マジカルゼラ!! ~ハイリュウの失敗~
(σ≧▽≦)σ ゼラのバルーンアート第10弾。わっしょい!
(* ̄∇ ̄)ノ 2019年11月、K様からのシーン再現バルーンアートを追加。
ハイリュウは悩んでいた。
「紫影鏡から現れた、マジカルゼラの写し身、か……」
石像のように硬直した紫の髪のマジカルゼラシャドウ。
処分に困ったマジカルゼラが、『これガイコツさんにあげる』と放り投げるようにしてハイリュウに渡してしまった。
受け取りはしたものの、等身大のゼラそっくりの石像を抱えてハイリュウは悩む。
「まったく。これをワシにどうしろと? ワシは粗大ゴミ回収などしとらんぞ。紫影鏡が無くなった今、この写し身を動かす魔力も無いではないか。このままではゼラそっくりの、ただの置物でしか無いというのに」
ハイリュウは自宅のマンションへとゼラそっくりの石像を持ち帰る。自宅の一室に置いた、紫の髪のマジカルゼラシャドウを見ながら考える。
「これを見てマジカルゼラへの闘志を忘れぬようにする、ぐらいか。この部屋に置いてもコートかけぐらいしか使い道が思いつかん。かと言って粉々に壊して捨てるのも、何か勿体無い気もするし」
ブツブツと独り言を呟きながら、マジカルゼラシャドウの置物を見ながら考えるハイリュウ。ガイコツの頭を傾けながら、愛用のパイプをくわえて紫煙を吐く。
マジカルゼラそっくりの姿を見て、ボンヤリと考える。
「なんというか、勢いで一分の一フィギュアを買ったものの、いざ入手したなら扱いに困るというのは、こういう気分なのか? ワシの部屋にこれがあるというのを、人に見られると説明に困るか。その辺り一人暮らしで訪ねて来る者もいないから、平和なものだが」
一人暮らしの長いハイリュウは、自室にいると独り言が多くなってしまうのだ。何気に寂しい生活がバレてしまったが、そこはスルーしてあげて欲しい。
「ダッチワイフなども、買った後には捨てるのに困るらしい。販売元が処分してくれる訳で無し、いや、使い込まれたものを送られても困るのだろうが」
妙に生々しいが、男性の一人暮らしというものには、あまり突っ込まない方が賢明である。
「ダッチワイフも捨てるときは、バラバラにして一般ゴミとして捨てるということだが、中には愛着が湧いてバラバラに刻むことができない者がいるらしい。それにゴミ袋にバラバラにされた実寸大の人の手が見えたら、回収した人にはホラーだろうよ」
アンデッドの見た目ガイコツが、ゴミの回収業者を心配するというのも、どこかホラーめいている。
「いや、待てよ? 魔力が無くて動かないのであれば」
ハイリュウは石像のように動かないマジカルゼラシャドウに手を当てる。自身の魔力を注ぎ込み、動かしてみようと試みる。
「これが動けばワシのスパーリングの相手となるか。つまり、ワシがこのマジカルゼラシャドウに勝てるようになれば、ワシはあのマジカルゼラに勝てるということだ。スパーリングする魔力を残して、このマジカルゼラシャドウが上手くスパーリングパートナーとなれば」
マジカルゼラのライバルを自称する骸王龍ハイリュウ。一度死んだものの甦ったのはマジカルゼラに勝つという不屈の執念があったからこそ。
打倒マジカルゼラを考え、日々のトレーニングを欠かさないハイリュウにとって、スパーリングの相手がいないことが不満だった。
「これまでワシが闘った相手に半人半獣はいない。その独特の動きに無尽とも思える魔法。いかに攻略するかは悩むところ。だが、このマジカルゼラシャドウが上手く操れるのならば」
ハイリュウはマジカルゼラシャドウに魔力を注ぎ込むが、なかなか動かない。
「ぐう、流石は魔神装具から産まれた写し身、これを動かすには並の魔力では足りんか……」
ハイリュウはマジカルゼラシャドウの頭から手を離そうとする。しかし、ハイリュウの手は吸い付いたようにマジカルゼラシャドウから離すことができない。
「なに? なんだこれは? ぐ、ぐぐ、ワシの魔力が、吸いとられる? バカな? うお、やめろお!」
マジカルゼラシャドウの頭から手を離そうとするが、なかなか離れず焦るハイリュウ。
一度その身体が崩壊しアンデッドとして甦ったハイリュウにとって、その身を動かすのには他の生物よりも魔力に頼ることが大きい。その魔力が石像のようなマジカルゼラシャドウに吸いとられていく。手を離せないまま焦るハイリュウ。
「ぐ、ぐお、不味い、このままでは!」
骸王龍ハイリュウの膨大な魔力を強引に吸い込み、石像のように動かなかったマジカルゼラシャドウの手が、震えるように動く。
「がああああ!」
ハイリュウの叫びを残して、ハイリュウの姿がフッと消える。石像のように動かなかったマジカルゼラシャドウのまぶたが、パチクリと動き、その口が開く。
「……ここ、どこ?」
キョロキョロとあたりを見回すマジカルゼラシャドウ。魔神装具から産まれた写し身が、何故か自身の意思を持ち目覚めた。
誰もいないマンションの一室を不思議そうにあちこち眺める。
(なんということだ……)
ハイリュウは呆然とする。
(ワシの魔力を強引に吸い取った上に、自我が芽生えるとは、いったいこれはどういうことだ?)
ハイリュウの身体は魔力を搾り取られ、すっかり小さくなってしまった。小さなガイコツのぬいぐるみのようになったハイリュウは、ゼラの頭にしがみついたまま悩む。
(これ、どうしよう?)
マンションで一人暮らしをするハイリュウ。この一室の異状に気がつく者は、まだ誰もいない。
設定考案
K John・Smith様
加瀬優妃様
バルーンアート
K John・Smith様
m(_ _)m ありがとうございます
♪(´▽`;K
「このゼラ⑩は、とあるおまつりにて展示♪」
(2019年10月)
(* ̄∇ ̄)ノ
「うわお、K様ありがとうございます。紫の髪のゼラ、見かけた人に幸あれ!」
d(´▽`;K
「ガイコツ君にマントをつけて、マジカルゼラのシーンを再現」
(2019年11月)
(* ̄▽ ̄)b
「ありがとうございます。ガイコツ君がマントをつけて、ハイリュウのコスプレ? まさかのシーン再現バルーンアート」
( ̄▽ ̄;) あ、あれ? ノマがK様のバルーンアートを見て、ちっちゃいガイコツが、ハロウィンの飾りから何故か、ハイリュウに見えてきて、そいでハイリュウがちっちゃくなっちゃったSSにしてみたら、そのシーンがバルーンアートで作られて、あれ? 循環してる?




