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異世界転生 お師匠様と、魔法使い!  作者: 松本隆志
■第一章■~始まりの日々~
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プロローグ~終わりと始まり~

魔法使いの弟子となり、日々の修行に励んだ。

そして出会い、戦い、冒険を経て、成長していった。

そんな彼の、過去にあった始まりのプロローグ

始まりはいつだったか……。

今では記憶が曖昧で、本当にあった出来事かもわからない。

明確に思い出せる記憶は、不安と混乱の中で俺に優しく微笑んでくれた、

師匠の暖かい記憶だけだった。


拾ってくれた師匠の下で修行に励み、それから15年の時が経った。

今では、家を持ち仕事に励み日々の幸せを感じている。

魔法に精通したせいか、今では地位も名誉もそれなりにある。

安定したからなのか、ふと懐かしくなり曖昧な記憶を思い出すのは……。



――――――――――――――過去の記憶――――――――――――――――

働くのが嫌になったのは、いつからだろう。

働くのが怖く思えたのは、いつからだろう。


最初は目標を抱いて働いた。


「お金を稼いで、家を建てよう」

「庭を作り、家庭菜園を始めたい」

「仕事で出世できたら、友達にささやかな自慢がしたい」


そんな、努力をすれば手に届きそうな目標を持っていた。

いつ頃からだろうか、仕事の失敗や他人との比較で劣等感を抱き始めたのは。

それを吐き出させずに、ズルズルと引きずりストレスを溜め込んだ。


上司から注意をされる度に、自分がどうしようもないクズに思えた。

自分は成長できるのか、幸せになれないのか、もっと苦痛に耐えればいいのか。


気づいた時には、手遅れだった。


堆積した劣等感、自分自身の限界を悟った気になり言い訳をして努力をしなくなった。友達はいなくなり家族からは諦められ、それを気にしないふりをして現実から逃げ出した。


私は無職になり、自分の殻に閉じこもった。


「このままじゃダメだ!」

しかし、体は動かない。

「コツコツと努力をすれば、まだ間に合う!」

だが、心は塞ぎ込んだままだった。


今年で30歳になったのに、将来に希望を持てず自分に自信がなかった。

今でも停滞したままで、努力をせずに心の中で言い訳だけする様になった。


「もう、終わりにしよう」


そう何度も思い。何度もできなかった。だが、今日こそは……。


「もし、次があるなら幸せになりたいなぁ」


深夜、私は都内の河川敷の木に縄を縛り、首を吊った。





――遠くから、風で葉の擦れる音がした。

近くで、カサカサと何かが動く音がする。

瞼が重く、体が動かない。しかし、意識はある。


「失敗したのか?」


記憶が混濁しており、意識はあるが現実なのか曖昧に感じる。

過去の記憶が混沌として渦巻き、気分が悪い。自殺の後遺症なのだろうか。


「「いいえ」「成功しました」「自殺した事により」「呪いを受けました」」

「……え?」


若い女性の声がして、慌てて私は飛び起きた。

先程まで動かなかった私の体は、何事も無かったかの様に動いた。

そして私は、飛び起きた先に広がる光景に愕然とした。


広い、広い、緑の草原の中にいた。遠くには山や森が見える。

見たことのない植物、見たことのない鳥、見たことのない美しい景色。

私は見知らぬ大地に立っていた。


しかし、先程の声の主らしき女性は見当たらない。人間そのものが見当たらない。そもそも女性の声は幻聴だったのかもしれない。何も解らない……。

ここは死後の世界なのか、それとも夢を見ているのか、はたまた異世界にでも飛んできたのか、夢ではないと思うが断言する自信もない。死後の世界にしては三途の川が見当たらない。では、ここは何処なんだ?


「どうなっているんだ……」


困惑した私は、そう呟いて首を手で確かめる。縄で首を吊った記憶があるのに、首に痕跡がなかった。服装は、そのまま。自殺する時に着ていたサラリーマン時代の安物のスーツだ。何が何やらと困惑した私は、周囲を警戒しながらゆっくりと歩き出した。


「さっきの声、呪いを受けたとは何だったんだ。寝ぼけてたのか?」


どんなに思案しながら歩いても、答えは分からなかった。

死んだはずでは? さっきの声は? ここは何処だ? 喉がカラカラだ。

誰かいないかと叫んでも、答えは返って来なかった。

私の記憶は、そんな不確かな状態から始まった。


この物語は、師匠の下で修行に励む魔法と冒険の英雄譚。

次回、本編スタート


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