魔法闘女マジカルゼラ!! ハイリュウの挑戦
(σ≧▽≦)σ 来たよ! ゼラのバルーンアート第六弾! 歓喜極まりマジカルゼラ!
「ふんふーん♪」
ゼラが一枚のチラシを手に街を歩いている。
まったくもって今更の話ではあるが、マジカルゼラについて説明する。ゼラは街にいるときは人に化けている。
ゼラは魔法闘女マジカルゼラの正体を隠して、街でカダールと暮らしているのだ。
だが、ゼラはうっかりと街の人達にマジカルゼラの姿、下半身大蜘蛛の姿を晒したことがある。何度も。
しかし、街の人達は気遣いのできる優しい人達ばかりで、ゼラが人に化けているときは、気がつかない振りをしてゼラに接している。
ゼラの正体を知りながら、隠そうとしていることを慮って知らない振りをしているのだ。
マジカルゼラが街で平穏に暮らせているのは、街の人達の見えない優しさに守られているからである。
そんなことを知らずにゼラは鼻歌しながら街を呑気に進む。
「むふん、ふんふーん♪」
その肩にとまる九官鳥のクインが、はぁ、と溜め息を吐く。
「なあ、ゼラ。本当に行くのか?」
「うん、だって」
ゼラがピラリと持ってるチラシをクインに見せる。
「街の美少女コンテスト、優勝者には豪華ハロウィンドレスだって」
「そのチラシがなんでポストに入っていたのかとか」
「カダールはゼラのこと可愛いって言ってくれるし、だから美少女コンテストも優勝できるかも。それに、ミニスカサンタコスチュームのときもカダールは、いつもと違う魅力のゼラ可愛い、惚れ直したって、むふん、言ってくれたし。ハロウィンドレスだったら……、むふ、むふふ……」
想像してニマニマするゼラはウキウキと進む。九官鳥のクインは目を逸らす。
「まー、罠だとしても、行ってみないと解らないか……」
そして辿り着いた美少女コンテストの会場。そこには誰もいなかった。そこに立つのはただ一人。
「来たな! マジカルゼラ!」
豪華なローブを身に纏うガイコツが、堂々と待ち構えていた。
「今日こそ真剣に勝負しろ! 魔獣王のタイトルを賭けて!」
「なんでガイコツさんが? あれ? 美少女コンテストは?」
「お前を誘き出す罠だ。ワシが挑戦状を送っても、いつもいつも無視しおってからに!」
「ヒドイ! ゼラを騙したのね!」
「今日こそは魔獣王のタイトルを奪い返す! 新魔獣王はこのワシ、ハイ「変態ストーカー! ゼラを騙すなんて許せない! 最近は味方になってくれたりして、いいガイコツさんだと見直してたのに! 見損なった!」
「誰が変態ストーカーだ! ワシがお前の味方をしたのは下らん雑魚に魔獣王のタイトルを渡さんようにするため。ワシの目的はマジカルゼラ、お前に奪われた魔獣王のタイトルを取り戻す。それだけよ!」
「そんなタイトルなんて、ゼラ、いらないもん」
「もうちょっとチャンピオンとしての自覚持って? だいたいノコノコここに来た目的も、ハロウィンドレスでいつもと違う魅力をカダールにアピールして、それで盛り上がって二人でイチャイチャむにゃむにゃしようって魂胆だろうに。どっちが変態だ、この色ボケスケベ娘が」
「なななんでゼラの考えてることが解るの? ゼ、ゼラは色ボケスケベ娘じゃ無いもん!」
一応、断っておくがマジカルゼラは全年齢対応である。お子さんが見ても安心大丈夫な作品である。
ゼラはもじっとしながらもハイリュウに言い返す。
「カダールは、ゼラのこと可愛いって、言ってくれるもん」
「カダール、か。マジカルゼラがあの男に惚れて腑抜けになった、という以前のワシの言葉は撤回しよう。マジカルゼラはあの男に関わるときは、常識を越えた力を見せる。真の強者にこそ魔獣王のタイトルは相応しい」
ハイリュウは骨の拳をグッと握りしめる。
「ならばその力を越えて、お前に打ち勝ってこそ、真の魔獣王」
「もー、つまんないことでゼラを騙して。もう帰る。行こ、クイン」
「おっと、帰るのか? 美少女コンテストは嘘だが、賞品のハロウィンドレスは本当にあるぞ」
ハイリュウが手を振って示すと、そこに豪華なドレスが現れる。紫と黒とカボチャの色のハロウィンカラーの極上のドレスが。
「マジカルゼラ、お前をやる気にさせる為に用意した、オーダーメイドの特注品だ。総額86万円の一品」
「……うわあ、」
ゼラの目はハロウィンドレスに釘付けだ。効果は抜群だ。
ハイリュウはそのハロウィンドレスに骨の手を伸ばす。
