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赤いバラのつぼみは『愛の告白』、白いガーベラは『 希望』、緑のピンポンマムは『君を愛す』、アイビーは『 永遠の愛』。
帰ってから貰った花の花言葉を調べてみると、そのほとんどが愛を表す物ばかりで、やっぱり少し期待したくなる。本当に何も意味など無いのだろうか。あの人が愛や恋に関する花言葉に詳しいのは知っている。しかし、俺にそんな思わせぶりな物贈るだろうか。ただ、クリスマスカラーの花を選んだだけだ。きっとそうに決まっている。万が一意味があったとしても、多弁のバラには『私をバカにしないで』という意味もあるし、ガーベラだって『律義』とかあるし、ピンポンマムにも『高貴』とかあるし。下手に勘違いして、調子に乗って嫌われたら最悪だしな。
ふっ、と息を吐き出し文机の上に少々不釣り合いなブーケを飾り眺める。意味のあるなしに関わらずあの人からのクリスマスプレゼントには変わりない。花越しにあの人の顔を思い浮かべ、顔が自然とにやける。せっかくのあの人からのプレゼントだし、ずっと残しておけたら良いのだけれど。
花をそのまま残す方法を調べてみると、手軽に出来るのはドライフラワーらしい。プリザーブドフラワーというのもあるみたいだが、こちらは条件が少々厳しい。その点ドライフラワーならホームセンターでシリカゲルを買って来れば、あとは家にあるもので作れそうだ。アレンジを崩すのは申し訳ないけれど、このまま飾って枯れていってしまうのは悲しいと、気持ちは決まった。そうとなったら善は急げと、調べ物で寝ていなかった体に鞭打ち、コートとマフラー、財布を手にホームセンターへと向かった。
さっそく手に入れてきたシリカゲルに花を入れるため花を首元で切るのだが、もったいない気持ちが再び頭を上げた。この姿を残しておきたいと、少しでも見栄えの良い場所へアレンジを置き、携帯電話のカメラ機能を起動する。前後左右、上から下から斜めからと様々な角度から写真を撮った。どうせならと、ドライフラワーにした後にアレンジメントを再現出来るようにと写真を何枚も写した。
気が済むまでたっぷりと写真を撮って、さあ、ドライフラワーを作るぞと気合いを入れて作業を開始した。初めはやっぱりもったいない気持ちと、失敗したらどうしようという気持ちでなかなか進まない手も、二本、三本と進めるうちに慣れていく。
シリカゲルに埋められた花の出来が分かるのは一週間後。それまでにスタンディングブーケの作り方を練習しておかないと。土台にする物も何か用意しよう、ラッピングは元の物を使ってと、何だかわくわくしてくる。好きな人からの思いがけないプレゼントはこんな所にも幸せをくれるのだとしみじみと思った。
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