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深都のお姉さま達は考えた

(* ̄∇ ̄)ノ 深都、お姉さま達が何やら?


 母神の瞳。それは闇の母神に繋がるという神秘の赤い宝石。その力を引き出すことは人には難しく、この拳大の赤い宝石を使いこなせるのは、深都の住人だけとなる。


 かつて、赤の世界でカダール様はこの母神の瞳を通じ、闇の母神ルボゥサスラアと会話した。その会話の内容の詳細について、私がカダール様に尋ねたものの、詳しいことは教えてはもらえなかった。


 赤の世界で見たというかつての古代魔術文明の時代、それは言葉で説明することが難しい、とカダール様は言われた。


 しかし、私はカダール様がわざと濁しているところがあるのではないか、と考えている。古代魔術文明と闇の母神と深都の住人と魔獣の関係。そこには、今の人には伝えるべきでは無い、というものが含まれているのかもしれない。


 話を母神の瞳に戻そう。


 かつて邪神官はこの母神の瞳を使い、マンティコアと四ツ腕オーガという魔獣を操った。どちらも討伐するには難度の高い、ハンターも手こずる手強い魔獣。


 闇の母神とは別名が、この世全ての魔獣の母。この母神の瞳には闇の母神に連なる魔獣を使役する力があるらしい。

 その使用法については邪神官が死亡したことで失われた。

 また、邪神官にその使用法を伝えたであろう、深都の住人アシェ、ラミアのアシェンドネイルは魔獣使役の使用法には沈黙している。


『同じ破滅をお望みかしら? 眼鏡賢者?』


 皮肉げに言うアシェの言葉は耳に残っている。アシェは我欲の為に動く邪神官を破滅させるために、わざと禁忌を伝えたのではなかろうか。魔獣を操るには何か危険なこと、なんらかの代償、などがあると思われる。

 

 また母神の瞳を通じて遠く離れた者と話をすることもできるようだ。アシェ、クイン、アイジスはときおり母神の瞳を手にし、語りかけることがある。

 アイジスに尋ねたところ。


『母神の瞳を通じ、深都と連絡をとることができる。緊急時の連絡には便利だ。だが、これは相手が母神の瞳を持つ深都の住人でなければならない。人には使えない』

 

