【1人声劇】壁
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今後もよろしくお願いいたします!
やぁどうも皆さんこんにちは。
もしかしたら、
「おはようございます」だったり「こんばんは」
だったりするかもしれないけど、とりあえずこんにちは。
私の名前は・・・・・うーん。
名前はいいか。
職業は会社員をやっています。
よく個人情報を書くときに「職業」書く時あるよね。
あそこになんて書いたらいいか悩むときありません?
人によってはクソ真面目に
「詳細な職種」を書く人もいるらしいけど、
私はいつも「会社員」と書くね。
と、まぁ。そんなことは別に関係ないのだけど、
今日は少し私の体験談を語ろうと思うんだ。
うーん。まずは私の勤めている企業について説明する必要があるかな。
私の勤めている企業は、割と大きなグループ企業の大元って感じだね。
自慢じゃないが、割といいところに勤めているんだよ。
私たち企業の仕事は、傘下にいる企業たちに指示依頼をすることなんだ。
ようは、基本的に事務作業ってわけだ。
その中でも私の勤めている部署は良くか悪くか。比較的仕事が少なくてね。
部署によっては朝から晩まで、ずっと大勢の人がフル稼働しているけど、
私の部署は、私一人。割と悠々自適に過ごしているけど、割と暇だったりする。
いや、もちろん大変な時もあるよ?傘下の企業が送ってきた情報をまとめる作業を、
1人でやらないといけないからね。時には徹夜で作業するときもあるさ。
でも、比較的暇な時が多いね。
とまぁ以上が、私の勤めている仕事の概要だ。
じゃあ早速、本題に移ろうか。
これは、私がいつも通り仕事をしていた時の話なんだよ。
いつも通り送られてくるデータを必要な情報だけにまとめて、
各取扱い先に送っていたんだ。
送られてくるデータは、文章か映像でね。僕はチキンブリトーに
粉チーズをかけて食しながら、いつも通り作業をしていたわけさ。
そしたらね、なんだかいつもとは様子が違うデータが送られてきたんだ。
いや、データというには程遠い見た目をしていたかな。
人だったんだよ。それも女の子さ。
私はとってもびっくりしてね。すぐに他部署や別会社に問い合わせたけど、
みんな、「それはお前の仕事だ。自分で考えて処理しろ。」とのことだ。
私はすごく悩んだけど、とりあえずいつものように情報をまとめることにした。
今までこの仕事を10年以上続けてきたけど、「観察」という仕事に勤めたのは、
初めてのことだったさ。
その女の子。えーっと、ここからは言いづらいけど彼女と呼ばせて頂くね。
彼女を観察していてまずはじめに分かったことは単純なものだった。
体はすらっとしていて、おしゃれでかわいい服を着ていた。
髪は長くて、青みがかったグレーっていうのかな。申し訳ない。おしゃれなんて生まれてこの方、
仕事ばっかりでしてこなかったからわからないのだけど、
今までの情報を見返して推測するに、アッシュって言った方が一般的なのかもしれないね。
顔は目鼻立ちがしっかりとしている。ナチュラルなメイクは、
彼女の綺麗な顔をより一層美しく際立たせていた。
簡単に言えばとっても可愛くて美人な女の子だったんだよ。
僕は、すごく単純な人間かもしれないけど、彼女にこの時点で恋に落ちてしまった。
いわゆる一目惚れってやつかな。
彼女と話してみたい、彼女に触れてみたい。僕はそう思ったんだ。
でも、僕は彼女を観察する立場にいて、僕は業務中はデスクから離れることができない。
でも、彼女を観察できるのは営業時間中だけだ。
僕はすごく悩んでね。なんとか彼女に近づけないものかとすごく悩んだわけさ。
そしたら急に電話が鳴った。上層部の人間からだった。
話を聞いてみると、私からの情報が送られてこないことで、他部署も傘下の企業もみんな
怒っているようだ。
とりあえず私は、今観察できた情報だけを送ってみた。そしたらどうなったと思う?
急に警報が鳴りだして、大変な騒ぎになった。警報が鳴るときは、私の企業の指示依頼が
基準以上に遅れている時だ。
先ほどから電話が鳴りやまない。
私が関わったことない部署からも情報を出すように指示がきている。
それでも私の部署は私しかいない。とてもじゃないけど対応できるわけがなかった。
それでもなんとか、私は必死に情報をまとめていた。
とても大変だったさ。
でもね、いいこともあったんだよ。
情報を伝達すればするほど、彼女との距離が少しずつ近づいてきたんだ。
それが何故かなんてわからなかったけど、僕は必死に作業を続けた。
段々段々と近づいていく距離。僕は必死に作業を続けたさ。
多分、警報が収まるまでに1か月以上かかっただろうね。
数時間眠ることはあったけど、起きたらすぐ仕事をしていたさ。
大好きなチキンブリトーも食べる時間がないくらいにね。
気づけば彼女はもう1メートルもないんじゃないかってくらい近くにいた。
僕は意を決して話しかけた。
「やぁ。こんにちは。」
「やぁ。おはよう。」
「やぁ、こんばんは。」
どんな声をかけても返事が返ってくることは無かった。
どうやら声が聞こえていないみたいなんだ。
聞こえないなら触れてみようと、デスクからグッと手を伸ばした。
もう少しで届くというところで、何かに触れた。
壁だった。見えない壁が私と彼女の間にあった。
壁をいくら叩いても、大声で呼びかけても聞こえることはなかった。
僕は愕然としたさ。今まで頑張ってきたことはなんだったんだ。
僕はどう頑張っても彼女に触れることはできないのかとね。
それから、何時間も壁を叩いて叫んでしていたこともあって、
私は眠ってしまった。
目を覚ますと、目の前に彼女の姿がなかった。
デスクには今まで通りのデータが送られてきていた。
彼女の情報を読み返そうとしても私の権限では見ることもできなかった。
僕はこの時始めて泣いたさ。他部署も私が彼女に恋心を抱いていたことを気づいていたようでね、
気を使って、私に仕事を廻さないでくれたよ。
今は僕は普通のいつも通りの生活に戻っている。
少し変わったことは、あの大変な1か月を過ごしたことで、少し作業の手が早くなったことかな。
僕は今での彼女のことを好きでいる。でも、それは心の奥に大事にしまって、日々を有意義にすごしているのさ。
以上が、僕の体験談だ。
ごめんね。僕は仕事以外ではたらたらと書くのが大好きでね。
これを読んでくれているあなたや、聞いてくれているあなた。
あなたたちにも好きな人ができた時、その恋が上手くいってもいかなくても、
それは君の心に強さや自信を与えてくれる。
だから前を向いて、有意義な人生を生きよう!
おっと、そろそろ仕事に戻らないと、今日は僕の無駄話に付き合ってくれてありがとう。
またいつか、また会えるといいね。
そして、この話を僕が好きだったあの人が、聞いてくれていると嬉しいな。
それじゃあ、また!