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ももいろトライデント

(* ̄∇ ̄)ノ ローグシーの街の演芸場について、ちょっと解説。


 魔獣深森に近いウィラーイン伯爵領、領都の街ローグシー。


 この街には演芸場がある。スピルードル王国王都にある歌劇場よりも小さく、庶民向けの演芸場。

 もともとスピルードル王国では演芸、演劇、というものが庶民の娯楽としてあった。これはスピルードル王国内で、魔獣の被害の多いところと少ないところがあったことに起因する。


 スピルードル王国のかつての王族に演劇に力を入れた政策を行ったものがいた。

 演劇や紙芝居などで魔獣と戦う騎士や魔術師、魔獣狩りの勇士のことを庶民に知ってもらうことが目的だ。


 魔獣と戦う者がいてこそ人の住むところは守られる。故に魔獣と戦う者を平穏に暮らす者が支えねばならない。


 演劇を通して勇士達を讃え、その勇士達の暮らしを支える為に税が必要となる。このときの王族は魔獣被害に対する政策を進める為にも、民衆に税の重要性を知ってもらうために演劇という手段を活用した。


 旅回りの芸人、劇団で優れた者を見つけては貴族が支援することも薦め、スピルードル王国の住民達は祭りに訪れる旅芸人や詩人を楽しみにするようになる。


 魔獣狩りの勇士の物語を楽しみ、自分達の税が魔獣と戦う者の支援に役立ち、自分達の生活が守られる、ということを王国の住民は知るようになっていく。


 こうしてスピルードル王国では旅芸人が増え、大きな街では演芸場のあるところが多い。

 今では魔獣狩りの勇士の物語意外にも、恋愛劇、喜劇、悲劇、歌劇と種類も様々に増えた。


 ローグシーの街の演芸場はここからミュージカル『蜘蛛の姫の恩返し』が誕生し、主演を努めた女優アイシーは旅回りの劇団のいち役者から、王都の歌劇場で活躍する名女優へと出世した。


 ローグシーの演芸場で公演すれば当たる、という噂など立ちローグシーの演芸場は人気がある。演芸場の近くには『蜘蛛の姫の恩返し』のグッズを売る店が立ち、この店は演芸場で人気の出た役者や演者に纏わる商品など販売するようになる。


 街で話題になった旅芸人のフェルトぐるみなどもある。最近では街で素晴らしい軽業を披露した、東方風の着物を来た双子の姉妹のフェルトぐるみなども子供に人気がある。

 ローグシーの街に訪れる者が増えたことで、売り上げは好調だ。


 武の国、盾の三国、と猛々しい呼び方をされるスピルードル王国。しかし、演劇、演芸に力を入れ、貴族は見込みのある詩人、芸人を支援し、王国では識字率を高める為に、貸本屋や紙芝居を広める政策を行うなど、芸術の分野にも力を入れている。


 それも、もとを辿れば魔獣と戦う者の為に、というところが一貫している。

 

