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恋の花し  作者: 犬犬太
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どうしたら、あの人に花を贈れるだろうか。贈るだけなら渡せばいいのだが、それでは意味が無い。ましてや、あの人は花屋だ。下手に他所の店で買った花は贈りたくないし、どうせなら俺の気持ちを伝えられるような物がいい。あの人のように心に響くような花束やアレンジを贈りたい。

どうしたら花束やアレンジを作れるのか。素直にあの人に作り方を教えてもらうか、それとも本やインターネットで調べるか。とりあえず無難に後者の案だろう。もちろん、あの人に聞けば教えてくれるだろうが、それは何とも図々しい。

手始めにパソコンで調べようと、花束の作り方を検索してみた。しかし、今まで生きてきて花に興味を持ったのもあの人に出会ってからの俺にとって、画面に表示された説明はよく分からないものだった。仮にもスタンディングブーケを再現できたのだから大丈夫だろうと軽く考えていた俺は、なんて浅はかだったのだろうか。


金曜日、今年最初の仏花を買うために花屋へと向かう。花屋へ向かう間も、どうすればあの人に花を贈ることが出来るだろうかと考える。とはいえいい考えがそんなに簡単に思い浮かぶわけもなく、あっという間に花屋へ着いてしまう。軽いため息を吐きながら扉へ手を伸ばすと、見慣れないポスターが目に入る。フラワーアレンジメント教室、と書かれたポスター。そこには受講生募集中の文字も書かれている。開きかけた扉はそのままに、俺はそのポスターに目を奪われた。この教室は俺でも参加できるのだろうか。参加すれば俺でもアレンジや花束を上手く作ることができるのだろうか。

頭の中でぐるぐると考え込んでいると、扉が急に開かれ、俺は店内へとよろめきながら入ってしまう。

「いらっしゃいませ」

どうやら、扉の前で固まってしまった俺を店員が店内へ引き込んだらしい。

「アレンジ教室、興味ありますか」

自分からは少々言い出しづらいなと思っていた事を店員から言い出してくれ、俺は素直に頷いた。教室に参加できればアレンジや花束の作り方が多少なりとも分かるかもしれない。

じゃあ、参加にしておきますねと言って一枚のチラシを手渡してくれた。そのチラシをまじまじと見ていると、店員が教室を開くきっかけになった話をしてくれた。

「実は、あなたが買って行ってくれた福袋がきっかけなんです。あれ以外は自分が作りたいように作った花束だったんですが、あなたが買ってくれたのだけはあなたのために作ったんです。それが、他のお客さんには特別に感じられたみたいで、自分でも作ってみたいと言われたんです」

と、少し照れくさそうに笑って話してくれた。

「俺もです。あなたが作ってくれた花束で、自分も作ってみたいと思いました」

花束を俺のために作ってくれた、その言葉で、俺も素直な気持ちを口にした。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

楽しんで頂いていると幸いです。


次回もよろしくお願いします。

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