころか、ギンギンじゃない……」
「ゼラの蜘蛛の脚が引っ掻いても、ゼラに傷口から出る血を舐められても平気なんて……」
「平気どころか、うっとりしてない?」
「信じられない……」
「これが、勇者カダール……」
深都の住人達はカダールとゼラに注目する。
そしてハイアディは誘われるままに深都を逃亡。
ある面でアシェ以上に人に恨みを持ち、心を病んでいたパラポ。しかし一方でパラポは理知的であった。その知性が更に本人を苦しめたりするのだが、理性的で論理的なところがある。
中央へと何らかの手を打たねばならなくなったとき、珍しくパラポは穴蔵から出て、十二姉に自分の考えた策を話す。
十二姉は闇の母神を支える為に手段は選ばないが、人類領域への大きな関与は敬遠していた。
「それでも一度、思いきった手を打たねば、中央から人の堕落は他の地に蔓延するのではないかしら?」
パラポの提案に、これまで得た人類領域の情報を調べ直し、十二姉はパラポの策に手をくわえて実行することをついに決意する。
こうして人類領域中央に魔蟲新森が誕生した。
十二姉が主導し、パラポはこの計画に大きく関わることになる。パラポ以外にも地中で活動できる深都の住人の多くが計画に関わった。
パラポは覚悟していたものの、自分の提案した計画の結果に出た大きな被害を目にし、再び心を病む。
魔蟲新森計画は、繊細でネガティブなパラポには精神への負担が大きいものだった。
パラポはするべき事を終えたあとは、再び穴蔵へと戻った。
住み慣れた穴蔵のパラポの部屋に、訪ねて来たのは十二姉の一人、半人半龍のヴォイセスファセス。
「パラポ、調子はどうだ?」
「ヴォイセスねえ様、ようこそ。最近はうなされることも少なくなりましたわ」
「そうか」
「人類領域は、どうなりましたか?」
「後のことは我らに任せておけ。パラポはゆっくり休むといい」
「いいえ、己のしたことの果てを、お姉さま達に任せて休むなど」
「我ら十二姉はその為に在る。妹の為に身を張ってこその姉だ。我らからパラポの姉の役目を奪わないでくれ」
「……ズルい言い方で甘やかすのね。ヴォイセスねえ様は」
「パラポもララティくらいに、呑気に考えると良いのだが」
「ララティのあれは、私達の気を晴らす為に、わざとやっているところがあるのですが……」
「深都には必要ではあるが、あいつはたまに限度を忘れるからな」
「ふふ、そのララティのお腹が、子供達のベッドになるなんて」
母神の瞳を通して伝わるその映像の中。様々な色の花の咲く花壇の側。正体を現して横になるララティの腹を枕にして、カラァ、ジプソフィ、フォーティスの三人の子供達が昼寝をしている。暖かな陽射しが注ぐ中、日が当たらないようにと屋敷のメイドが日除けの布を立てる。
『むふふ、あちの腹毛が子供達の人気ナンバーワンだぴょん』
『いや、人気でいうならあたいの方が』
『む? クインよ、ソレガシの尻尾が負ける筈が無かろう』
『あなた達、何を競ってるの? クッションに何が一番かなんて、子供達が選ぶのはゼラの褐色の双丘でしょうに』
『あー、あれには勝てないぴょん。あれは反則だぴょん』
『ララティ、クッションは静かにしてなさい。騒がしくしてたら子供達が起きてしまうわ』
眠る三人の子供達を囲み、そこにいる深都の住人が好き勝手なことを言う。それを見るパラポの口許に笑みが浮かぶ。
「ふふ、私も一度、あの子達に触れてみたいわ……」
「できるだろう。そう遠くない未来に」
深都の穴蔵の中。十二姉ヴォイセスファセスに抱かれるパラポは、夢見るように子供達の寝姿を見守る。
深都には人の未来を守るために、人知れず心を痛めながら、役目を果たす乙女達がいる。パラポもまたその中の一人。
(報われることなど無いと思っていた。だけど……)
影から人を滅日から遠ざけた、彼女達の胸の奥、暖かな火が灯る。新たな時代を予感させる、鼓動と共に。
設定考案
K John・Smith様
加瀬優妃様
m(_ _)m ありがとうございます
( ̄▽ ̄;) 本編で出番は無いものの、裏方として重要なことをしてました。
下半身は大アリのお嬢様。責任感が強いものの、繊細でネガティブで落ち込みやすいところもあり。ハイアディと仲良しです。




