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ハイイーグルの羽

(* ̄∇ ̄)ノ ハイラスマート領、アバランの町でハンター達が話すのは?


「これがうちの家宝だ」

「おお、これが」


 緑の羽を自慢げに見せる男がいる。額縁に入った緑の羽は一枚の絵画のようだ。翡翠色に輝く羽は黒地の額縁の中で、ランプの光を浴びて薄く輝いて見える。


「これがハイイーグルの羽か」

「おう、生きた宝石なんて呼ばれるハイイーグルの羽だ」


 アバランの町、大きな家の中。ハンターが数人集まり酒が入る小さな宴。この家のハンター兄弟がテーブルの上に緑の羽の入った額縁を置く。


「俺のじいさん、弓使いエイジスがハイイーグルを落とした証拠だよ」

「鳥の羽が金貨で取り引きされるって、なんだそりゃと思っていたが。実物を見ればなんかわかるなあ」

「見た目が綺麗ってのもあるが、風系の魔術具の素材には最高って話だ。その上、滅多に見つからないから高いんだってよ」

「なんで売らないんだよ。いったいいくらになるんだ?」

「こいつは我が家の家宝で、俺のじいさんがハイイーグルを落とした記念の品で、弓使いエイジスの名誉の記録なんだよ。売れるかっての」

「そりゃまあ、こうして実物を見せられなきゃ嘘だろ、と思う話だけどさ」

「弓矢届かぬ緑の風に、矢を届かせたのはアバランの町で一番の弓使い、それが俺のじいさんなんだ」

「その落としたハイイーグルはどうしたんだ? 剥製にして貴族か魔術師にでも売ったのか?」


 酒の入ったハンター達は、幻とも呼ばれるハイイーグルの羽の話で盛り上がる。弓使いの祖父を自慢するこの家のハンターは満足そうに話を続ける。


「それが、じいさんはハイイーグルを落としたあと、殺さずに空に帰しちまったんだ」

「もったいねえなおい!」

「そこがうちのじいさんの凄いところなんだよ。ハイイーグルがあんまりにも綺麗なんで羽を取る為に殺したり、剥製にする方がもったいねえって。それでハイイーグルの矢傷を治してやって、空に離したんだってよ」

「ハイイーグルを生け捕りかよ。とんでもねえな、お前のじいさんは」

「ハイイーグルを射落としたってことで満足しちまったんだと」

「幻のハイイーグルを一羽生け捕りにして、それを売ったらお前は今頃、ハンターやってないんじゃないか?」

「それで金持ちになれても、それじゃ俺がじいさんを越える弓使いにはなれねえだろ。金で意地と名誉は買えない、だからよっぽど金に困ることがなけりゃこの羽は売らないんだよ」


 額縁の中の翡翠色の羽を自慢し、男は祖父から聞いた話を続ける。一人のハンターが額縁を持ち、まじまじとハイイーグルの羽を見る。


「この羽、色があれに似てないか?」

「あれってなんだよ?」

「あれだよあれ、町の聖堂の中に飾られてる緑羽の尾羽根にさ」

「守護獣、緑羽か?」

「そう、エメラルドグリフォンの尾羽根」

「あっちは緑と黒の縞模様で、緑の色がハイイーグルよりも濃い気がするぞ?」

「そうか? その緑のところが似てる気がするんだが」

「もしかして、風系の魔法と緑色って何かあるのか? 魔術のことはわからねえけど」


 ここに集まるハンターの中で魔術を使う女に注目が集まる。


「あのね、わかるわけ無いでしょ。私はハイイーグルの羽とか、エメラルドグリフォンの尾羽根とか、そんなトンデモ素材で作られた魔術具なんて触ったこともないんだから」

「そりゃそうか。目の玉飛び出る値がつきそうだ」

「でも、風の属性で緑色ってのは関連あるのかもね」

「魔術具に詳しい奴なら解るかもな」


 酒を飲みつつ、この家のハンターは思う。俺は何を落とせばじいさんを越えたって言えるんだろうな? と。


「そういや、守護獣緑羽って、どこ行っちまったんだろうな?」

「それはアバランの町が平穏だからだろ」

「だよな、アバランの町が窮地のときに現れるのが町の守護獣、緑のグリフォン、緑羽なんだから」


◇◇◇◇◇


クイン

「……何だか、尾羽根の付け根がムズムズする」


アシェ

「また、緑羽がオスかメスかで噂されてるんじゃない?」


設定考案

K John・Smith様

加瀬優妃様


m(_ _)m ありがとうございます。

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