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こうして彼は長い長い旅に旅立った

今回が初めての連載なのでペースが遅いですが温かい目で見てもらえると嬉しいです。

「こちら斎藤三佐!こちら斎藤三佐!至急応援を!我らの部隊だけではもうこの防衛線を守り抜くことが出来ない!至急応援を!」

斎藤勇馬率いる部隊「第九大隊」は九州における絶対防衛ラインを越えようとする中国軍からの攻撃に塹壕戦で防いでいた。第九大隊は北海道より応援で駆けつけ北海道でも練度が1,2を争う精鋭部隊だとしても圧倒的な兵力の差によってジリ貧となっていた。

第九大隊は食料、弾薬を節約しつつ敵師団を幾度も撤退させてきたが第九大隊の弾薬は底が付きかけており、さらに部隊の半数が死亡または重軽傷を負って無傷の者はほぼいない状態であった。

「くそっ!本部とさえもつながらない。すでに本部さえも占拠された可能性があるな。」

「三佐!ここは撤退しつつ仲間の部隊と合流し弾薬を補給した後防衛ラインを下げて敵を迎え撃ちましょう!」

副官の一人が斎藤に対して提案をした。

「そうするほかないのか。いや、だめだ。ここで私たちが踏ん張らなければ私たちの後ろにいる国民たちは、俺たちの家族はどうなる!あの忌まわしき侵略者どもにいい様に嬲られ、殺されるんだぞ!」

斎藤がそういうと副官は苦しい顔をしながらも反論した。

「それはそうですが、私たちが死ねばどうなります。私たちの後ろにいる国民が全員死ぬことになるのですよ!」

斎藤は副官に言われると苦渋の決断を下した。

「わかった。我々第九大隊は後方へ撤退後、味方の部隊と合流し敵を迎え撃つ。しかし、大隊全てが一気に撤退をした場合背後をつかれる可能性があるため、撤退の阻害となり歩くのが難しい重傷者と一部志あるものによる決死隊、そして私自身が残る。」

副官は斎藤の発言に驚きを隠せなかった。

「そんな、この大隊は斎藤三佐がいてこその大隊です!それに斎藤三佐はこの戦争でこの後もさらなる功績を残すことの出来る方です!ここは私が残ります。斎藤三佐は後方に撤退してください!」

しかし、斎藤の気持ちが揺らぐことはなかった。

「だめだ、部隊の長が一番に逃げてはこの部隊だけではなくほかの部隊にまで影響が出てしまう。君は優秀だ。私の代わりに撤退する第九大隊を率いて後方で新しい防衛ラインを作りつつ後から向かう私たちを待っていてくれ。」

「しかし!・・・わたりました。斎藤三佐の頑固なところは理解しています。いまできる限りのことをします。何かありますか?」

「そうだな。撤退する部隊の皆に悪いのだが、二、三日持つだけの食料、弾薬を残してもらえると嬉しいな。後は特にない。」

「わかりました。三日分の食料と弾薬を残していきます。」

「おいおい。・・・いや、ありがとう。撤退は明日の夜中の零時。一部の者にはすまないが残ってもらい。仲間の撤退のカバーをしてもらう。いいな。」

「了解!」

その後部隊全員にこの話をし、大隊総員600名のうち生き残っている520名のうち重傷者70名と決死隊に名乗りを上げた50名の合計120名によって残りの400名の撤退を支援することが決定した。

そして次の日の夜。

中国軍は撤退していく第九大隊を確認し突撃をかけてきた。それを見た斎藤は中国軍が大した警戒もなしに塹壕へ近づいてくるのを見て、残った中隊未満の誇るべき有志の隊員に対し「打ち方用意」と声をかけた。

100m付近にまで近づいてきた中国軍を見た瞬間斎藤は叫んだ。

「フルオートでぶっぱなしてやれ!弾が尽きるまで敵に目にもの見せてやれ!撃てーーー!!」

ダダダダダダ!!!

塹壕が一直線光を確認することが出来るほどの弾幕が中国軍に向かい敵前線の兵士が波のように次々と崩れるように倒れていった。

「迫撃砲を敵の頭の上に打ち込んであげろ!」

この言葉を合図に残っている迫撃砲が花火のように中国軍の頭の上で爆発し敵に甚大なダメージを与えた。

しかし中国軍は撤退することなく突貫攻撃をしてきた。

「くそ!このままでは撤退中の味方にも影響が出てしまう!すまない。お前らを生き残らせることが出来なさそうだ。全隊員に通達!それぞれ着剣し近接戦に備えろ!」

「「「了解」」」

「隊長に何処までもついていきます!」

「隊長と一緒に戦えて光栄でした!」

隊員の言葉に斎藤は涙を流した。

「全員!ここが男の見せ場だ!あいつらに目にもの見せてやるぞ!!」

「「「おう!!!」」」

こうして接近してきた中国軍に対して斎藤を含めた生き残った90名が銃剣特攻を敢行した。

「うおぉぉぉぉぉ!!!」ドスッ!

斎藤は敵兵士を次々と倒していった。しかし、斎藤に対し中国軍による敵味方関係なしの無慈悲な一斉射撃が行われた。

ダダダダダダダダダダ!!!!

斎藤は崩れ落ちるように倒れながら最後の最後まで部下と日本を憂いでいた。しかし、最後にどうでもいいことを考えていた。

(どうか逃げ延びてくれ、そしてこの日ノ本を救ってくれ・・・。あと、見逃した深夜アニメを見たかった。)


感想を頂けると嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。

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