十二姉会議
(* ̄∇ ̄)ノ 謎に包まれた深都、ちょっと覗いてみよう。
「全員、揃ったか?」
「アイジストゥラ以外は揃った」
「では、十二姉会議を始める」
「アイジスから要請のあった飛行組捜索隊の撤収ですが、二人を除いて深都に帰還しました」
「その二人は何か別の任でも?」
「いえ、ただの行方不明です」
「……まさか、捜索に出た流れでそのままローグシーの街に?」
「人捕る亀が人に捕られたか」
「それだけあの男、カダール=ウィラーインに皆が注目しているということだ」
「アシェンドネイルが母神の瞳で送る映像から、ますます熱が上がっているし」
「いや、あのカラァとジプソフィを見れば、私も抱きに行きたいところではある」
「やめろ、冗談に聞こえない」
「本音を言うと、アイジスが羨ましい」
「続けていいですか? 今回は抜け出した者を捜索する手を増やす為に、人類領域のことをあまり知らない飛行組を動員してしまいました。本来であれば人類領域には近づかない者も、カダールとゼラの影響を受けてしまい、興味本意で人に近づいてしまったとのことです。このままでは騒動の種になる恐れがあります」
「飛行組は浮かれ者が多くないか?」
「現在、エアリアクイーンと同等に人類領域の常識がある者のみで、捜索班を再編成しております」
「捜索班の方はそれでいいだろう。ローグシーの街での体制が整い、あちらで待ち受けて捕獲することも可能になった」
「ならば、それを改めて説明せよ」
「深都を抜け出したハイアンディプス、カッセルダシタンテ、ユッキルデシタントをローグシーの街で確認。この三名はアイジストゥラの外交官補佐として、配下に使うことになった」
「アシェンドネイルとエアリアクイーンは?」
「あの二人はウィラーイン伯爵家と良好な関係を結ぶことに役立っている。またアシェとクインは、ゼラとゼラの娘、カラァとジプソフィを観察する役目がある」
「アシェとクインからはそのように聞いているのだが、二人とも深都からの特別な指示が無ければ、ローグシーの街から離れたく無い、という感じなんだがな?」
「それだけカダールとその家族に魅力がある、ということか」
「クインはともかくとして、あのアシェの性格と人にやらかしたことを受け入れる、おっぱいいっぱい男の家族の度量の大きさというか、懐の広さというか」
「いや、アシェは偽悪者ぶるところはあるが、あれで繊細なところがあるんだ」
「そのアシェが大人しく人に使われる乳母のようになるとは思わなんだ」
「ところで、カッセルダシタンテとユッキルデシタントがいなくなったら、私の抱き枕はどうすればいいのか?」
「新しい夜伽の相手を探してみるといい」
「お主がそーいうことするから、あの二人は深都を抜け出したんじゃ?」
「嫌がるようなことはしていない。そのくらい姉妹のスキンシップの範囲内であろう」
「ともかく、アイジストゥラがその五人を配下に使うということで、今後はローグシーに滞在することになる」
「うーむ、この調子でローグシーに住む深都の住人が、増えていきそうだ」
「それはそれで、厄介だが、おもしろい、か?」
「ハイアンディプスの同棲生活はどうなっている?」
「まさかとは思うが、ゼラのように子ができたりするのでは?」
「今のところその心配は無用のようだ。ハイアンディプスの方は、ウィラーイン伯爵家の諜報部隊よりアイジストゥラに報告されている。ただ、その為にアイジストゥラよりアシェンドネイル、エアリアクイーンを人に関わらせることになる、と」
「相変わらずアイジスは頭が固い。そこはアイジスに任せたのだから、アイジスの思うようにすればいいだろう」
「そこがキッチリしているから、我等の中でもアイジスが一番の適任だ」
「続けるぞ? アイジストゥラの要請をウィラーイン家が受けることに対して、ウィラーイン家よりアイジストゥラとその配下への要望がある。これだ」
「どれどれ? 業の者相手に対魔獣戦闘訓練だと? 正気か? それともそこまで人は強くなったのか?」
「いや、手加減してやれば、なんとか?」
「ウィラーインの者は戦闘民族か?」
「我らが母の望みどうりに鍛えられたのは、喜ぶところだ。ならば、それに深都の住人が協力できることに私は賛成だ」
「こちらは、ハイアンディプスの建築手伝い? うーむ、現状ウィラーインには無い特殊な技術の使用は極力控えさせることで、可能か。アイジストゥラが監督すれば問題無いであろうよ」
「では、アイジスの提案に異議無しとして、この件はアイジスに任せるとしよう」
「アイジスは抱え込む性格だから、なにがしかサポートが必要になるのではないか?」
「うーむ、そこはハイアディに頼んでみるか。あの二人、仲が良かったろう?」
「アシェとクインにも連絡して、アイジスの様子を見てもらうとしよう」
「そのアイジスなんですが、最近では側仕えの少年少女とキャッキャウフフしてるとのこと」
「「何ィ!!」」
「アイジスに指輪を贈った少年、ニースという名の少年がアイジスを追いかけ、領主館で働くことになりました。ウィラーイン伯爵一家が雇ったのですが、今ではアイジスの専属になっています」
