vol.15 叶う想い。届く想い。
「愛…何処だよっ」
悠は必死に愛を捜した。
もしかしたら、この道じゃないかもしれない…。
そんな不安も抱きながらも、悠は誰も見当たらない道を走った。
「居た…っ」
愛の小さな後姿を見つけ、悠は重い足を必死に動かして愛の元へ駆けた。
愛しい人を、この手で掴む為に…。
「愛…っ」
空耳?
私は後ろを振り返った。
誰かに呼ばれたような気がしたから。
遠くから、誰かが走ってくる。
その姿が大きくなるにつれ、私は嬉しさとそれ以上の罪悪感でいっぱいになった。
ハルカ…。
「っはぁ…っはぁ…」
全力で走って来てくれたんだろう。
ハルカは暫らく大きく息を吸ったり吐いたりしていた。
けど…何でハルカが此処に居るんだろう…。
「愛…っ俺…黙ってた…事が…」
「ハルカ…大丈夫…?」
「ん…大、丈夫…っはぁ…」
「何処かで休もう?近くに公園あるから…」
そう言い掛けた私を、ハルカは抱き締めた。
今、自分がどういう状況にあるのか。
把握するまでに、時間が掛かった。
「ハル…カ…?」
「俺…女が居たんだ…」
「………………っっ」
耳を塞ぎたかった。
けど、悠の腕がそれを許さない。
「嫌だっ」その気持ちが、水滴となって頬を伝った。
「けど…っ。別れて来た。今日…。愛…お前が…好きだから…」
「え?」
自分の耳を疑った。
ハルカが…私を好き…?
嘘でしょう…?
「お前が…聖を好きでも…これだけ言いたかった…。さっきは…凄ぇ聖に嫉妬して…」
「私も…っ」
「え?」
「私も…ハルカが好き…」
「え…ほんとに…?だって、さっき…」
「違うのっ。あれは…慰めてもらってただけなの…」
「マジで…?」
「うん…。私が好きなのは…ハルカだよ…っ」
「愛…」
「………んっ………」
ハルカの口唇が、私の口唇に触れた。
さっきまでは哀しかった涙が、今は嬉しさでいっぱいになってる。
ハルカ…大好きだよ…。