表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋の花し  作者: 犬犬太
30/33

30



金曜日、アレンジメント教室を翌日に控えた今日、仏花を買いに花屋への道を歩く。大学も始まり、久しぶりに夜遅くに訪ねた花屋は翌日の教室に備えた準備をしている所だった。

いらっしゃいませと、いつもの様に微笑みかけられ俺も笑顔を返す。

「明日の準備ですか」

店頭に並ぶ花とは別に、バケツへたくさんの花が分けられている。店員は頷いて、とても嬉しそうにする。

「思っていたよりもたくさんの人が興味を持ってくれて」

気合入れて仕入れました、と笑う。楽しみですねと俺が言うと、はい、とまたとても嬉しそうに笑ってくれた。

しばらく二人で花を眺めてから、いつもの様に仏花を頼むと手馴れたように花を組み上げていく。複色の赤いスプレーマムがアクセントになって、言われなければ仏花だなんて思えないような綺麗さだ。出来上がった束を受け取り支払いを済ませる。釣銭を受け取り、ありがとうと言おうと顔を上げると店員が、明日、楽しみにしてます、とふにゃりと笑う。

「俺も楽しみです」

気持ちの整理をする時が近づいているようだ。


フラワーアレンジメント教室当日、参加者は俺の予想をはるかに超えた人数だった。中にはあるスナックは従業員全員参加していたり、若いホストが何人も参加したりしている。もちろん近所の奥様方や子供たちも参加している。そのため会場は公民館を借りることが出来たらしく、参加費もほぼ花やその他必要な道具の実費のみという格安になっていた。

俺は教室の後ろの目立たない場所に席を陣取ると事前に言われ用意していたものを机に広げる。工作用のハサミとカッターナイフ。とりあえずはこれがあれば良いらしい。本来なら花切りバサミが良いのだろうが、工作用でも特に問題は無いらしい。

少しして、公民館の外から車のエンジンの止まる音が聞こえてきた。そして少し慌てたような音が続き、教室の扉が開かれた。

「すいません、遅くなりました」

すぐに準備しますね、と店員が扉から顔だけ出して言うとすぐに扉が閉じられた。昨日の花の量からして、これから一人で全部下ろして持ってくるのは大変だろうと、俺は席を立つ。

教室を出る際に、顔見知りのホストに声を掛け花を運ぶのを手伝うように頼むと、快く引き受けてくれた。数人で花屋の車の下へ向かうと予想通りというか、なんというか、一人で慌てふためく店員の姿がそこにはあった。そんな姿についつい笑ってしまい、店員が俺達に気がつく。

「手伝いますよ」

店員が何かを言う前に数人でバケツを両手に持ち教室へ何度か運ぶと、店員が動く頃には全て終わっていた。

「ありがとうございます」

結局全部やらせてしまって申し訳ないです、と恥ずかしそうにする。

「先生はこのあと大変なんだから、このくらい構わないよ」

とホストの一人が笑うと、その場にいた者もみんなそうだそうだと笑い合った。

店員と連れ立って教室へ入ると、運び込んだバケツの周りに女性陣の人集りが出来上がっていた。すでに、どの花で作ってみたいだなどの会話で盛り上がっている様子だ。

「皆さん一旦、席に着いてください」

場を収める店員の声に、各々従い席に着く。全員が席に着いたのを確認すると、店員は改めて簡単な自己紹介と挨拶をした。そうして、フラワーアレンジメント教室は始まった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

楽しんで頂いていると幸いです。


次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