緊急投稿-締切間近だキノコの娘 どうするテングマン!-
「むっ」
俺は「小説家になろう」のサイトで人だかりを発見した。そこにたむろするのは、二次創作はランキングに載らないと知りながらもキノコの物語を書く益荒男と手弱女ども。しかし彼らは運営と双葉社双方から放置されている。
これでは彼ら彼女らが正当な評価を得ることができない。
「悪認定」
俺は双葉社に正義の鉄槌を下すことを決断。
「行くぞアマニタシスターズ!」 俺は連れに呼びかけるも、連れは返事をしない。
「おい、娘ども!」
振り向いた俺が目にしたのは、収拾がつかなくなっているキノコの娘ども。
「ゲンボクちゃん、コードが絡んじゃった」
「泣くなフリゴ、一旦ジャックを外してからほぐしてみろ!」
「ゲンボクちゃん、待ってえ」
「また転んだのかグランディ、待っててやるから早くこい!」
「ゲンボクちゃん、空が綺麗ですね」
「ムスカリア、ポエムには今度付き合ってやるからとりあえず急げ!」
「あ、大きなのができた、ゲンボクちゃん、これ食べてよ」
「わかったシラフィー、お前の綿毛は後で食べるから、お願いだから急いでくれ!」
「にゃうにゃう」
「おーい、パンセリーナ、そっちじゃないぞー!」
「ねえゲンボクちゃん、私はだあれ?」
「あー面倒くせえ、お前はファルたんだよ、ファ・ル・た・ん。これでいいか?」
「ゲンボクちゃん、あのね、あのね、あのね……」
「みなまで言うなプレムナ、このデオドラントスプレーをくれてやる!」
「えっと、うーんと……。こうかな」
「ヘドバンしなくていいからさっさと走れよヴェルナ!」
「ゲンボクちゃん、到着した後のフォーメーションについて聞いてないんですけど」
「お前がセンター、とりあえずセンター決定、だから頑張って走ろうなヴィロサ!」
「ゲンボクちゃん、背中と首筋が痒いの」
「ヴォルヴァタ、後でステロイドが入っていないお肌にやさしい軟膏を塗ってやるから、今は我慢しろ!」
「よし、シスターズども、チェンジマッシュルームだ!」
俺の号令に従い、腕立て伏せのポーズをとる10名のシスターズ。俺はその両足を取り、下腹部に巻きつける。
「チェインジ! マッシュルーム!」
すると俺の下腹部を軸に、一体化するシスターズ。その姿は禁断のアマニタ・エクスクラメーション。
「いけー! 禁断のビッグバン! 『絶対に大賞の50万を選出しろよ! 該当無しは認めねえぞ双葉社砲』!」
俺は双葉社の社屋にアマニタ・エクスクラメーションをぶっ放す。そしてネタを振りっぱなしだったことと、そもそもこのネタでよかったのだろうかと後悔しながら死んでいく無能な編集ども。
「成敗完了!」
合体を解いた俺とアマニタシスターズは、全力でその場から立ち去る。正義の味方は己の正体を知られてはならないのだ。
そして俺はシスターズに「これで俺の大賞はなくなったな」と、最初からありえないのに、さも自分の行動によってなくしたんだという論法を自慢気に通す。パトカーのサイレンをBGMに聞きながら。