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...恋ノ詩...  作者:
3/16

vol.3 幻想夢。


部屋を出ると、当たり前だけどさっきの男の人に姿は無かった。

エレベーターの中にも、ロビーにも、あの人の姿は見当たらない。

きょろきょろと辺りを見回す私を見て、友達は例の悪戯っぽい瞳を私に向けて言った。


「どうしたの?好きな人でも居た?」

「馬………っ。んな訳無いじゃんっ。大体、私好きな人居ないし」

「や、だから、此処で格好良い人でも見て、一目惚れしたのかなーって」

「そんな事言ってると、私帰るよ?」

「あー、ごめんっ。嘘嘘っ。冗談だからっ」

「…ま、許してやるか」

「愛、何様よ」

「え?…女王様?」

「何言ってんのー」


私達は、支払いを済ませた後ファミレスに向かった。

遅めの夕食を食べて、別れた。


「ごめんっ。今からデートなんだよねぇ」

「そういうのは、先に言ってよ」

「だから、ごめんてばっ。お詫びに此処奢るから」

「ご馳走様っ。デート、楽しんできなよ」

「ありがとっ。じゃ、また学校でね」


要するに、私は時間潰しだった訳だ。

…ま、別に良いけど。

私はマンションの鍵を開けて、そのままベッドに倒れ込んだ。

眠いー…。


遼榎(ハルカ)様…」

「また…泣いていたのですね」

「お逢いしとうございました…」

「私もです…(マナ)姫」

「今宵はずっと共に居られるのですね」

「そうですよ。さぁ、もう泣かないで。その美しい顔が涙で濡れるのは、私には耐えられない」

「遼榎様…。愛は…ずっとお慕い申し上げております」

「私もです。愛姫。貴女を、早く妻に迎えたい…」

「今宵、共に過ごし、次は…いつお逢い出来るのでしょう…」

「今、私が此処に居るのに、そんな話は止しましょう。愛姫…私から離れないで下さい…」

「私が貴方様から離れるなど…。御仏様の元に行かない限り、ございません」

「共に極楽まで参りましょう。さぁ、もう中に入りましょう。冬の空気は貴女には厳し過ぎます」


あ…あの人だ………。

今日見た、あの人…。

今度は、深い海の色の着物を着てる。

その人が、私のすぐ傍に居る…。

名前…ハルカ……って言ったよね?

私は、誰…?


「愛姫…私の想いを、どうすれば貴女に判って貰えるだろう…」


ハルカが、眠っている私の傍で囁いた。


…え?

『眠っている私の傍』?

じゃあ…私は………マナ姫?


「また…私の想いを文に託します…」


ハルカはそっと床を抜け出し、私の傍から消えた。


え?

ちょっと待って。

意味判んない…。

これ、どう見ても現代じゃないよね?

…てか、現実でもない。

多分…夢。

で、多分…これは、平安時代。

でも、ハルカは………。


pipipi...pipipi...


「ん…」


ケータイのアラームで眼を覚ました。

ぼーっとした頭で、今日の日付を確認する。


休みじゃん…。

もっかい寝る…。


私は、再び眠りの世界へ堕ちて行った。



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