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マジカルゼラ!! ~ころころハイリュウくん?~

(* ̄∇ ̄)ノ ちっちゃくなったハイリュウ


「ムー、カダール、お酒くさいー」


「う……、すまん、ゼラ。水を……」


 朝、カダールはベッドで片手で頭を抱えて身を起こす。ゼラが水の入ったグラスをカダールに渡すと、カダールは「ありがとう」と言って水を飲む。それを見たゼラは、ぷうっと頬を膨らませる。


「次の日、二日酔いでツライってわかってて、どうしてお酒を飲むの?」


「あぁ、昨日はエクアドと会社の後輩のグチを聞いててな。どうも取引先がちょっと面倒で……。まあ、大人はそうして、酒を飲みたくなるときもあるんだ。付き合いとかもある」


「お仕事、たいへん?」


「ちょっと忙しかったが、一区切りついたところで、その打ち上げというのもある」


「せっかくのお休みの日なのにー」


「じゃ、午後からどこか出掛けようか?」


「その前に、シャワー浴びる?」


「そんなに酒くさいか?」


「うん、だからゼラがカダールを洗ってあげるね」


「おい、ゼラ?」


「むふん♪」


 ゼラがベッドの上のカダールに覆い被さる。カダールの着るパジャマのボタンに指をかけて、ひとつ、ふたつと外していく。


「おい、ゼラ?」


「昨日は帰ってきたらすぐにバタンだもん」


「すまない。代わりに今日は一日、ゼラと一緒で」


 ゼラはボタンを開いたパジャマの胸に顔を寄せる。現れたカダールの胸板に、ちゅ、と音を立ててキスをする。カダールはゼラの黒髪を優しく撫でる。むふん、と鼻息するゼラの首筋にカダールの手が動く。首をすくめて目を細めるゼラ。

 ここしばらく仕事の忙しかったカダール。ゆっくりイチャイチャできるとニンマリするゼラ。まるで子猫が甘えるようにゼラは身体を擦りつける。それを笑顔で迎えるカダールの指が、ゼラをくすぐる。そろそろと動きゼラの服に指をかける。


 ここから先には全年齢板ではちょっと、というその時、


「たいへんじゃー! 一大事じゃー!」


 突如、部屋に現れた小さなガイコツが、カダールのベッドに現れる。驚く二人が見る先には、小さな手乗りガイコツのぬいぐるみのような謎の存在。そのちんまいガイコツは呆れたような口調で喋る。


「お前ら、この異変のときに何を朝からいちゃついとるんじゃ! この色ボケ娘! あのな! 紫影鏡の写し身が!」


「また邪魔しに来たー! 今度はストーカーのガイコツさんのちっちゃいのがー!」


「ストーカーでは無い! ワシの名はハ」


「もー! あの悪魔といい、いっつもいっつもいいところでー!」


「いつもいつも隙あらばイチャつこうとしとるお前らが悪いわい! ワシらが邪魔せねば放送禁止でノクターン送りじゃ! 本編でどれだけ心配されたかわかっとるのか?」


「好きなんだからしょーがないじゃない! この邪魔しんぼ! らいっ!」


「わぎゃー!?」


「もう、まったくもう」


 マジカルゼラは不機嫌になる。目の前の小さなガイコツ、マスコットのようになったころころハイリュウくんを半目で見下ろす。

 寝起きのカダールと心おきなく朝のイチャイチャをしようとしたところで、ハイリュウに邪魔をされて怒っている。


「カダールとデートしてたら変な悪魔に邪魔されるし、仕事帰りのカダールをお迎えに行ったら、ガイコツストーカーが対決しろって迫るし、この前だって、」


「いや、あのな? 一大事なんじゃ。状況わかっとるのか?」


 身体が小さくなった為にいつもの渋い声が少し高くなっているハイリュウ。ゼラの魔法の雷を受けても少し焦げただけで元気に立ち上がるところは、流石不死身のアンデッド、骸王龍ハイリュウである。


