人物まとめ、深都の住人十二姉編
■深都の住人
魔獣深森の奥地、人類未踏の地にある深都に住まう者達の自称。深都の住人のことを知るのはウィラーイン伯爵家ゆかりの者とスピルードル王族のみ。……のハズ。
他の魔獣の因子を取り込むことでより強い姿となる進化する魔獣、その到達点。
総じてその姿形は、上半身は髪の長い美しい乙女。下半身は異形の魔獣。
人の伝承には半人半獣の恐ろしい魔獣と伝わる。
深都の住人はあらゆる魔獣と戦い、生き残り、生きた災厄とも呼ばれる色つき龍の因子を食らい進化した者。
1人1人が龍を越えた災厄であり、人智を越えた魔法を使い天災に等しい力を振るう。
■ヴォイセスファセウス
通称、ヴォイセスねえ様
深都を統べる『十二姉』の筆頭。下半身は白い体毛と羽毛の翼のドラゴン。主翼一対、副翼一対の4枚翼の有毛龍。
『人に恋した白毛龍』の伝承のもとになった。
白毛龍、聖樹、一角獣、と人に伝わる三体の聖獣のお伽噺。その一人。
深都の住人の中で最初に人化の魔法を開発した。
歌と音楽を好み趣味は楽器の演奏。
音に関わる魔法を得意とし振動波のブレスは目に見えず、対象を粉々に粉砕する。
妹たちへのスキンシップがやや過剰気味。
■アダーゲルダラムラーダ=ハオス
(命名、キャラデザイン、K John・Smith)
通称、ハオスねえ様
深都の住人の中で最も長命であり十二姉の参謀的存在。出自は他の姉妹達と違い古代魔術文明に遡る。
三つの人格を持つ三重人格者。
〇ラムラーダ
戦闘に特化した人格。言葉による会話よりも拳による会話を好む戦闘狂。そのため表に出てくることは少ない。
〇ゲルダ
魔法に特化した人格。ラムラーダが戦術担当ならばゲルダが戦略担当。知的好奇心が過剰なマッドサイエンティスト。
〇アダー
暴走しがちなラムラーダとゲルダに代わり交渉など担当する人格。冷静沈着であり感情を見せることは少ない。毒と薬に詳しい。
血のような赤い髪。正体を出せば下半身は様々な魔獣を合成したような異形のキメラ。
古代の知識の面で深都をサポートする。
どの人格が表に出ても見た目はほとんど変わらない。そのためアダー、ゲルダ、ラムラーダの三人をまとめて呼ぶ為に、後にハオスの名が追加された。
■十二姉と深都の住人の名前
深都を創設した始まりの十二姉。
魔獣として産まれたことで個体としての名前は無かった。十二姉が集結し共同で作業する、連携して行動するなどのとき、それぞれを呼び分ける名前があった方がいい、とハオスが提案。
筆頭ヴォイセスファセウスが自分でこの名前を付け、続いてハオスがアダーゲルダラムラーダと名乗ることに決める。
これを聞いた残りの十二姉は、
『長い名前って、なんかカッコいい?』
となり、いろいろ悩みながら自分の名前を自分で考えてつけることに。
その結果、十二姉の名前は長いものに。
後に深都に来た妹たちも十二姉のマネをして長い名前をつけるようになる。
こうして深都の住人の名前は、やや長いものになっていった。
■アイジストゥラ
通称、アイジスねえ様
黝い髪に金の瞳。下半身は巨大な海亀。
足がヒレの為に地上での移動はほとんどできない。代わりに空を飛ぶことができる。
地上生活の為に人化魔法の長時間維持が得意となる。その為に深都から外交官としてウィラーイン家に行くことになった。
十二姉の中で最も大きい身体と最硬の防御力を誇る。また、守りの為の結界術も得意。
冷静で落ち着きがある、ということで外交官になったが、アイジスは実は予測不能の突発的な出来事に弱かった。
深都では長い時、大きな変化は無くわりと平穏。また力任せに暴れる者はアイジスの防御力の前に力尽きる。
ところが人間領域ローグシーの街では、人間相手に力を使うことはできず、アイジスの予想外の出来事ばかり起きてポンコツ具合が露呈してしまった。
その上、アイジスへの好意を隠さない少年執事ニースが専属となりアイジスの動揺を誘う。
好物はクラゲ。
■モルアンブリティカ
通称モルアンねえ様
(命名、加瀬優妃 キャラ原案、加瀬優妃、K John・Smith)
下半身はモグラ。好物はミミズ。
十二姉で最も腕力があり、その爪は穿つことに特化した魔法を帯びる。
盲目だが生命感知に優れる。また、触れた生物の視界を借りることができる。
地下組を束ね、深都の建築担当。
■残雪抱翼ツルギ
ナゴリユキヲツバサデイダクツルギ
通称、ツルギねえ様
下半身は鶴。東方出身で東方風の着物を愛用。
アイジスとは仲良く深都の鶴亀コンビ。
氷雪系の魔法を使うが、得意なのはフォイゾン操作。味方を支援し、また相手からフォイゾンを奪う。強い魔獣相手のエナジードレイン。
アンデッドが嫌いで不死者には攻撃的。
かつて暴れたところを人に目撃され、死を呼ぶ鳥、吹雪の死告鶴、と東方の伝承に残る。
