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家出人捜索隊の日常

(* ̄∇ ̄)ノ 深都を抜け出した者を捜索している深都の住人は何をしているのだろうか?


 ローグシーの街、一人の女がキョロキョロと。ローグシーの街が珍しいようで、あちこち見ながらニコニコと街を歩く。紙芝居で足を止め、似顔絵描きの筆運びを、へー、と言いながら眺める。街の賑わいを楽しみフラフラ歩き、屋台で一本の串焼き肉を買い、それを食べながら街を見る。


「ほー、肉をわざわざ細かく切って、じっくり焼いて、なんかねっとりした茶色の液体でべとべとにしてるー。あはは、これ、なんかやらしくない? 食べてみれば、ううむ、変な味ー、あはは、人ってなんでわざわざこんな食べ方するのかな? あ、なんか可愛いアクセサリーが? あきゃ?」


 その女の首根っこを掴み、素早く引き摺るようにして路地裏に連れ込むのは、深都から来た大使アイジストゥラ。

 襟首を掴んだ女を壁に押し付け、ずいと顔を近づける。アイジストゥラのこめかみがピクピクしている。


「……おい、捜索隊のお前が、なんでローグシーの街の中にいる?」

「あ、アイジスねえ様、お久し振りです、あはは」

「あはは、じゃない。何を呑気にプラプラと食べ歩きしている?」

「そりゃ、まあ、捜索してて、でもなんにも見つからなくてー、それで、ローグシーの街の近くまで来ちゃったから、ついででちょっと覗いてから帰ろうかなー? って」

「ちょっと? 人の街に潜入するには、人の風習を学んでからにしろ」

「えー? クインばっかりずるーい」

「クインはその辺りしっかりしてるから、心配してないが、お前は心配なんだ。このお調子者」

「ちぇー、わかりましたわかりました。帰りますよう」

「今、帰ってどうする? 夕暮れだぞ? この時間に街の外に出る人間は怪しまれる」

「え? そうなの?」

「ハンターでも行商人でも、街の外に出るのは朝方か午前中だ。夕方から街を出たらすぐ野宿になるだろう。危険を避けるためになるべく野宿はしない。それが人間の常識だ」

「あ、それは知らなかった。そっか、人は弱いもんね。え? それじゃボク、どうすれば?」

「宿をとって一晩過ごして、明日の朝方、街を出ろ。旅人ならばそれが無難だ。……だが、巡礼者が増えたというローグシーでは、宿を探すのが最近、難しい。どこか予約はとってないのか?」

「予約? そんなのいるの? どうしよう、アイジスねえ様」

「知るかこの、まったく。あぁもう、ついて来い。顔見知りの宿屋に空きが無いか聞いてみるぞ」

「あ、待ってアイジスねえ様。この金貨はどこで両替したらいいの?」

「金貨? ……おい、今は滅びた古い国の金貨なんてここで出すな。目立つだろうが」

「ありゃー、じゃこっちの銀塊を売って」

「お前、何を売っぱらって貨幣を得た?」

「何って、これと同じくらいの大きさの金塊」


 大人の握り拳くらいある銀の塊を見て、アイジスは頭痛を堪えるような顔をする。


「お前はこの貨幣を使え」

「ありがとー、アイジスねえ様」

「あとでフクロウのクチバに言っておかないと、まったく……」


 二人の女は宿屋に向かって歩き出す。夕暮れのローグシーの街は子供達がそろそろ家へと帰り、賑わいはゆっくりと静かになっていく。


◇◇◇◇◇


 その後、深都にて。


「その宿屋の少年が、もうじっとアイジスねえ様のこと見つめているの。それがもう、いじらしくて可愛いの」

「それでそれで? アイジスねえ様は?」

「アイジスねえ様は視界に入れないようにしてたけど、あれは逆に少年のこと意識し過ぎなんだって感じ」

「アイジスねえ様に、そんな男の子がねー」

「アイジスは少年趣味だったのか?」

「いやー、少年趣味じゃなくても、あんな熱い眼差しで見られたらグラッときちゃうんじゃない?」

「なんだあの街? おっぱいいっぱい男だけじゃ無いのか?」

「そりゃそーでしょ。初対面でクインのことペタペタ触りまくるような挨拶するような街でしょ?」

「それはあのおっぱいいっぱい男の一家だけじゃ無かったのかよ?」

「いや、エクアドという男もクインを口説いたというし」

「アシェの蛇体にも触らせてくれっていう人は、けっこういたって、アシェが言ってたわ」

「ね、ローグシーの街ってどんなだった?」

「人が多くて賑やかだったよー。あと、あの街の人達は馴れ馴れしいっていうか、ズンズンこっちに来るの。それがねー、嫌みが無いというか、やらしく無いというか、うん、自然なの」

「あの街の人は、他の土地の人より強くてお人好しらしいわね」

「で、そこの宿屋の息子の少年にね、アイジスねえ様のことどう思う? って、こそっと聞いたの」

「それでそれで?」

「そしたらねー、その少年、はにかみながら、『とっても気になるひとです』ってー」

「まさか、あのアイジスがロックオンされるとは」

「あの街の男達は無差別全方向勇者ばかりなのかしら?」

「うちもあの街に行ってみたいのー」

「下半身大猫でも、欲情してくれるであろうか?」

「大蜘蛛でいける、っていうのが、あの街の領主の息子なわけなのでー」

「まてまて、その少年はアイジスの正体を知っているのか?」

「いや、そこは解んないけどさ。でも、正体だとか、そんなに気にしないのかもねー。あはは」


設定考案


K John・Smith様

加瀬優妃様


m(_ _)m ありがとうございます


( ̄▽ ̄;) ジワリと外堀から埋められていくようなアイジストゥラ。


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