告げられた事実
第1章最終話です。よろしくお願いします!
「え?な、なんでですか?」
突然僕の元に投げられた爆弾に僕は動揺を隠せなかった。
「うーん、人生経験が長い分の勘、かな?」
人生経験というのは実に凄い......
じゃなくてっ、、
「いや、別に好きなんかじゃないです!」
「そんなムキにならなくても~別に人を好きになるのは恥ずかしいことじゃないと思うよー?」
天海さんのいうことはわかる。
それでも僕はこの恋心を悟られたくも、知られたくもなかった。
「でも七瀬さんも罪な女だよねぇ。旦那さんがいるのにこんな可愛い高校生に好かれるなんて羨ましい」
僕は先ほど聞き逃したそのワードをスルーすることはできなかった。
「え......?あの、七瀬さんって結婚されてるんですか?」
その質問にアッと口を抑える彼女。
「へー、知らなかったんだ。七瀬さんあんなだから
生活感ないかもしれないけどちゃんと旦那さんがいるんだよ?私の方が家庭があるように見られるけど実は逆なんだよね~」
その言葉に僕の中で何かが崩れていくような気がした。
七瀬さんには......旦那さんがいる?
「七瀬さん距離感近いところがあるから惚れちゃう
気持ちも分からなくないけど色々とダメだからね?」
「あっ、でもあんまり上手くいってないみたいだよー?って法律的にダメか!少年くん?話聞いてる?」
何か天海さんが続けて言っているようだったけど僕にはもう全くその内容は入ってこなかった。
僕が好きになった人は実は人妻で、好きになってはいけない人......だった?......
この心に芽生えた初めての気持ち。
しかし、その生まれて初めての恋はこんなにも簡単に失恋という無情な現実を僕に突き付ける。
僕は、この想いを伝えることすら許されなかったんだ......
「じゃあ、今回はこれにする~?♪」
「はい!七瀬さんのオススメなら安心です!」
「可愛ちゃんも嬉しいこと言ってくれるね♪」
2人が試着室から戻ってきたみたいだったけど、僕にはもうそれすらどうでもよく感じた。
「あれ~?真田くん。ボーッとしてどうかしたのー?おりゃ!」
脇腹を突いてくるその様子に僕は先程と打って変わり、苛立ちを隠せなかった。
なんで、旦那さんがいるのに僕にそんな態度が取れるんだ!
「やめてください。そんなことされても鬱陶しいだけですから」
「ご、ごめん、可愛さん。僕先に帰るよ」
「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ真田くん」
後ろから可愛さんの呼び止める声が聞こえたが、僕は早くこの場から立ち去りたかった。
僕はその引き止めを無視し、店を飛び出し、ひたすら走った。
僕が勝手に好きになって、いつか付き合える日が来るんじゃないかと勝手に期待して、勝手に落ち込んで、自分がほんと......馬鹿みたいだ......
七瀬さんが悪いわけじゃない。きっとあの距離感、あれが彼女なりの接客だったのだ。
どうして、どうして僕は彼女なんかを好きになったんだろう......一回りも年上で、捉えようによってはおばさんで、旦那さんがいて、誰にでも愛想のいい七瀬さんを......
僕はなんで彼女に恋をしてしまったんだろう......
何度問いかけても出てくるはずのない答えとは反対に、自分の目には収まりきれないほどの涙が頬を伝う。
きっと答えがわからないから好きなんだ。
だけだ、七瀬さんには旦那さんがいた。
僕にはもうどうすることもできない。
だけど......
一回芽生えたこの感情を一瞬にして無くすことなんて僕には出来なかった......
彼女には帰るべき家庭がある。
僕のこの想いは彼女に届かすことも実ることもない。
それでも僕は......七瀬さんが、好きだ......
ここまでご覧いただきありがとうございます!
番外編を2話ほど挟み、第2章突入です。
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