「マジカルゼラがワシの挑戦を受けぬとあらば、このドレスはここで引き裂こう。なにがハロウィン記念価格、86万円じゃ、ふっかけおって」
「え? そんな引き裂くなんて、もったいない」
「マジカルゼラ! ワシと本気で戦え! ワシに勝てばこのドレスはくれてやる!」
ゼラの肩に乗っていた九官鳥のクインがパタパタと飛び立つ。
「なぁゼラ。たまにはあいつの挑戦を受けてやったらどうだ? そのためだけに高額のドレスを注文して用意するとか、なんだかアイツが可哀想になってきた」
「ううん、えーと、ガイコツさん、ゼラがちゃんと相手して勝ったら、そのドレス、貰えるの?」
「ワシに二言は無い! だが、簡単にワシに勝てると思うなよ! 死の縁を越えて甦ったワシの力を見せてやる!」
「わかった! やる!」
ゼラが両手を天に掲げる。
「ブラック、ブラック、ウィドゥ、ビヨンド、トゥ、ディザスター」
「ようやくその気になったか! ナルガ、ネルドラ、ノグニロートス! これがワシの真の姿だ!」
ゼラの身体を七色の光が包む。光の中から現れるのは下半身は七本の足の大蜘蛛、上半身は褐色の肌の黒髪の少女。
「戻身! マジカルゼラ! 見参!」
相対するハイリュウ、その豪華なローブに身を包むガイコツの身体を灰色の光が包む。光の中から現れるのは巨大な骨だけのドラゴン。
「現身! 骸王龍ハイリュウ! 参上!」
一度破れてもなお敗北を認めず、不屈の執念で甦ったアンデッドドラゴン、骸王龍ハイリュウが、ついにその姿を現す。
「今日こそはワシが魔獣王へと帰り咲く! 行くぞ! マジカルゼラ!」
「ハロウィンドレス! 約束守ってね!」
超常の力を持つ二大魔獣が激突する。
巻き込まれないようにと離れた九官鳥のクインが、見物しながらポツリと呟く。
「……結果は見えてる気がするんだけどなー」
◇◇◇◇◇
「ふう」
カダールは仕事を終え、愛するゼラの待つ我が家へと帰宅する。家に帰りを待つ彼女がいるのはいいものだ、と、喜びを噛み締めながら。
街の中は近づくハロウィンに向けて、カボチャの飾りなどを出す店もある。
そんな街の様子を見ながら歩き、カダールは呟く。
「……スピンアウトには、俺の出番は少ないな」
おい、
「まぁ、スピンアウトは本編で活躍できなかった人達に出番を、というところもあるからいいのだが」
そういう発言はちょっと待て。
「できればエクアドが主役回で活躍できるものとか、やって欲しいところなんだが。エクアドが活躍したのが、ガイコツに投げつけられた、これだけというのは」
検討する。げふん、えーと、カダールが話の筋と関係の無い独り言を呟きながら、我が家へと帰還する。
「ただいま」
カダールが玄関を開けるとそこには、
「トリックオアトリート!」
黒と紫とカボチャ色の豪華なハロウィンドレスに身を包んだゼラが待ち構えていた。カダールは目を見開く。
「ゼラ?」
「どう? カダール?」
「どう? って……」
カダールはドレス姿のゼラに目を奪われて、
「まるで王女様のようだ。素敵だ、ゼラ」
「ハロウィンドレスだって」
「可愛い魔女のお姫様は、いったいどんな魔法をかけるんだ?」
「むふん」
ゼラは満足そうに鼻息をひとつ。カダールは手を伸ばすゼラをそっと胸に抱く。
ゼラはそのままカダールに顔を寄せて、
「ね、カダール?」
「なんだ? ゼラ?」
ゼラは赤紫色の瞳をトロンと潤ませて。
「お菓子があっても、イタズラしちゃうぞ?」
カダールの唇をゼラの赤い舌がチロリと舐める。カダールはそれだけで背筋がゾクゾクとする。まるで魅了の魔法をかけられたように。
「ゼラ……」
「カダール……」
二人はそのまま深く口づけを交わす。
マジカルゼラは全年齢対応なので、ここから先の二人は、ちょっと公開できない。
第六弾、ハロウィンドレスのゼラ
そしてしゅぴっ
ハロウィンカラーのマジカルステッキ
設定考案
K John・Smith様
加瀬優妃様
バルーンアート作製
K John・Smith様
m(_ _)m ありがとうございます
(* ̄∇ ̄)ノ ラージサイズのゼラ、バルーンアート。なんと、とある施設で公開したとか? マジか? 感謝感激。
(T▽T) ゼラ、愛されてるなあ、嬉し。
( ̄▽ ̄;) あ、ハイリュウは?
ズタボロのハイリュウ
「ふ、ふふ、ま、魔獣王のタイトルは、最強の王者にこそ、相応しい。それでこそマジカルゼラ……。だが、ワシはまだ負けとらん、負けとらんぞおおおお! ワシは不死身のハイ」ガクリ