9話 なんだそれ
結局あれから1時間くらいで自室に到着。
寝て起きた筈なのに、部屋に戻ったらすぐ寝ちまって朝になってた。
どうにも自分じゃない人に付与魔法を使うと消耗が激しいみたいだ。
結構フラフラしながら部屋に戻ってしんどかったな...
今はまたあのメイドさんに連れられて廊下を歩いてるわけだけど、正直言ってまだ疲れを引きずってる。
目覚めも悪いし気分も悪い。
端的に言ってめちゃくちゃ眠い。
でも仕事しに来てるメイドさんにもうちょっと寝かせてとも言えないしなぁ
目をギュッと閉じて気を切り替えようとしていると、唐突に扉が開く音がする。
思い瞼を薄っすらと開けて見ると...正面テーブル越しに目からビーム。
うっわ、ビビった。
ここに入るの...?
いやメイドさんどうぞじゃなくて...いや仕方ないか...
部屋に足を踏み入れた瞬間、後方の扉が閉まる。
そして飛んでくる目からビームのお言葉。
なんだこれ...なんだこれ....
嫌な予感しかしない。
「昨日、何処で何をしていた」
え、ああそれか
あの会場で寝てたんですけど...
その後ウロついたのが不味かったのか?
いやでもこれしょうがな
「答えよ」
はい答えます!
「あまりにも眠かったもので、会場の隅で寝ておりました」
「...続けよ」
続けよって何よ。
これでほぼ全部だわ。
「目覚めると誰もおりませんでしたので、歩いて部屋まで戻りました」
「すみません、少しおかしく無いでしょうか」
王様の手前横方向から声。
目からビームに意識がいって見えていなかったが、他にも腰掛ける存在がいたようだ。
うへぇ...囲まれてやがる
「はい?」
「ああいえ、寝ていたのもそうですが、城にも見回りの兵士がいますから...兵士に合わなかったのかと」
誰だお前...イケメンか死ねって待てこいつの声聞いたことあるぞ。
昨日の奴じゃないか?廊下から聞こえて来た声にそっくり。
「会いましたが、誰も私に気付かなかったものですから」
「...それは隠密スキルではないですか?
怪しすぎますよ。城の情報を探っていたとしか思えませんが...」
声色から優しそうなのはわかるけどくっそ間が悪いなお前は、昨日しかり今日しかり。
つってもこれ全部本当だしなぁ...
都合の良い嘘吐こうにもこの場での正解が見えないし...どうする?
ここでお前怪しいから処刑な、みたいな事ないよな?そうなったら回れ右で...メイドさんにドア前抑えられてる....
「待て...今はよい」
「いやしかし..」
「よいと言っている
昨日の働きに免じて、今回は見逃そう」
え、昨日何もしてないけど....
何か勘違いが...あれこれもしかして。
庇ってくれたのか目からビーム。
そういう事にしてけってな感じで?
目をやれば、コクリと頷く国王様。
こりゃ間違いねぇ。
やだ...あんた超優しいじゃんよ。
トゥンクときちゃう。
これは忠義待った無し。
「では本題に入ろう」
今のが本題じゃなかったんかい。
いや、いいんだけどさ。
ひやっと来たし、個人的にはお腹いっぱいだわ。
「しきたりどうり、闘技大会を行う事となった。出場者は各国で承認の儀を終えた勇者...つまりお前達だ」
「では、優勝者が魔王を?」
「うむ、パーティーメンバーもそこで決定されるであろう。しかし、わかっておるな?」
「はい」
「....」
わかるわけねぇだろ。
何この変則ルール。
闘技大会?勇者同士で戦うの?これ
「お主は魔を退ける力を持つ光の勇者。結果がどう転ぼうと、お主は4人の内の1人に選ばれる確率が高い。
そして...」
じゃあ初戦負けで脱退安定じゃね?
それならまだ最小限の痛みだけで...
「お主、平民の勇者はアイテムBOXを持つ唯一の勇者。しきたりによって、勇者パーティーの5人目として参加が決まっておる」
....へ?
「両名、重要な役目を負っている身だ。
十分に励み、役目を果たすよう心掛けよ」
「もちろんです。
元より、負けるつもりもありませんので」
「.....」
え...え......
それ、マジで言ってる.....?
こりゃ短けぇ...