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恋の花し  作者: 犬犬太
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火曜日、二週間に一度の習慣。今日はマーガレット。キク科の白い花で、花言葉は「恋の行方」。俺の恋はきっと叶わない。もし、俺が花をあの人に贈ることが出来るようになったら、この恋の行方もはっきりさせてしまいたい。このままあの人にひっそりと恋心を抱いていくのもいいかもしれないけれど、あの人が誰かのものになってしまったら、俺は耐えられないかもしれないだろうから。そうなる前に、俺自身にけじめを付けさせたい。

アレンジメント教室は今週の土曜日。気持ちを伝えられるかもしれない喜びと、恋を終わらせる事になるかもしれない淋しさで複雑な気分で花屋へと向かった。

花屋には教室の参加申し込み者と思われる客が何人か来ていた。予想通りというか、参加申し込み者は近所のキャバグラやスナック、ホストクラブなどで働いている面々でお客へのプレゼント用や店内に飾る用の花を自分でも作りたいという事らしい。それぞれがどういったものが作ってみたいと希望を伝えている。

「とりあえず、最初は簡単なアレンジにしますね」

少し困り顔の店員が客をなだめながらもぴしゃりと言い切る。客からは文句も出るが、店員の、皆さんがまたやりたいと思って貰えたらまた教えますから、という言葉で文句はなくなった。二回目があるのなら、ぜひ俺も参加したい。

後ろでほかの客とのやり取りを聞いていた俺に店員は気がついたようで、いらっしゃいませと言ってくれる。客をかき分け、俺に近寄ると笑顔でゆっくりしていってくださいねと言ってくれる。ありがとうございますと返す俺に、店員は再び笑顔を見せてくれた。

「オレ達とあつかい違いすぎじゃない」

店に来ていたホストらしき客がニヤニヤとからかう様に店員に言うと、

「だ、だって、皆さんはアレンジ教室の申し込みだけじゃないですか」

この人は花を見るのも好きなんです、ね、と店員に同意を求められ、俺はなんとも心苦しくなりながら頷いた。正直、この中の誰よりも下心を持ってこの店に来ているのは俺だろうと思うから。


目的の花を見つけ、一輪手に取る。ぼんやりと花を眺めながら、この先のことを思う。叶いそうもないこの恋の行方。せめて、もう少しだけ俺に向けられるあの人の笑顔に幸せを感じていたい。もう少しだけ。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

楽しんで頂いていると幸いです。


次回もよろしくお願いします。

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