マジカルゼラ!! ~聖夜の新たなる珍入者~
(σ≧▽≦)σ ファンアート、頂きました。急遽マジカルゼラ!
「ぐっふう……、流石だ、マジカルゼラ……」
大の字に倒れた豪華なローブのガイコツ、ハイリュウが倒れたまま瀕死の声を出す。
「……相変わらずのバカげた魔力、去年よりも鋭くなった接近格闘の技の冴え、見事……」
全身を滅多打ちにされ、ピクピクと足がヤバイ感じの痙攣をしながらも渋い声で勝者のマジカルゼラを讃えるハイリュウ。
それを見下ろすのは疲れて息を荒げるマジカルゼラ。
「はー、はー、また邪魔してー、もー」
またもやハイリュウはマジカルゼラに勝負を挑み、怒りのゼラにコテンパンに叩きのめされたところ。今回の決め技は蜘蛛糸拘束落下式アルケニードライバーだ。
「ゼラのサンタコス、返してもらうからねっ!」
「う、うむ、約束どおり返す……」
ズタボロになり動けないハイリュウを見下ろす九官鳥のクインが呆れて言う。
「ハイリュウ……、ゼラを本気にさせるためにって、ゼラのミニスカサンタ衣装を盗むって、お前な」
「ぐふう、そうでもせんと、ワシの挑戦を無視するじゃろうが。大晦日の魔獣格闘大会の招待状も無視しよるし……」
「大晦日? 魔獣格闘大会? あれ、まだやってたのか?」
「うむ、人気が落ちてテレビ放送はしとらんが、熱烈な魔獣格闘ファンの為に毎年やっとるわい。マジカルゼラが出なければ、ワシの優勝じゃろうが」
「まー、ハイリュウも魔獣格闘者の中じゃ、もとチャンピオンだしなー」
「もとチャンピオンでは無い! いずれまたワシが魔獣王へと返り咲く! ベルトはそれまでマジカルゼラに預けてあるだけじゃ!」
マジカルゼラはハイリュウの声に、ぷくー、と頬を膨らませる。
「そんなツマンナイことの為に、ゼラとカダールの大切な日を邪魔しようなんて、もー」
「ツマンナイとはなんじゃい! 魔獣王とはあらゆる魔獣の頂点であり、魔獣の夢と希望の存在なんじゃ!」
「そんなの知らないもん! そんなことの為に人の家に勝手に入って、ゼラのサンタコス盗んでくなんて、この変態」
「タンスの中にサンタコスやら巫女コスやらナースコスやら、あげくにはド■ンジョコスまでを揃えとる、あのカダールという男が変態なんじゃないか?」
「だって、カダールが可愛いって、言ってくれるし」
「変態はお前か? マジカル色ボケか?」
「ゼラは変態じゃないもん! らいっ!」
「わぎゃー!!」
マジカルゼラは動けないハイリュウに雷の鞭を飛ばす。今度こそ身動きできなくなったハイリュウに背を向けて走り出す。
「ン、これで今年こそは、クリスマスにサンタコス、むふふー」
ハイリュウからミニスカサンタコスを取り返し、カダールの家に戻るゼラ。
去年のクリスマス、ゼラはカダールと聖なる夜を過ごすつもりだった。しかし、人の風習に疎かった去年のゼラはクリスマスの日を間違えてしまった。
「今年こそは、せいなる夜に二人っきりで」
「あ、あのゼラ?」
「なに? クイン?」
「聖なる夜、をひらがなにすると、またツッコまれるからやめた方が」
「?なんで? クリスマスイブは恋人同士が愛を確かめ会う、せいなる夜なんでしょ?」
「いや、そのあたりどうなんだ? クリスマスってのがよくわからないけど。本編で、せいじゅー、と言っていっとき物議を醸したじゃないか」
「ン? せいじゅー、ダメ? なんで?」
「あー、日本語って、難しいよなあ……」
邪魔者は倒し、ケーキにシャンパンと準備を整え、ミニスカサンタコスも取り返し、今年は準備万端整えてクリスマスイブを迎えるマジカルゼラ。
赤紫の瞳は既にハートの光が浮かんでいる。
「今宵こそ、カンペキ! カダールー♪」
遂にマジカルゼラスピンアウトはノクターン送りになってしまうのか? 妨害予定の悪魔ピージョンは既にボッコボコにされ、今は自宅で療養中である。
そして運命のクリスマスイブ。
「どう? カダール?」
「あぁ、可愛いよゼラ」
ミニスカサンタコスでカダールの前に立つゼラ。そしてゼラならば、何を着ていても可愛いと言うベタ惚れのカダール。キャンドルの明かりに照らされて、既に空間はピンク色だ。流れるBGMもアダルティなバラードだ。
「カダール、サンタはね、優しい人にプレゼントをあげるの」
「子供じゃ無くても、もらえるのか?」
「むふん、大人には大人の、プレゼント」
二人の距離が縮まる。ゼラがサンタコスから溢れそうになる褐色の双丘をカダールに押しつける。ゼラの赤紫の瞳が潤み、二人の唇が接近していく。
その時、
「クリスマスケーキをお持ちしたぴょーん!」
ドカンと音高く扉を開けて、一人の人物が現れた。絶妙のタイミングで現れたその人物は、
「だ、誰?」
「問われたならば応えるぴょん! あちはルナバニーのラッカラックランティ! ランランマジカルララランララティ! マジカルゼラに初登場ぴょーん! ケーキ持ってきたぴょん」
「頼んでないもん! 呼んでないもん!」
「さっさと呼ぶぴょん! あちもマジカルゼラに出たいぴょん! もっと出番をよこせぴょん!」
そこに現れたのは、新たなる魔法闘女、マジカルララティであった。
「あちもクリスマスバージョンぴょん! サンタコスぴょ、可愛いぴょん?」
「な、なんで邪魔するのー? もー!」
「お? あちとやるぴょん? 思い返せばゼラとバトルの初めてぴょん?」
おい、ララティ。マジカルゼラと本編は舞台が違うという設定でだ。
「ナレーションがなんか難しいこと言ってるぴょ。だけど、あちは何処の舞台でもあちだぴょん」
ただでさえ、マジカルハイアディという乱入者に、え? これどうすんの? となっているというのに。お前はただでさえ制御がきかんというのに。
「いやー? あちはルミリアとハラードほどじゃ無いと思うぴょん」
あ、ゼラが怒ってる。赤紫の瞳が危険な光を放ち、眉が危険な角度に。
「いきなり現れてメタな話をして、雰囲気ぶち壊しー! この邪魔しんぼー!」
「お? 来るぴょ? ならばこのララティの新技、聖夜の月兎斬をいよいよ魅せるときがきたぴょん!」
「あったまきたー! ゆるさないー!」
呆然とするカダールの目前で、二大魔法闘女の戦いのゴングが鳴り響く。
「……カダール、とりあえずケーキ、食べるか?」
「クインは落ち着いているな……」
イラスト、別荘の主人
m(_ _)m ありがとうございます。
( ̄▽ ̄;) 急いだけど、日付が変わっちゃった。