「だいたい、マジカルゼラ、お前が処分に困ったマジカルゼラシャドウをワシに押し付けるからこんなことになっとるんじゃ。全部ワシのせいにするんじゃないわい」


「マジカルゼラシャドウ? あの紫の髪の?」


「説明するからよく聞けよ、つまりだな」


 説明しようとするハイリュウをカダールが止める。


「すまん、先にパジャマを着替えてもいいだろうか?」


「着替えながらでいいから、お前も聞け」


 そしてハイリュウは事のあらましを語る。動かなくなったマジカルゼラシャドウに試しに魔力を注いでみたら、ハイリュウの魔力が奪われ、マジカルゼラシャドウが勝手に動き出したことを。


「紫影鏡が割れたのは聞いとる。しかし、紫影鏡から現れた写し身がどうなるのかは解らん」


 ハイリュウの話を聞いた九官鳥のクインが呆れたように言う。


「それで魔力を奪われて、そんなマスコットみたいな可愛らしい姿に? お前もたいがいデタラメだな」


「九官鳥の姿にされとるお前に言われたくないわい。いったいどんな悪さをしてその姿に封じられとるんじゃ?」


「こっちにはこっちの都合があるんだよ。ころころハイリュウくんには言われたくない」


「誰がころころハイリュウくんじゃ。ワシは骸王龍ハイリュウじゃ!」


「ゼラに負けてから、王様でもなんでも無いくせに」


「ワシの心が折れぬ限り、ワシはワシの王なのだ!」


「その王様が自分でどうにもならないから、ここに来たんだろうに」


 九官鳥とガイコツマスコットの賑やかな言い合いを見つつ、着替えて外に出る準備をしたカダールがハイリュウに訪ねる。


「奪われた魔力というのは取り返せないのか? ハイリュウはその姿のままなのか?」


「三日もすれば奪われた分は回復する。そうすればもとの姿となる。だが、ワシの魔力で動き出したマジカルゼラシャドウが何をするか解らん。外に出て見失ったので、本体のマジカルゼラと決着をつけるのかと、ここに来たんじゃが」