 戦う為に殺伐として暗くなっては戦う気持ちが失せてしまう。

 明るく笑って戦う為に必要なものは何か、そこに人を楽しませること。楽しませながら必要なことを広く伝えること。

 これに力を入れたスピルードル王国のかつての王は名君と呼ばれるに相応しい。


 このスピルードル王国の歴史、このローグシーの街のことを知る度に、商人が求められることは何か、商人として生きるとは何か、と以前より深く考えるようになった。


 商人は物を商い、金を稼ぎ、金を使う。

 しかし魔獣深森に近い土地では死もまた近い。

 どれだけ金を稼いでも、死んでしまえばあの世に金は持っては行けないのだ。

 ならば武の国に置ける商人の在り方とは何か。


 ――シウタグラ商会、商会長パリアクスの日記より――


◇◇◇◇◇


 領主館、二重になった館を囲む壁。その内壁の中の庭でララティが踊っている。


ララティ

「デビューに向けて練習ぴょん!」


 ♪ワクワクが跳ねて止まらない

  イタズラが過ぎると言われても

  だって、これは、はずかしテレ隠し

  包まない気持ちは、まだ見せられなくって

  あなたに素直になれないの

  ハイテンション! ゴメンね

  ラブテンション! だけどね

  やり過ぎちゃうのは、許してね

  静かな恋はまだムズがゆいの


ララティ

「作詞はこんな感じで、ファルフィに作曲してもらうぴょん!」


ルティ

「ララティが恋の歌! あはははは!」


ララティ

「やっぱり恋歌がウケルぴょん!」


ロッティ

「その歌で踊るのじゃな? ダンスは誰が作るのじゃー?」


ララティ

「とりあえず皆で考えてやってみるぴょん、たん、すたたん、すたたん、たった、すたった♪」


ルティ

「え? タップダンス? ある意味ウサギっぽいけど?」


ララティ

「歌って踊れる『ももいろトライデント』は、タップダンスを売りにするぴょん。おまいらも練習するぴょん」


ルティ

「あのー、歌も踊りも好きだけど、僕は下手っぴだよ?」


ララティ

「ルティは、『僕がんばる娘』を売りにするぴょん。あちたちはプロの技より、見て和む、見て元気になる路線でいくぴょん」


ロッティ

「何を言う! 歌も踊りもワシに任せるのじゃ!」


ララティ

「えー? ロッティは言うほどのものでも無いぴょん。ファルフィを見ちゃうと……」


ロッティ

「あの芸能エリートと比べるで無いのじゃー! 英才教育受けたお嬢様なんてファルフィくらいしかおらんのじゃー!」


ルティ

「うん、歌と踊りは見たこと聞いたことあるけど、やったこと無い、基本を知らないってのが深都には多いような気がするね」


ロッティ

「ファルフィにヴォイセスねえ様が少数派なのじゃ」


ララティ

「とにかく! ローグシー街の演芸場デビューに向けて歌と踊りを練習するぴょん!」


アイジス

「その前にララティは人化の魔法を練習しろ。だいたいなんだ? そのももいろなんたらは?」


ララティ

「あちとルティとロッティの三人娘のユニット名ぴょん」


アイジス

「お前たちはローグシーの街には出さんからな。ララティは人化の魔法、ロッティは街の住民の知識が不合格」


ルティ

「え? アイジスねー様、僕は? ルミリアとルブセィラから合格もらったよ?」


ララティ

「な? ルティ、いつの間に?」


ロッティ

「おお? ルティが抜け駆けするのじゃ!」


アイジス

「ルティはもともと人化魔法はそこそこ使えるし、危なかったがローグシーの街で一日潜伏してバレなかったからな」


ルティ

「そのあと学習した! いっぱい学習した!」

 

アイジス

「それで、最後に試験をするそうだ。試験内容はルミリアが決めることになっている」


ルミリア

「ルティへの試験内容は『コウモリ娘の初めてのお使い』とするわ」


ララティ

「絵本のネタにする気満々の試験タイトルぴょん!」


ロッティ

「ルティがワシを差し置いて絵本デビュー? 許さんのじゃ!」


ルティ

「僕、がんばるよ!」


ララティ

「そっちをがんばるぴょ? ももいろトライデント解散の危機ぴょん!」


アイジス

「解散どころか、結成すらまだだ」


ララティ

「こうなれば、既に旅芸人として人気のあるカッセルとユッキル、あの二人にカラァとジプソフィを組ませてデビュー……」


ロッティ

「おお? それは大人気になりそうじゃ!」


ララティ

「その名も『クモリス』! これでいくぴょん!」


アイジス

「いかせるか! ローグシーの街で騒動は起こさせんぞ!」


ルミリア

「その名前だとリスだとばれてしまうわね」


◇◇◇◇◇


アプラース王子

「ルミリア夫人、何のお話でしょうか?」


ルミリア

「ローグシーの演芸場でのお芝居でちょっと相談されているのよ」


アプラース王子

「ルミリア夫人はいろいろやってますね。ウィラーインの博物学者と呼ばれるのもわかりますが、演芸場の芝居、ですか?」


ルミリア

「ミュージカルをやってからはこうしてたまに相談に乗ることもあるわ」


アプラース王子

「あぁ、蜘蛛の姫の恩返し三部作の、王都の歌劇場でも大成功のミュージカルですか」


ルミリア

「あれはゼラ人気のおかげだけれどね」


アプラース王子

「それで、なぜ私が呼ばれたのですか?」


ルミリア

「歌詞がね、なかなか上手く決まらないのよ。……♪闇に煌めく正義の剣輝、蜘蛛の仮面の正義の味方」


アプラース王子

「あ、あの、それって、まさか?」


◇◇◇◇◇


『怪傑蜘蛛仮面、――取り返せ、盗まれた聖獣像――』

 

 ローグシー演芸場にて近日公開予定。


設定考案

K John・Smith様

加瀬優妃様


m(_ _)m

ありがとうございます。


(* ̄∇ ̄)つ函 アイドルユニット、ももトラ、デビューはいつの日だ?


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