 遠く離れた者と話をする。人に使えたなら便利な道具だろう。

 しかし、使い方次第では国の諜報、戦争が大きく変わることも考えられる。


 かつての古代魔術文明の滅日。それを今の人類が繰り返さぬようにする為には、母神の瞳のような便利過ぎる力は、人には使えぬ方が良いのかもしれない。

 原理も理屈も解らぬ道具を使うとは、道具を使っているのか、それとも人が道具に使われているのか、それを自戒しなければならないのだろう。


 それでも古代の神秘に魅力を感じ、惹かれる者とは、なおのこと気をつけなければならない。

 自戒と共に記し残しておく。


 ――魔獣研究者、ルブセィラ=カリアーニスの地下秘密研究所に残るメモより――


◇◇◇◇◇


 深都、下半身魔獣の半人半獣が集まり、スクリーンに注目する。


「はじまった、はじまった。今日の生中継」

「あぁ、カラァもジプソフィもかわいいなあ」

「大きくなったわね」

「産まれたときはちっちゃかったのう」

「アシェ、もっとアップ、カラァをアップにして」

「あ、ジプソフィがフォーティスのほっぺにチュッて」

「はう、キュンとしちゃう」


「あれはなに?」

「東方の人形、のようだ」

「やっぱ女の子が喜ぶのはお人形?」

「どうだろう? 男の子だけど、フォーティスも喜んでいるし」

「うん、そのフォーティスが着てる東方着物って、あれ、女の子用じゃない?」

「何を今さら、フォーティスはスカート穿いたりしとるだろに」

「フォーティス君、女の子になっちゃわない? 大丈夫?」

「その辺り、人の教育に我ら詳しくなかろ」

「べつにいーんでない? フォーティス君似合ってるし」

「は!? まさかこのままフォーティス君がリアル『剣雷と槍風と』に?」

「ひゃあ!(歓喜)」

「ひゃあ!(悲鳴)」

「深都にアレを持ち込んだのは誰だ?」

「えっと、十二姉のアダーねえ様と読書クラブ……」


「どうやらかわいいお人形がいいらしい」

「子供が遊ぶに良いのは、お人形か」

「よし、我の毛でもふもふな奴をひとつ」

「では、その人形で遊べるおままごとセットを」

「ふむ、人形の住む家なんていかが?」

「子供でも安心して使えるお料理セットでおままごとも」

「まて、禁則に触れる技術はダメだ」

「え? じゃあこの、頑張って組み合わせれば量子演算機も作れる積み木は?」

「それは積み木じゃ無くて論理ブロックだろ」

「あんた、何を贈ろうとしてんの?」

「ううむ、深都には子供がいないから、子供が遊ぶオモチャなんてどうすれば」

「こういうときこそ、人類領域を調査した成果が」

「ファルフィはまだ戻って来ないのか?」

「あいつ、何処まで調査しに行った?」

「よし、子供のオモチャ作りの為にゲーム理論を改めて」

「ボードゲームとか、カードゲームとか?」

「今の文明に無い物を贈るのはダメ。なにそのボードゲーム『50億年物語』って。生物進化論が一般的に子供が知らないたとこで、それはアウトでしょ」

「できた! 属性魔法を強化するブースターアミュレット!」

「危険なものを持たせちゃダメ!」


「なあ、前に子供達の絵姿を送ってもらったんだから、こちらの絵姿を送るというのはどう?」

「えー? それ、あの子たちが楽しめるものであるか?」

「……まって、もしもフォーティスくんが気に入ったなら、それは見合い絵姿ということ?」

「「それだぁ!!」」


十二姉、ヴォイセスファセウス

「こちらからの贈り物については、しっかりと制限しなければ、人類領域を混乱させることになりかねない。半人半獣絵巻は深都の外に出すわけにはいかない」


◇◇◇◇◇


「フォーティスくんが気に入ってくれたら……、むふふ」

「それはイケルってことよね?」

「もしも、フォーティスくん以外の男が、これに興味を持ってくれたら、それは私が行っても大丈夫、ということよね?」

「いやー、その絵はちょっと盛ってない?」

「いいじゃないちょっとくらい」

「絵姿が良すぎて、実際に会ったら幻滅、というオチがつく」

「イヤあ! それはイヤあ!」

「あー、描いても描いても終わらない。まだいるの? あんた達自分で描いてみなさいよ!」

「だって絵描くの下手だし」

「写真はローグシーの街に無いからアウトだし」

「絵が上手いのって少ないか」

「ちょ、ちょっと大胆だったかな? でもこれでエクアドの反応が見てみたい……」

「おい、そいつをおさえろ。ウィラーイン一家にいらん不和の種をまくな」


◇◇◇◇◇


アイジス

「なに? クイン以外に深都から贈り物が届けられただと? 誰の仕業だ?」


クイン

「あたい以外の飛行組となると」


ルティ

「え? あ、あはは、えっとその、それは、お姉さまにお願いって頼まれちゃって。ボクもちょっとおもしろそーだなー、と。人の反応とか、見てみたくて、あ、あはははは」


ララティ

「今回はルティがお仕置きぴょん」


フェディエア

「ララティ、まだ話は終わってませんよ。武力正妻とはどういう意味?」


ララティ

「ぴょ? エクアド宛の半裸絵姿を槍でメッタ刺しにしたフェディエアにピッタリぴょん」


拳骨メイド、サレン

「さすがフェディエア様、次期伯爵夫人の貫禄が出てきましたね」


フェディエア

「ルティ? 他には?」


ルティ

「あの、あはは、ちょっとフェディエア、怖いよ」


ロッティ

「うむ、家族を誘惑されて家庭不和になるかもしれん、となるとフェディエアも怒るのじゃな? ひとつ勉強になったのじゃ」


クイン

「母さん大好きのフォーティスに心配は要らないと思うけど」


アシェ

「そっちじゃなくて心配なのは旦那じゃない?」


◇◇◇◇◇


 深都、未だ人が辿り着けぬ魔獣深森の奥の奥。何処にあるかも不明の謎の都市には伝承の魔獣が住むという。龍を越える災厄とも呼ばれる恐ろしき力の持ち主が、祖龍に守られた都市に住むという。人智を越えた異形が潜む、そこは禁断の神秘の地。


「お、はじまった、今日の生放送」

「あ、クインがフォーティス君とお風呂してる」

「はあん、フォーティス君の一糸纏わぬ産まれたままの姿……」

「くう、わらわもフォーティス君とお風呂したい」

「幼い頃からゼラとアシェとクインを見てるフォーティス君なら」

「たまりませんわねえ」

「おい、お前ら、深都から出るなよ、わかってるよな?」


 ……波乱の予兆を見せつつも、今日も深都は平和であった。


設定考案

K John・Smith様

加瀬優妃様


m(_ _)m ありがとうございます。


( ̄▽ ̄;) 深都のお姉さま、超常の存在ばかりのハズ。だけどその日常は。


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