「ここにはマジカルゼラシャドウは来ていない。だが、ゼラそっくりのあの紫の髪のゼラの写し身が、街で悪さをするかもしれないか。ほおってはおけない」


 ゼラがぷくー、と頬を膨らませる。


「えー? カダール、今日のおでかけは?」


「ゼラの偽物がおかしなことをすれば、ゼラの評判が悪くなるかもしれないし。ゼラ、二人でそのマジカルゼラシャドウを探しに行こう」


「むー、」


 ゼラは不機嫌な顔のままカダールの手を握る。


「おい、ワシを置いていくな」


 ころころハイリュウくんがカダールの身体をよじ登る。


◇◇◇◇◇


 一方その頃、一人の美女がゼラの住む街に向かっていた。


「ろうぐう市? あれがマジカルゼラの住む街……」


 青い髪の美女は拳を握り、気合いをいれる。


「あの街なら、スキュラの私でも、人と仲良くできるのかも。マジカルゼラみたいに正体を隠せば、恥ずかしくは無いし、それでマジカルゼラみたいに活躍すれば、私でも……」


 ゼラの故郷、魔法の国のスキュラのハイアディは引きこもりである。引っ込み思案で恥ずかしがり、それでいて誰かに甘えたいという、ちょっと困った女の子である。


「顔を隠すマスクも作ったし、これなら顔を見られないから、何をしても恥ずかしくないわよね」


 スキュラのハイアディは自作のマスクをスッポリと被り顔を隠す。まるで怪しい覆面レスラーのようである。

 顔を隠して正体を隠せば恥ずかしく無い。しかし、正体を隠したまま善行を為しても、誰がしたか解らない。それで正体のスキュラと仲良くできる人が現れるかどうか。


「うう、だけど、人間コワイ……。ううん、でもここで頑張れば、私もマジカルゼラみたいに……。素敵な彼に守られながら同棲……」


 手を組み妄想に浸る覆面女。スキュラのハイアディは長い引きこもり暮らしで、ちょっと病んでいた。


「が、がんばる。今日からマジカルハイアディとして、私がんばる」


 思い込みのままに魔法の国を抜け出し、今ごろ、ハイアディ捜索隊が慌てて探していることを、ハイアディは知らない。

 謎の覆面スキュラ、マジカルハイアディがカダールの住む街に現れようとしている。


「あら?」


 人影を見て、慌ててハイアディは身を隠す。


「なにかしら? あの怪しい黒づくめの集団……」


 覆面をして身を隠す謎の女に怪しいと呼ばれる集団。それは黒スーツに黒のサングラスの集団。どう見てもヤクザかマフィアという男達。


「くくく、まさか偵察に行った先でマジカルゼラシャドウを発見できるとは。これはツイている」


 それは人に化けた悪魔の集団。悪魔ピージョンとその一味であった。その集団は一人の女の子を囲んでいる。その女の子は肩からスッポリと黒の外套で首から下を隠している。

 隠れている覆面の女はそれを見て首を傾げる。


(……あれ、マジカルゼラ? 髪の色が黒から紫になってるけど、イメチェンかしら?)


 黒のスーツでかためた悪魔ピージョン。その姿はまるで、冷酷なインテリヤクザのような姿。これでも一応、人の社会に溶け込む変装である。


「マジカルゼラシャドウ。長いのでシャドウと呼ぶか。大人しく我らの秘密基地に来い」


 紫の髪の女の子は、悪魔ピージョンの言葉に首を傾げる。


「しゃどう? それが私の名前?」


「さすが魔神ケージョン様の魔神装具。壊れてもその力ははかり知れん。写し身が自我を持つとはな」


「まじんそうぐ? あなたは、私のことを知っているの?」


「言葉は話せるが、記憶まではコピーされてはいないのか? あぁ、俺はお前のことを知っている。よく知っているとも」


「教えて、私は誰? ここはどこなの? あなたは誰?」


「俺は悪魔ピージョン。魔神装具にて、シャドウ、お前を作った者だ。いわば、お前の造物主、というところか」


「私を、作った?」


「そうだ。言い換えれば、お前の父とも言える」


「お、お父さん? あなたが? あなたが私のお父さんなの?」


「アイム、ユア、ファーザー」


「ダディ!」


 悪魔ピージョンへと走り、がしっと抱き締めるマジカルゼラシャドウ。悪魔ピージョンはシャドウを受け止め抱き返す。


「さあ、父さんについてきてくれるかな?」


「はい、お父さん!」


「いい子だシャドウ。さあ、こっちだ」


 悪魔ピージョンはほくそ笑み、シャドウの手を取る。

 自我に目覚めたばかりで記憶も無いシャドウは、言われたままに素直に、父を名乗る人と手を繋いで歩き出す。

 そのとき、


「待ちなさい!」


 行く手を塞ぐように現れたのは、レスラーのような覆面を被る謎の女。


「あなた達、誘拐犯ね! 子供を騙して連れ去って、外国で売り飛ばす魂胆なのね! 私知ってるわ、あなたみたいなのをヤクザって言うんでしょ!」


「なんだこのおかしな覆面女?」


「私は、愛と正義とニートの使者! マジカルハイアディ! 少女誘拐なんて赦さない!」


「訳の解らん奴、お前ら排除しろ!」


 悪魔ピージョンの一味とマジカルハイアディが、シャドウを巡って対決する。カダールの住む街に新たな危機が訪れようとしていた。




うわぁ Σ(・□・;P

「……カオスだ、急展開だよマジカルゼラ!」



「マジカルハイアディ!? 」

はい!? Σ( ̄□ ̄;)

「あった、ありましたね、そんな案が!

でも、覆面!? すでにスタートがおかしい!」


(; ̄∇ ̄) ど、どこに転がっていくのだろう?


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