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魔法闘女マジカルゼラ!! (TV版)

なんと、ゼラのバルーンアートを作っていただきました。嬉しさ余ってマジカルゼラ。


「じゃあねー」

「また明日ー」


 学校からの帰り道、同じクラスの友達と別れて家に帰る道を歩く。夕日の中でぼんやりと。

 学校は楽しくて、転校してきたばかりだけどすぐに友達ができた。


 だけど、なんだろう? この物足りない感じ。


 一人になってふと感じるのは、そんな違和感。


「セーラ、今、帰りか?」

「あ、おにいちゃん」


 この街に引っ越してきて再会したいとこのおにいちゃん。昔から優しくて、温かくて。そのおにいちゃんがセーラの頭を撫でる。


「もー、おにいちゃん、すぐ子供扱いするー」

「セーラの頭が、手を置きやすい高さなんだよ」


 見上げるおにいちゃんがセーラの頭を優しく撫でる。

 だけど、セーラがおにいちゃんを、見上げる? 見上げたおにいちゃんは柔らかい赤毛のカッコいいおにいちゃん。その顔を下から見上げることに、小さな違和感。


「クアアアア!」

「なんだ? カラスか?」

「おにいちゃん、あれはカラスじゃ無いよ。九官鳥だよ」

「なんでここに九官鳥が?」


 見上げる夕日の空から九官鳥が一羽、飛んでくる。おにいちゃんに真っ直ぐ飛んできて、その足でおにいちゃんを引っ掻くように。


「なんだこの鳥? クソッ!」

「おにいちゃん!」


 おにいちゃんは通学カバンを振り回して九官鳥にぶつける。九官鳥は鳴き声を上げて道に叩きつけられて、おにいちゃん?


「こんな鳥が、なんでここに?」

「……おにいちゃん、どうして?」

「どうしてって、いきなり引っかかれたのは俺なんだけど」

「おにいちゃんはそんなことはしない!」


 おにいちゃんは優しくて、自分が痛い目にあったって、自分より小さな鳥にこんな酷いことはしない。いつも誰かをまもろうとして、それでケガばかりしてて。

 目の前のこの人は、同じ赤毛で、同じ顔をしているけれど、


「あなたは、誰?」

「俺はセーラのいとこで幼馴染みの、」

「違う! カダールはいとこじゃ無い!」

「セーラ?」

「違う! ゼラはセーラじゃ無い!」


 地面に叩きつけられた九官鳥がヨタヨタと起き上がる。


「やっと思い出したか、ばかゼラ」

「クー子!」


 そうだ、この九官鳥はクー子だ。口が悪くてお酒が好きで、でもゼラのお姉さんみたいにいつも見守ってくれて。


「こっちにさんざん介入してみた甲斐はあったか」

「ただの九官鳥では無いな! お前がずっと邪魔をしていたのか!」


 おにいちゃん、ううん、赤毛の男は目を吊り上げてクー子に怒鳴る。


「はん! あたいが介入しなくても、ゼラなら自力で思い出しただろうよ! お前が作ったニセカダールを見抜いてな!」

「このドリームワールドは俺の世界! ここに取り込んで俺の意のままにならぬ者など!」

「お前の作ったニセカダールは甘いんだよ! 本物のカダールはな、ゼラが思いっきり抱き締めて、それで骨が折れても『俺はこんなにゼラに愛されているんだ』って笑う筋金入りのド変態なんだよ!」

「クー子! カダールは変態じゃ無いもん! 凄く優しいだけだもん!」

「いいや! あいつは鋼メンタルのドM男だ! でなけりゃゼラの側にいられるもんか!」

「クー子酷い!」

「酷いのはゼラがカダールにしてることじゃ無いのか?」


 赤毛の男は仮面の笑みを捨てて、憎々しげにクー子を睨む。


「クソッ、アルケニーの力を取り込み、この大悪魔ピージョン様が真の魔王に覚醒する計画が、こんな鳥一羽のために!」

「ピージョン、お前の企みはもう終わりだ!」

「だが、このドリームワールドは私の世界! 記憶を取り戻してもここからは逃がさん! また暗示をかけ直してくれる!」


 赤毛の男、大悪魔ピージョンがその正体を表す。学生服が破れその身体が膨らむ。獅子、山羊、蛇、龍、いくつもの頭を持ち何種類もの獣や鳥の脚を生やす巨大な黒い姿へと。

 いくつもの魔獣をその身に取り込み強大になった大悪魔ピージョン。


「このドリームワールドでは、私が神だ!」


 見上げる巨大な合成されし悪魔を前に、九官鳥のクー子がゼラに言う。


「ゼラ、もう思い出したんだろ?」

「ウン、」


 赤毛の頭をいつも見下ろしていたのはゼラの方。だってゼラの方が背が高いから。ゼラの下半身は大きな蜘蛛だから。

 さよならセーラ、二本の足の人間の私。だけど、


「ゼラの脚は、七本なの」

「だったら夢から覚めてもとの姿に、変身だ!」

「ウン! ブラック、ブラック、ウィドウ。ビヨンド、トゥ、ディザスター!」


 七色の光がゼラを包み、ゼラがもとの姿を思い出す。舞い踊る虹の中から、長い黒髪、赤紫の瞳、下半身は黒い大蜘蛛の少女が現れる。虹色の光がたなびく純白のドレスが煌めく。


「戻身! マジカルゼラ! ふっかつ!!」

「このドリームワールドで夢に溺れていればいいものを!」

「偽物の世界なんて要らない! カダールの側に帰る!」



 ◇◇◇◇◇


 次回予告


 ついに呪縛を破りもとの姿を取り戻したマジカルゼラ。ドリームワールドに閉じ込めようと立ちはだかるは大悪魔ピージョン。マジカルゼラはもとの世界に帰れるのか? 次回『夢の世界の激闘』に、めっさつびー!

 銀の糸の繋ぐ先には?


 ◇◇◇◇◇


 エンディングテーマ

 あるけに音頭


♪糸を繋いで、あなたと私

 手のひら重ねて、想いを綴る

 好きと思えば、地の果てまでも

 告げる言葉は、勉強中だけど

 昂る想いは、身体に出すの


 さー、皆さん、お手を拝借ー!


 さん、はい♪

 わきわき、ぽむぽむ、しゅぴっ、しゅぴっ


 もいっちょ♪

 わきわき、ぽむぽむ、しゅぴっ、しゅぴっ


 溢れる想いを、見えない糸で

 あるけに音頭で、伝えましょ


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


設定考案

K John・Smith様

加瀬優妃様


友情出演、P John・Smith様

バルーンアート、K John・Smith様


m(_ _)m ありがとうございます。



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