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恋の花し  作者: 犬犬太
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まず初めは基本のアレンジを作るための簡単な座学からだった。アレンジメントの型や花によっての使い所など、実際に簡単なアレンジを作りながら説明してくれる。何度か作っている所を見せてもらってはいたが、そういう理屈があったのかと説明されてやっと理解出来た気がした。

そして、これからが本番。各自好きな花を選んで実際にアレンジメントを作る。

まずは中心となる花、フォームフラワーにマスフラワー。そして、空間を埋める花のフィラフラワー。最後に流れを出す花ラインフラワー。大まかに分けるとこんな感じらしい。

どの花を使おうかと悩んでいる内に、目の前のバケツからはどんどんと花が無くなっていく。結局残ったのは白のトルコキキョウにオレンジのスプレーカーネーション、複色の赤いスプレーマムとグリーンにアイビーが数本だった。色合い的には残り物の割には悪く無い組み合わせだし、花言葉もそんなに悪くは無いか。白のトルコキキョウは「永遠の愛」、オレンジのスプレーバラは「魅力」、スプレーマムは「あなたを愛します」。偶然とはいえ、うまく出来上がれば、あの人に贈りたいほどの花ばかりだ。そうだ、これはきっと神様が早く決着をつけろと言っているに違いない。たとえここで作った物が上手く出来なくても、この花と同じ花を使ってアレンジを作ろう。そして、俺の気持ちをあの人に伝えよう。

俺は並々ならぬ覚悟で与えられた花材を握りしめ席へと戻った。

水を吸わせた吸水スポンジを花器に合わせて余分な部分をカッターナイフで切り落とし押し込む、さらにはみ出した上部の角を無くすように斜めに切り落とす。これで土台は完成だ。

正面を決めたらあとは花を扇型に刺していくだけだ。だが、ここからは全てが一発勝負。どの花を、どんな長さで、どんな向きで、どんな角度で、どこに刺すのか。花の長さを考えながら慎重に切り分けていく。小さめの蕾は一輪にするよりはそのまま切り落とさずに残した方が見栄えが良いかもしれない。トルコキキョウは背の高い大きめの花だから上に立たせて扇の頭頂と、適度に散らばらせるように刺していく。バラとマムはトルコキキョウを隠さない様にバランスを取りながら、扇を意識してこれまた散らばらせるように刺していく。最後にアイビーを根元の吸水スポンジを隠す様に巻き付ける。

ふっ、と息を吐き出来上がったアレンジを眺めてみる。一応は店員が話していたポイントは押さえて作ったつもりだ。初めて生花で作ったアレンジメントにしては上出来、なのだろうか。出来上がった物を眺めうんうんと唸っていると店員がこちらにやって来るのが目に入る。

「すみません、来るのが遅くなってしまって」

指導に来るのが遅れたことを一言詫びられ、一出来上がっているアレンジを見られる。

「すごい、本当に初めて作られたんですか」

ほとんど直す必要も無いですし、このまま売ってても良いくらいですよ。驚いた様に俺の作ったアレンジメントを前から横から、そして後ろから楽しそうに店員が眺める

「あえて直すとしたら、この花が正面を向けば良いですかね」

そう言って、少しそっぽを向いていたマムを正面に向かす。確かに、良くなった様に思える。まあ、俺としては、店員の手が入った物ならすべて良く見えてしまう可能性も無いとは言えないのだが。

とりあえず、アレンジメントは店員からもお墨付きを貰ったことだし、これで気持ちを伝えることが出来る。まさか一度で上手く作れるとは思って無かったから少々気持ちの整理も出来てはいないのだが、こういう事は勢いも大事だ。

俺は今日、このアレンジメントを店員に渡して俺の気持ちを伝える、そう心に誓った。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

楽しんで頂いていると幸いです。


次回もよろしくお願いします。

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