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恋の花し  作者: 犬犬太
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翌週、金曜日まであの人に会えないのが寂しい。とはいえ、もう十一月も半ばになっている。学生達はクリスマスに年末年始と、短い冬休みの予定を立てるのに浮き足立ち、俺は試験もない手隙の時期に自分の研究を進めるための算段をするのに忙しい。ありがたい事に、俺の職場は理系の大学で、しかも専攻は学生にとっては基礎教養の科目。もちろんゼミなんかも持って無いので自分の研究に集中しやすい。とはいえ、いつ首が切られるかは分からないのだが。

クリスマス。あの人を誘えたら一番良いのだが、クリスマスから年末年始なんて歓楽街の稼ぎ時だ。簡単には誘えない。俺が花を買いに行くしかないよな。

そもそも年末年始は営業しているのだろうか。おそらく十二月に入れば年末年始の営業日時の告知はされるだろう。あわよくば、また飲みにでも行けないだろうか。

まず、クリスマスは何を買おう。クリスマスブッシュ、花言葉は無い。それでも切花として一本で買うなら良いかもしれない。フラワーアレンジメントのような物や花束だと持て余すかもしれないし、プレゼントしたい相手に作らせるのもおかしな話だし。

そして、店が閉まってからでも良い、食事だけでも一緒に出来ないだろうか。

両親を亡くしてから誰かとイベント事を過ごしたいと思ったことは無い。ほとんどのイベント事が連休や長期休みに掛かるため、俺は研究に集中していた。過去に誘ってくれた人は何人かいた。もちろん名目として恋人であった。それでも、研究に没頭出来る連休が貴重で誘いはすべて断っていた。なんて奴だったんだろう、俺は。俺を誘ってくれていた人たちはみんなこんな気分でどきどきして、そわそわして、断られたらどうしよう、なんて考えて迷って、それでも勇気を出して誘ってくれていたのだろうか。それならずいぶん悪いことをしていたんだなと思う。しかも、自分が初めて誘う立場になって気が付いたのだから。

しかし、普段ならともかく、クリスマス。あの人にクリスマスに一緒に過ごす相手がいたりしたら。

今までなら多分、こんな考えになった時点で諦めていた。でも、あの人のことはどうしても諦められそうにない。それに、まだ断られたわけでもない。クリスマスはイブと合わせて二日ある。どちらかの日に少しでもいいから時間を取ってもらえるだけでもいい。全ては誘ってみてからだ。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

楽しんで読んで頂いているとありがたいです。


感想、レビューもお待ちしております。

それでは、次回もよろしくお願いします。

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