メイドさんが家に来た その3
(* ̄∇ ̄)ノ メイドのフィスノ、ハイアディのシチューを実食。
台所のテーブルの上、できたシチューにフィスノが焼き直したパンを並べて、いただきます。
フィスノは椅子に座ってて、私はフィスノの正面に腰を下ろす。下半身の触手がうねうねと広がってしまうけど、フィスノの足には触れないように気をつけて。
「ホントに美味しいわ、このシチュー」
フィスノはもとから細い目が楽しげに細めて、シチューをスプーンですくって口に入れる。
「見た目はまるで、石膏か壁を修理するのに使う溶剤みたいなのに、美味しくてなんだか身体がポカポカするみたい」
「えっとね、私は触手の粘液を操作するのが得意なの。それで、人の身体に必要な栄養素を作って、それをシチューに入れてるの。だから人の身体にはいいハズ」
「それって、薬膳みたいなもの? 栄養が良すぎて太ったりしないの?」
「うん、脂肪のもとになるのは少なくして、骨とか丈夫になって、お肌にも良くなるようにって。いつもはレーンを見て、レーンの身体にいいようにって、考えながら」
うん、レーンに美味しいって言ってもらいたいけれど、それでレーンがぷくっと太ったりしたらヤダから。今回はフィスノを見ながら調整したから、鉄分がちょっと多目かな。
私の説明を聞いてフィスノが更に嬉しそうに。
「お肌にいいシチュー。魔法のシチューね。これをルミリア様が知ったら喜びそうね。ルブセィラ様がこのシチューを見たら、目の色を変えて成分分析とかしそうね」
パクパクとシチューとパンを食べるフィスノを見て、安心する。
「良かった、フィスノもレーンと同じで」
「ん?」
「私の下半身から出た粘液が入ってても、食べられるから」
「ぶばっしゅ!?」
きゃあ!? フィスノが口と鼻からシチューを吹き出した? げっほげっほと咳き込んでる?
「え、えほっ、ハイアディ、けふっ、その言い方はその、」
あう、やっぱりダメだった? 触手の先でタオルをとってフィスノの顔とテーブルの上を拭きながら、ちっちゃくなりたくなる。うう、ツボに入って隠れたい。
「下半身の粘液、と言うと、途端になんだか、いやらしくなるわね……」
「はう、その、わ、私もちょっと恥ずかしいんだけど、レーンは、その、喜んでくれて」
「レーン様は、いつもこのシチューを食べてるの?」
「いつもはレーンが外で買ってきたものとか、レーンが作ったものを一緒に食べてるの。だけど、レーンは守備隊のお仕事もあるし、私がお料理するのは、たまに、なんだけど。あ、でもレーンからお料理を教えてもらいながら一緒に作ることもあって」
「そう。ふうん、レーン様はこのシチューを喜んで食べてるのね」
喜んで食べる、というか、その、私に見せつけるようにイタズラっ子みたいな顔で、ニマニマしながら食べてます。私も少し慣れたけれど、そしたらレーンは『ハイアディの触手の粘液は美味しいですね』とか言って、はう、この前は『ハイアディ、直接舐めてみてもいいですか?』とか。私が恥ずかしくてモジモジするのを、ニマニマして見て、楽しむみたいに。レーンてば、もう。
「ハイアディ? どうしたの急にモジモジして?」
「な、なんでも、なんでもないです」
「でも、本当に美味しいわね、ハイアディの下半身から出た粘液……」
「そ、その言い方は、ちょっと、その、」
はう、触手が赤くなっちゃう。ウネウネしちゃう。ごまかすようにパンをちぎって口に入れる。もぐもぐ。
「ハイアディは食事はレーンに合わせているの? 生食じゃなくて大丈夫なの?」
「フィスノも、深都の住人の食事のことは知ってるみたい?」
「それはもちろん。この家に来る前に、アシェとクインともお話ししてきたわ。ハイアディのお姉さんになる心構えとか」
「え? そんなことしてたの? アシェとクインはなんて言ってたの?」
「ハイアディは引っ込み思案なところがあるから、あとは、繊細なところがあるから、気をつけて見るようにって」
それは、うん、アシェとクインに比べたら。というか、あの二人がしっかりしてるというか、図太いというか。だから十二姉に信頼されて人間領域を調べたりできるんだけど。
「だけど、ハイアディは誰も見ていないところではいろいろしでかしたりするから、気をつけてって。それで深都から家出してきたのよね?」
あう、だってそれは、その、おっぱいいっぱい男とゼラが、
「そこに悪気は無いけれど、暴走注意とも言っていたわね」
「もう、アシェもクインも……」
心配してくれるのは嬉しいけれど、私をその、目を離すと何をしでかすか解らない危険人物みたいに言わなくても。
「私、この街を騒がせるようなことなんて、しないから」
「そうね。このシチューはハイアディの正体を知ってる人以外には、食べさせないほうがいいわね。お店で出すと売れそうだけど」
「売れるの? このシチュー?」
「身体に良くて美味しい薬膳シチューだもの。それにハイアディの触手の粘液以外は特別な材料も使って無いし……」
言ってフィスノはスプーンをくわえて、私の顔をじっと見る。
「身体に良くて、お肌にもいい。不思議な感じのとても美味しい魔法のシチュー。作れるのはハイアディだけ、となると食べてみたがる人は多そうよ」
「そうなの? 人には作れないだろうけれど、そんなにスゴイ効果は無いのに」
「妖精のような美少女の手作りシチュー。しかもその美少女の下半身から出た粘液入り。これは特殊な客層に高値で売れるかも」
「そ、それはなんかイヤ」
特殊な客層って、なに? まさか、私が吊るされてシチューの原料の粘液を搾り取られたりとか、無いわよね?
設定考案
K John・Smith様
加瀬優妃様
m(_ _)m ありがとうございます
( ̄▽ ̄;) 特殊な客の一番手が、レーン?