アイジスがローグシーに行ってからは、なにやら情緒不安定ぎみ。
■補足、フォイゾン
フォイゾンは生命力、気力といった生命エネルギーの一種。ドラゴンなど巨大な身体の魔獣が少量の食事でその巨体を維持できるのは、このフォイゾンをその身に取り込むことができるため。
この能力を持たない生物、人間などは身体を維持するために相応の食料が必要になる。
魔獣深森の強い魔獣はフォイゾンの豊富な深部に縄張りを持ち、弱い魔獣が森の浅部に住むようになる。
その結果、森から離れる人類領域近くには、比較的弱い魔獣が縄張りを持つようになる。
(* ̄∇ ̄)ノ 十二姉の中で判明してるのはこの五人です。
◇◇◇◇◇
十二姉会議
「妹たちの脱走対策についてだが」
「ローグシーに行きたがる者は多いです」
「人類領域に危険な妹たちは穴蔵の奥で療養していますが、その監視を強めることで他に手が回りにくくなります」
「その結果にまた数人、勝手に深都を出てローグシーに向かってしまった」
「アシェとクインの送る映像では物足りないという声もある」
「むしろ、あの生放送が煽ってしまっているんじゃないか?」
「見ないとカラァとジプのことが心配になるし」
「見れば見たで直に会いたくなってしまうし」
「フォーティスくんとにゃんにゃんするにゃん、と言ってた妹が現在、行方不明です」
「アイジスに警告するように伝えてくれ」
「まさかここでフォーティスの貞操の危機が」
「仕方無い、ここは私がローグシーに行って、」
「「ダメだ」」
「私も行きたいぞ。アイジスはそろそろ外交官を交代してはどうだ?」
「アイジス以外は務まりそうにないからアイジスになったのに」
「もともと私たちは人と共に暮らすのに向いてはいない。現在、ウィラーイン家にいる妹達がなんとかやれているのも奇跡に近い」
「あのアシェが人の言うことに素直に従っているとはな」
「良いことではないか。我ではどうにもできなかったことだ。ハイアディのことも、カッセルとユッキルのことも」
「ヴォイセスが1人で抱え込むことでは無い」
「生放送は時間を制限しますか?」
「しかし制限し過ぎれば欲求不満が」
「ふむ……、制限し過ぎるのもよくないかもしれん」
「と言うと?」
「アシェとクインはこれまで役目を果たしてきた。なのでその分、好きにさせてもいいだろうと休暇の意味でもローグシーにいさせている」
「すっかりあの館の住人になっていますが。乳母になってから二人とも子供達から離れようとはしないと」
「アシェとクインはいい。問題はララティ、ルティ、ロッティだ」
「あのトラブルアトラクターズ、ちゃっかりウィラーイン家で役目があるとか言い出している」
「ルティが連絡要員なのは分かるが、ララティが試験牧場の特別顧問? ロッティが酒作り?」
「何がどうしてそうなった?」
「あの三人に仕事をさせるとは、ウィラーイン家、侮れん」
「あの三人、連れ戻せないのか?」
「無理だな。アイジスが言うには、子供たちが泣くと。すっかり遊び相手におさまっている」
「あの三人がいいなら私も、という妹たちもいるし」
「カッセル、ユッキル、ハイアディは?」
「それだ。ウィラーイン家の癒し効果が実証された三人だ」
「癒し効果?」
「情緒不安定だったハイアディが今では自ら役に立とうと元気になり、無気力だったカッセルとユッキルが活力を取り戻した」
「ハイアディは今ではメイドに、カッセルとユッキルは武術指南役になっています」
「ハイアディがメイドというのが、未だに信じられないのですが……」
「故に、我はパラポにローグシーで静養させてみるのはどうか? と考えている」
「パラポか」
「魔蟲新森の一件でパラポには辛い役目をさせた。加えて地下組にもなにかご褒美になるものはないかと考えてみた。そこで地下組を束ねる地底姫、モルアンブリティカ」
「はい? 私ですか?」
「ローグシーまでの地下通路を建設してもらいたい」
「地下通路、ですか? ヴォイセス、ローグシーへの往き来の制限を緩めるのですか?」
「そうだ。制限を緩めて人類領域で問題を起こしそうに無い妹たちに期限を決めてローグシーに行ってもらう」
「適度に緩める方が脱走対策になりますか」
「加えて人類領域で人のいざこざで事が起きたとき、ゼラと娘たちを保護しやすくもなる」
「なるほど」
「ついでにウィルマ=テイラーの新刊も入手しやすくなるね」
「いきなりゲルダに代わるなハオス」
「いや、あっちには直接会ってたまに警告しといた方がいい研究者もいるから」
「それはアイジスとハオスに任せよう。アイジスからは心配するほどでは無いと聞いている」
「ではモルアンブリティカ、地下通路のことを頼む」
「承りました。穴堀りならお任せを」
「これで地下組もあの子達に会えるだろう」
「地下組は引っ込み思案が多いのですが」