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結局二人でダラダラと飲み続け、朝食兼昼食の雑煮まで頂き、お暇したのは昼過ぎだった。
自宅へ戻ると外よりも寒いのではないかと思うような冷っとした空気に身が竦む。とりあえず暖まろうと居間の暖房を付け、温風が出るのを今か今かと目の前で待ちわびる。しばらくして暖かい風が吹き出した暖房にほっとしながら、身に付けていたマフラーやコートを片付けた。
部屋が温まった頃、シリカゲルに入れた花をどうなったか確認しようと花を容器からそっと取り出した。花は見事にドライフラワーとなっており、早い内に処理したからか色もそれなりに鮮やかなものになっている。
あとは、スタンディングブーケの再現だ。これが一番大変だ。土台となる部分は少し不格好になるが、元の給水スポンジのサイズと同じくらいの陶器の皿を使う事にした。その上にもともとの吸水スポンジを瞬間接着剤で貼り付け元通りの位置にドライフラワーを挿していく。穴の開いた位置に写真通り花を挿していく。以前店員に聞いたことがある。花にも向きがあるということ。今回はスタンディングブーケなので全体的に丸く、どこから見ても花の正面になるようにする。問題はラッピング。何度か別のラッピング材を用意して練習はしたが、これがなかなか難しい。とても一朝一夕で出来るものではない。元のラッピング材を使うため、形自体は案外うまく出来た気がする。リボンを苦心しながらもなんとか結び終わり完成させる。が、何かどこか違和感がある。似ているけどどこか違う。ドライフラワーであるという事を差っ引いても、だ。これがあの店員が作り直したのであれば、花が違おうが、ラッピングが変わろうが違和感はきっと無いんだろう。これは俺が再現したから感じる違和感だろう。残念だが仕方ないことだ。
出来上がったブーケを手にどこへ飾ろうかと考える。無難に考えた場合、人を通す事がほぼ無い書斎か寝室。しかし、書斎は研究資料でごちゃごちゃしているし置くところもない。消去法で寝室しかないか。とはいえ、寝室は和室に無理矢理ベッドを置いただけの部屋で飾れそうな場所は床の間ぐらいしか無い。床の間にスタンディングブーケ。かなり不思議な光景になるが仕方ないか。まあ、床の間ならいつでも目に入るしちょうどいいのかも知れない。
寝室へ入り、何も置いていなかった床の間へブーケを置く。ベッドへ座ったり、襖口へ立ったり、押し入れの前へ立ったり、部屋のあちらこちらを立ったり座ったりとブーケを部屋中から眺めて見る。見慣れた和室に置かれた花が、どこか気恥しい気分にさせる。それでも、なんだか幸せなほわほわとした心持ちにもさせてくれるのは、きっとあの人のおかげなのだろう。
この日、俺は夕飯を食べるのも忘れ、じっと出来上がったスタンディングブーケのドライフラワーを眺めることになった。
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