4話 ステータス
やぁどうも。
ふかふかベットでゴロゴロしている俺、水野真也である。
機会なんてないだろうから手作りなんだろうが...うん。
職人の手作りともなるとこうも違うのか。
部屋に案内され、お決まりの「御用があれば何なりとお申し付け下さい」を御頂戴し、疲れてベットに倒れこんだら気持ちよすぎてビックリした。
三度の飯より眠りを優先する身としては、このまま睡眠欲を貪りたい所だが今日はそうもいかない。
あのジジイの言葉通りなら、俺は能力を頂いてる筈だし、その確認をしなければ。
役立たず勇者でお役御免を貰うのも良いが、この世界で今現在唯一の自衛手段なのだ。
ファンタジーならいるのであろう魔物さん達が、俺をキャッチ&リリースしてくれるとは考えにくい。
となれば、能力仕様の確認は必須。
まぁでも、異世界ファンタジーとくればまずはこれかな?
「...ステータスオープン」
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シン Lv:1 job:平民の勇者 ランク:F
生命力E−
筋力F+
体力F−
技量C+
素早さE
魔力A
頭脳B+
幸運D
スキル:付与魔法EX(Lv:MAX)
アイテムBOX(Lv:MAX)
弱点看破(Lv:MAX)
毒耐性(Lv:MAX)
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お、マジで出たよ...っておい、名前を短縮するんじゃないよ。
水野真也の真の部分しか認識されて無いじゃん。
それにこれ数値型じゃないやつか。
ううむ...付与魔法、バフの俺が思う運用方法的に数値が見えた方が都合いいんだが...
いやまぁ、所持中の技能がわかっただけでも十分だよな。
あんまり高望みしちゃいけない。
能力表示は多分こっちの世界基準なんだろうな。
一様成人だし、普通よりちょい痩せ程度で筋力やら体力がF判定ってのは向こうの基準じゃ恐らく無い。
上の判定が何処までかはわからないが、頭脳B+ってのもないだろう。
俺、学業成績ど真ん中だし。
向こうの世界基準なら頭脳はCかC−で妥当かな?
魔力とか器用が高いのは付与魔法使うためにあの爺さんがつけてくれたってことなんかな。
素でこの高さなんだったら俺も捨てたもんじゃないなって思えるんだけど、そうじゃないだろうし。
スキルは...ふむふむ、付与魔法EXに...ってEX?
なんか特別なのか...あとはアイテムBOX...弱点看破?毒耐性??
毒耐性ってなんで?
弱点看破は...うむ、付与と合わせて使えって事か。
意外に役立ちそうな物が多いけど、毒耐性だけ脈略なしに付いてる感があるな...
...まぁいいんだけどね。
あのジジイの気まぐれかもだし、お腹弱いしな俺。
これで少しでもマシになるといいなぁ。
広義的に解釈すれば、腹下しの原因も毒だろ、たぶん。
後は...そうそう、このスキル達の使い方だ。
......どうやんの?
いや待て、こういうのは気合と勢いだ。
ステータスもまんまでいけた。
これもきっといける筈。
「火よ...」
火が手にまとわりつくような感じをイメージして念じる。
するとどうした事だろう。
イメージした通り、まるで手から発火したようにボゥ!とアッチッチな炎が。
しかし俺自身は全く熱くない。
おいおい、俺魔法使っちゃってるよ。
俺魔法使いになっちったよ。
付与スゲェ。
言葉に出さずとも消えろ、と念ずれば瞬く間に消え、同じように燃えろ、と念ずれば瞬く間に燃える。
つけたり消したりつけたり消したりつけたり消したりつけたり消したり。
やべぇ、これだけで1日中暇潰せそう。
テンション上がるぜ。
いやいや待て待て、他のも楽しむ...もとい確認しなきゃいけない。
次は...アイテムBOXか。
アイテムBOX、開けゴマ。
「うぐ...」
念じた瞬間、シンの目の前の空間には黒い球体のような何かが出現し、内包している物品の全ての情報が頭に流れ込んだ。
突然の情報に対する負荷か、額が酷く痛み、片手で抑えながら膝をつく。
だが悪い気分ではなかった。
「ひひっ..」
耐えきれず、笑みが零れる。
これがあれば取り敢えず生き延びられる。
その確信を持てる品が、アイテムBOXには入っていた。
笑いを嚙み殺し、だがなお歪む頬を元に戻せぬまま、俺は低く笑い続けた。
10分後、急激な腹痛でトイレを探し回るまで、ずっと。