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ラッド・セラストの青年時代の記述より
炎は、有限の性質である。
闇を切り裂く熱の結晶は、
その力を失いゆく運命にある。
摂理。
美しく、残酷な。
逃れ得ぬ摂理。
それならば、と、
神はこの地から摂理を奪った。
永遠を謳歌する炎。
大地を焼き焦がし、岩を覆う熱。
ゆっくりと熔解するその地。
炎は命を得る。
安息の地を得た炎と、巻き上がる温風。
肉体に囚われず、
ゆらゆらと揺蕩う命。
肉体がそこに入ることはない。
他の者には、まさに死地。
そこは、煉獄のようにも見えた。
彼らに与えられた、煉獄の奇跡。
ほんの僅かな時間、
彼らの「永遠」。