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どうも、無職です!

作者: 久遠寺月牙

「ああ、もうやってらんない!」


 俺はそう言うと事務所を飛び出した。


 理由は、簡単。


 前々から社長が、俺に対して良く思ってないのは知っていた。


「お前は、いつも白園ばっか強く押してくる。少しは、ABMにも関わったらどうだ?」


 一時期は、見積もりを出せばすぐにでも契約が取れた数年前と違って、今は先方が金額を掲示してくる。しかも、前よりも安く、だ。


 だから、俺は何度も言った。


「もともと、ABM担当だった俺を外して、白園担当にさせたのは社長だろ」ってね。


 社内でも、社長のやり方を快く思ってない奴は全員だ。前の専務もそれについてけなくて辞めた。


 で、決定的だったのが、この間の三連星休の時。俺は、横浜で他の仕事をしていて、社長の奴は、俺の行動を決議にかけたらしく、信頼してる部下から、


「友永さん。火曜日にきたら、席ありませんよ?辞めるんですか?」


 寝耳に水だったね。俺が、会社の金を横領したとかならわかるが、そうじゃない。どうやってこじつけたか知らんが···。俺は、その足で会社に行って、朝の朝礼で「懲戒解雇」を言い渡された。


「不正解雇ですよね?俺、専務ですよ?ここの株も持ってる」何度も反発したが、拉致があかなかった。無論、その時もポケットの中にICレコーダー忍ばせておいた。


 で、そのまま顧問弁護士のとこにきて、そのレコーダーに録音した奴を聞かせて、その日の内に内容証明を送りつけた。


 それを電話で伝えたのに、事の重大さがわかってないのか、社長は日曜日にカートに行きやがった。


 バカだよなぁ。内容証明きたってことはさ、下手すりゃ裁判沙汰になる可能性もあるってことだぜ?


 俺が辞める事になったって言ったら、事務員ふたりも急遽退職願いを出して、こっちは8月末で辞めるらしいけど。それを知った社長は、急募で事務員を募集して、面接にきたのはほぼ男。んで、前にそこで事務員してた人に電話したらしいけど、俺の方が先に電話しといた。


「あそこ潰れるのは時間の問題だから辞めとけ」って。


 荷物もまだ事務所にあるからさ、お前に渡すカメラもそこ。しかも、俺が来てもわかるように、防犯カメラ取り付けたらしい。


 バカだねぇ。俺が辞めるのはいいとしてもだよ?事務員ふたりも辞めたらどうなるのかわかってねー。給料の計算や支払いとかどうすんだって。今更慌ててもしらねーし。ザマーミロってーの。


 だから、また、社長の居ない日に部下に頼んで俺の荷物を全て持って越させるつもりだから。


 うん。もうすぐ着くから。待ってて···


 と、電話を切り車を走らせある場所へと向かう。


 目的地に辿り着いた俺は、車から出て大きく伸びをし、空を見上げる。


 雨上がりの青空に1本の白いライン。そして、桜の樹の緑が目に眩しかった。

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