「これは、アイジスを取り込むハニートラップか? やるな、ウィラーイン家」
「いや、あのアイジスであれば人の誘惑になど、簡単に乗るハズが無い」
「アシェからの報告では、そのニースという少年がアイジスの側仕えになってから、アイジスが前より落ち着いているようだと」
「アイジス、何があった?」
「カッセル、ユッキルの二人からは、アイジスが少年の膝枕で寝ているところを目撃した、と。アイジスは見られたことに気づいて、慌てて起きて、顔は真っ赤になっていた、と」
「アイジスに何があったッ?! そこ詳しくッ!」
「あやつ、澄ました顔で少年に弱かったのか? 少年趣味だったのか?」
「いや待て! その少年ニースはアイジスの正体を知っているのか? 知った上でアイジスの頭を膝に乗せていたのか?」
「膝枕だけか? その先は? 何処まで行ったッ! アイジスッ!」
「アイジストゥラはこの件を隠したいようで、詳しい報告が来ていません」
「これは重要事案だ。アイジスがウィラーイン家のハニートラップにやられたならば、深都のことがいろいろと漏れることになる」
「いやアイジスならばそんなことには、いや、まさかな……、少年の膝枕……」
「ゼラとカダールの影響を受けて、アイジスまでイチャイチャし始めたのか?」
「少年か……、し、仕方無い。ならば私がアイジスに変わって」
「「お前はもっとダメだ!」」
「アシェとクインから、アイジスとウィラーイン家の関係、またその少年のことを詳しく報告させるように」
「ハイアンディプスの次は、まさかのアイジストゥラか? ますますローグシーに行きたがるのが増えてしまう……」
「深都の問題だが、アシェからの母神の瞳を使った生放送なのだが……」
「ううむ。妹達は見せろ見せろと言うのだが」
「見せれば見せたで、ローグシーに行きたがるのが増えるし」
「今のところ、時間制限をつけて放送しているわけだが」
「いや、あれは私もずっと見ていたくもなるぞ。この前はゼラとカダールが、キスしてるのを見て、それを真似してカラァとジプソフィが、二人でチュッとしてるところなど、可愛さが爆発して頭がどうにかなりそうだ」
「言ってる言葉がおかしいが、気持ちは解る」
「落ち着け、カラァとジプソフィ、史上初の業の者と人の子だ。無事に成長できるように見守らなければならない」
「そのカラァとジプソフィなのですが、ウィラーイン伯爵家より深都に贈り物があります。エアリアクイーンが届けてくれました」
「贈り物? 深都と人類領域でそういった物のやり取りというのは」
「それが、ウィラーイン家よりゼラの姉である方への、家族へのプレゼントだと強引に持たされ、エアリアクイーンもアイジストゥラも断り切れなかったと。こちらになります」
「「これはッ……」」
数刻後
「……はっ、つい見とれてしまった」
「穏やかに眠る三人の子、の絵画、か……」
「ウィラーイン家の一人が描いたものです」
「たしか、赤い髭の男で芸術家だったか」
「人の子を挟んでカラァとジプソフィが、なんと幸せそうに」
「この人の子はフォーティスか。寝ながらもカラァとジプソフィの手を、きゅ、と握って、いとおしい……」
「う、うむ、せっかくの贈り物を無下にすることもなかろう」
「そうだな、これで何か取り引きしようというもので無し」
「しかし、何も礼を返さないというのもどうか?」
「贈り物がアリなら、我らからカラァとジプソフィに贈り物をするのも、アリか?」
「確か二人の誕生日はゼラと同じ日の、」
「おい待て、それは制限しないと何かたいへんなことになる予感がする」
「深都の住人が揃ってプレゼントを大量に送りつけると、事件となりそうです」
「この絵画の礼については、慎重に決めるとしよう」
「プレゼントの抜け駆けは絶対禁止としましょう」
「だが、この絵画を妹達が目にしたら」
「またローグシーに行きたがるのが増えてしまう……」
「それなんですが、先程の飛行組二名の他にも、行方が知れない者がいます」
「またか? 監視はどうなっている?」
「人類領域に影響の大きそうな妹達の監視には力を入れています。しかし、その代わりに他の妹達への監視はちょっとおろそかになりがちです」
「戦闘狂と色情狂は深都の外に出すわけにはいかない」
「一方で生放送の効果から穴蔵住まいの者が安定しています。薬の量が大幅に減り、棄人化の危険のある妹達が安定しています」
「我らはカダールとゼラに感謝しなければ、やはり礼は必要か?」
「ちょっと待て、この絵画、三人の子が眠るこの白い毛皮はなんだ? 見覚えがあるぞ?」
「薄く桃色の艶のある白い毛皮? はて?」
「あ、報告が遅れましたが、行方不明のラッカラックランティの所在が判明しました。現在はローグシーの領主館にいます。この絵画は横になり寝そべるラッカラックランティのお腹の毛皮ですね」
「「ララティー!!」」
設定考案
K John・Smith様
加瀬優妃様
m(_ _)m ありがとうございます
( ̄▽ ̄;) 深都を統治する人を超越した十二姉、のハズ。




