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恋の花し  作者: 犬犬太
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持ち帰った花束を飾ろうと花瓶でもないかと家の中を探し回る。昔は母がいたわけだし、少しくらい大きめな花瓶がどこかにあるはずだ。花瓶が見つかるまでは、バケツに水を入れて我慢してもらうことにする。

両親が亡くなってから、ほとんど触ったこともないような戸棚や物置、ダンボール箱の中など、いろいろな場所を埃にまみれながら探し回る。なんとか使えそうな大きさの花瓶を探し当て、ほっと一息つく頃には外は真っ暗になり、自身は見るも無残な程で、真冬にも関わらず汗をかき埃でどろどろになっていた。これはのんきに花を生けてる場合ではないと花瓶はひとまず置いておいて、風呂場へと向かった。

さっぱりした体で改めて花を生ける準備をする。まずは花を束ねていたゴムを外す。少しもったいないが、束ねっぱなしは花が傷みやすくなるから仕方がない。次は水切り。バケツの水の中で花の茎を少し切り落とす。こうすることで、花が水を吸い上げやすくなり長持ちする。そして最後は花を花瓶に生ける。その時にちょっとしたポイントがある。それは砂糖や酢、洗剤や十円玉を水と一緒に入れるというものだ。そうすることで、花がいくらか長持ちするらしい。

俺は何となく、あの人が作った花束だから砂糖のような甘い物が似合うような気がして、適当にスプーンですくった砂糖を花瓶の水に溶かした。バケツに入れておいた花を軽くバランスを取りながら花瓶に生けていく。さすがに店員のように綺麗な生け方は出来ないが、元がよく出来た花束であったからだろうなかなかの見た目に生けることが出来た。

今回はドライフラワーにはしないで、花が元気な間はずっと飾っておく事にした。ドライフラワーとは全然違う生花の美しさを楽しむのも良いことだし、花もその方が嬉しいだろう。花瓶を寝室の床の間にスタンディングブーケと並べて飾る。また一段と部屋が明るくなったように感じる。

研究資料を読みながら、授業用の資料を作りながら、眠りに落ちる直前、俺は事あるごとに花を眺め幸せに浸った。そして、いつか俺もあの人に花を贈りたい、気持ちを伝えたいと、そう思うようになった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

楽しんで頂いていると幸いです。


次回もよろしくお願いします。

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