vol.4 real re-met.
翌週。
私は学校の特等席に突っ伏していた。
もー意味判んない。
何で!?
寝るとあの夢ばっかり…。
何回も観てるお蔭で、何となく判った事。
その1。あの、男の人の名前。
ハルカ。
字は…判んないけど。
その2。(多分)私の名前。
マナ姫。
字は…多分『愛姫』かな。
私も『愛』だし。
その3。2人の関係。
恋人っぽいけど、何か悲恋て感じ。
あんまり幸せそうな感じじゃない。
その4。ハルカの身分。
平安時代で、あの着物って事は、多分貴族様。
私は…姫ってぐらいだし、貴族の娘かなんか。
その5。2人の経緯。
これは、完璧ハルカから。
私だって、平安時代の恋愛がどんなのかぐらい、判ってますー。
古典は嫌いだけど、歴史は好きだし。
これぐらいかなー…。
けど、何でずっとあの夢ばっかりなんだ…。
普通、夢なんてその日限りでしょ?
こう毎日続くと………って、まだ3日ぐらいなんだけど。
その日1日、私は授業に集中出来なかった。
まぁ、いつも真面目に受けてないから良いんだけど。
…で。
あっという間に放課後。
友達にカラオケ誘われたけど、この間の悪夢が甦って来そうで怖かったから、断った。
今は、教室で空を見てる。
この時期、空の色は変わるのが早いから。
オレンジがピンクになって、紫、蒼、紺に変わってく。
空は、見ていて厭きない。
「やっと見つけた」
教室の入り口の方で、声がした。
まだ教室に残っていた生徒数人が、一斉に入り口を見た。
勿論私も。
…すぐ、見た事を後悔したけどね。
「2年の教室全部見て廻ったわ」
その人は、真っ直ぐ私の方に向かって歩いてくる。
何で――………!?
何で、この人が………っ!?
廻りから、ひそひそと囁き声が漏れてきた。
「えー…嘘ぉ…」
「何、知り合いなの〜?」
「もっと仲良くなってれば良かったー」
いやいやいやいや。
意味判んないんですけど。
私と仲良くなってれば良かったて。
てか、全然知り合いじゃないしっ。
…や、全然…て事は無いか…。
てか、寧ろ、私がナンパしましたぁー。みたいな?
「こないだはどーも」
私の眼の前に居る人。
そう、私がこの間カラオケで声を掛けた人だった…。